このところ本来のポテンシャルを発揮できずにいるヤルノ・トゥルーリだが、彼の地元でありヨーロッパラウンドの最終戦でもあるイタリアGPには、まったくのニューシャシーで臨むことになった。
トゥルーリは――ルノー・チームも変わりやすい天候に負うところが大きかったと認めているが――ベルギーGPの予選でポールを獲得した。しかし、レース序盤にファン−パブロ・モントーヤと接触、その後レースが終わるまでR24のハンドリングに悩まされ、ポイント圏内でフィニッシュできなかった。
「ヤルノは、ベルギーGPのレース中、明らかに苦心していたよ」と、シャシー担当テクニカル・ディレクターのボブ・ベル。「彼は技術的な面で非常に敏感だから、しばしばデータ上に表れないような車の問題点を見つけられるんだ。だが、彼は問題を見つけたときに、その車から最大限のパフォーマンスを引き出すのはうまくないというのもまた事実だ」
「全く違うパーツから組み上げた全く違うシャシーを彼に使わせることで、目に見えない不具合によって彼のパフォーマンスを低下させる可能性を排除したいと思っている。ベルギーGPで使った車を分解しても問題を見つけられなかったが、しかし、データでも発見できないような微細な問題があり得るのを、我々は十分に承知している。次戦へのこういったアプローチは、我々が二人のドライバーを平等にサポートすべく全力を尽くしていることを示すものだ。チームの将来的な見通しを考えても、最後のレースまで、2台の車、2人のドライバーから最大限のパフォーマンスを引き出すことが大いに重要である」
ルノーはベルギーGPでポイントを取り損ねたが、コンストラクターズ・チャンピオンシップで2位を争っている直接のライバルであるBARホンダ・チームも2台がリタイアに終わったため、その差を詰められずに済んだ。だがチームは、次に成績不振に終わったときも、同じように運に恵まれるとは思っていない。
「信頼性が我々の最優先事項でなくてはならないし、それがチャンピオンシップで2位を獲得する前提条件でもある」と、エンジン担当テクニカル・ディレクターのロブ・ホワイトは語る。「チームは最近の不具合を起こす原因となった特定の問題点に取り組んでいるが、同時に将来に向けた我々のプロセスを改善するためにも、その経験を生かしている。最後の4レースで不具合をゼロに抑える目標は現実的なものであり、信頼性を確立するための努力は続けられている。けれど、レースでもっと勝ちたい、チャンピオンシップの2位を守りたいと思う情熱こそが、これらの目標に到達するためのモチベーションになっている」