来季はどこのチームで走りたいのか、これまで決して語ろうとしなかったジェンソン・バトンだが、ここにきて沈黙を破り、来季も引き続きBARでF1のキャリアを続けていきたいとの思いを明かした。
バトンは昨シーズンの今頃、ウイリアムズへの移籍を試みたが、契約承認委員会がもう1シーズンBARに残留すべしという裁定を下したため、移籍は実現しなかった。2006年にはウイリアムズへ移籍する契約となっているが、その契約が結ばれたときから、両チームをめぐる状況は激変している。
ウイリアムズは2006年には、マニュファクチャラーの支援を受けられなくなる見込みだ。BMWがザウバーを買収し、独自のチーム運営に乗り出そうとしているからだ。それに伴って、ウイリアムズは来季、コスワースエンジンで走ることになりそうだ。一方、ホンダは将来もF1に関わっていくというだけでなく、BAR株の45%を買収してチャンピオンシップに寄せる熱意を強調している。
バトンにとっては突然、F1でまだ未勝利のチームが、113勝と7度のドライバーズチャンピオン、9度のコンストラクターズチャンピオンを獲得しているチームよりも、魅力的な選択肢となってきたことになる。バトンは、1996年のデイモン・ヒル以来のイギリス人チャンピオンとなるために、どちらのチームが最高のチャンスを与えてくれるのか、彼の考えを明らかにした。
バトンは、英デイリーテレグラフ紙に次のように語った。「レーシングドライバーのキャリアは短い。僕は最高のチームで走りたい。それはBARだ。このチームは、僕がイギリス人として次のワールドチャンピオンになるために、最高のチャンスを与えてくれる。去年は過ちを犯したが、今では僕は、自分の将来をもっと自分でコントロールできるようになっている。僕にとって一番いいのは、BARにとどまることだ。短い間だけでなくね」
「去年の末に僕がチームを離れたかった理由は、みんな知っていることだ。あの決断を下したときに僕が聞いていたところでは、ホンダはBARに肩入れしていくとは限らないということで、ホンダが活動を続けていくかどうかははっきりしなかった。何が起ころうとしているのか、誰も僕には教えてくれなかった。ホンダの資本参加は、僕がとどまりたいと思っている、大きな理由のひとつだ。あれによって、彼らがワールドチャンピオン獲得についてどれほど真剣になっているかが分かったんだ」
「これは僕にとって、大きな決断だ。ただ1年ごとに気が変わっているというものではない。僕は間違いなく、パドックで彼(フランク・ウイリアムズ)に会っても、まっすぐ目を見ることができるよ。僕らは2000年以前から長いつきあいがある。だから、僕らはこの件に関して大人になる必要があるし、状況を理解すべきなんだ」
「ウイリアムズの状況は理解できるが、フランクも僕の状況を理解してくれなくちゃならない。来年、競争力を発揮するためには、どんなチームでも、完全に関わってくれるマニュファクチャラーが必要なんだ。ウイリアムズは去年から、立場が大きく変わってしまった」