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F1 PUメーカー救済システムADUO、最初の性能評価はカナダ後。FIAが判定法と2パーセント以上遅れた製造業者への優遇措置を詳説

2026年5月16日

 FIAは、マイアミGPからカナダGPまでのインターバルを利用し、今季F1に導入されたADUO(追加開発アップグレードの機会)について改めて説明し、このシステムは、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)ではないと明言した。ADUOは、2026年新技術規則の導入に伴い、パワーユニット(PU)の性能が劣っていたり、予期せぬ問題に直面しているマニュファクチャラーに対し、ライバルとの差を縮める機会を与えるためのメカニズムだ。

 ADUO対象と認められたマニュファクチャラーは、より多くのテスト時間が与えられ、ホモロゲーション済みのパワーユニットをアップグレードすることが認められる。この仕組みは、チーム間の競争を接近させることを目的としている。

■ICEパフォーマンス指数で性能差を算出

アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセル(メルセデス)
2026年F1第4戦マイアミGP アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセル(メルセデス)

 FIAは各PUマニュファクチャラーがチームへ供給するパワーユニットの内燃エンジン(ICE)部分の性能を監視し、「ICEパフォーマンス指数」を算出する。これについてFIAは、こう説明している。


「この計算は、インプットシャフトトルク、エンジン回転数、MGU-K出力、さらに計測ラップにおけるラップタイムへのパワー感度を考慮した重み付けなど、さまざまな要素に基づいて行われる」


「当初から、FIAとPUマニュファクチャラーの間では、流体温度や外部空力など、最終的にICE性能へ影響を及ぼし得る要素については、車両上での測定値に含められ、補正処理は適用しないことが、透明性を持って協議されていた。また、ADUO評価はICEのみに焦点を当てるため、ERSシステムが総合出力において重要な役割を果たしていることを踏まえると、これはPU全体の性能を完全に反映するものではない」


「最も性能の高いICEに対して、少なくとも2%遅れているPUマニュファクチャラーには、ADUOが付与される」


 遅れが2%以上4%未満のマニュファクチャラーには、シーズン中に1回と、翌シーズンにも1回、追加ホモロゲーションアップグレードが認められる。4%以上性能が低いPUマニュファクチャラーには、シーズン中に2回、翌シーズンにも2回の追加アップグレードが認められる。


 テストベンチでの稼働時間に関して言えば、2〜4%遅れているメーカーには70時間、4〜6%遅れているメーカーには110時間、6〜8%遅れているメーカーには150時間の追加時間が与えられ、10%以上性能が劣っているメーカーは、230時間の追加時間を得ることができる。

■ADUOによる財政面の救済措置

2026年F1第3戦日本GP
2026年F1第3戦日本GP 決勝スタート

 ADUOがPUマニュファクチャラーに関する財務規則においてどのように機能するのかについては、遅れの程度に応じて、コストキャップ外での支出が認められると定められている。


 具体的には、2〜4%遅れのマニュファクチャラーには最大300万ドル(約4億7000万円)、4〜6%遅れでは最大465万ドル(約7億3000万円)、6〜8%では最大635万ドル(約10億円)、8〜10%では最大800万ドル(約12億7000万円)が認められる。


 さらに、10%以上の遅れがあるメーカーには、各ADUO期間ごとに最大1100万ドル(約17億4000万円)の追加許容量に加え、2026年シーズンに限り、将来期間のコストキャップから最大800万ドル(約12億7000万円)を前倒しして使用することも可能となる。

■性能監視スケジュールが変更。第1回判定はカナダGP後

 監視のスケジュールについては、2026年シーズンを分割し、各期間中にICE性能を分析し、メーカーがADUO対象となるかどうかを判断することになっている。当初は第1戦〜第6戦、第7戦〜第12戦、第13戦〜第18戦を対象としていたが、バーレーンGPおよびサウジアラビアGPの中止を受け、第1期間は調整され、シーズン最初の5戦(オーストラリア、中国、日本、マイアミ、カナダ)に定められた。つまり、最初の評価はカナダGP後に実施され、グランプリ終了2週間以内に通知される。


 これに伴い、第2期間は第6戦モナコから第11戦ハンガリーまで、第3期間は第12戦オランダから第18戦メキシコシティまでが対象となった。

■「性能均衡化ではなく、制限緩和にすぎない」

ニコラス・トンバジス
FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジス

 FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、ADUOは他カテゴリーで使用されているBoPとはまったく異なるものであると強調した。


「ADUOは一種の性能均衡化メカニズムではないことを明確にする必要がある」


「チームやマニュファクチャラーが突然、より大きな燃料流量を与えられたり、バラストを増減されたりするわけではない。実際には、コストキャップに関する緩和メカニズムであり、レビュー期間中にADUO基準を満たしたPUマニュファクチャラーには、制限を緩和する形でエンジン開発の機会を与えるものだ」


「もちろん、その重要性を軽視しているわけではないが、それでもマニュファクチャラーは、勝つためには依然として最高のエンジンを作る必要がある。これは魔法の弾丸ではないし、FIAが遅れているメーカーに“おまけポイント”を与えるようなものでもない。単に、技術規則の枠組みの中でパワーユニット開発を進める余地を与える制度にすぎない」



(GrandPrix.com / autosport web)


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