今週末、ミシュランはインディアナポリスでの初勝利を狙う。彼らは今年ここまでの全レースを制しているだけに、その目標達成について楽観的に考える理由には事欠かないだろう。
しかし、ミシュランのモータースポーツディレクター、ピエール・デュパスキエはそれが決して簡単な仕事ではないことを承知している。特にここは対照的な性格のセクションが混在するサーキットのひとつであり、バンクの付いたセクションがタイヤコンパウンドの選択に大きな影響を及ぼすからだ。
「インディアナポリスは困難なチャレンジをもたらすコースだ。なぜなら車がバンクとピットストレートを含むシーズンでも最も長い全開セクションを通過している間、タイヤは20秒以上も続く発熱に耐えなければならない」
「それに加えて、タイトなインフィールドで最大限のトラクションを発揮するために十分なグリップも発生する必要がある」
「こうした2つの相反する対照的な特性により、チームとタイヤサプライヤーは空力セットアップとタイヤコンパウンドに関してある程度の妥協を強いられる。さらにバンクはシャシーの左側に大きな負荷を課すことになる。遠心力の一部が垂直方向の負荷に転嫁され、それが最終的にはタイヤに伝わるからだ」
「実際、私たちのタイヤコンパウンドの選択は、このバンクの存在によってかなり制限されている。つまり、このコースで最も大きい負荷がかかるバンクの部分を基準にしてコンパウンドを選ばなければならない。柔らかめのコンパウンドではバンクでの負荷に耐えられないが、逆に硬すぎるとインフィールドで苦しむことになり、タイヤが過度にスライドしてすぐに磨耗してしまう。また、バンクの部分の路面は表面がきわめて粗い。これに対してインフィールドの路面はスムーズなので、その点でもタイヤにとっては相反する対照的なファクターが混在していることになる」