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【F1ドライバーの履歴書】レッドブルが約13億円の違約金を支払って獲得したアルボン
2026年4月28日
世界最高峰の4輪レースであるF1でレギュラードライバーの座を掴んだ人物は、下位カテゴリーからライバルを圧倒してきた名手ばかり。そこで、F1に到達するまでに彼らがどれほど活躍し、いかにして周囲のライバルとの違いを見せつけてきたのかを改めて確認するべく、2026年F1に参戦する22名がF1ドライバーになる前、ステップアップカテゴリーで残してきた結果やエピソードを『F1ドライバーの履歴書』と題した不定期連載でお届けする。
第12回目に登場するのは、2019年にF1デビューを飾った現在30歳のアレクサンダー・アルボンだ。
1996年3月23日にロンドンの中心部シティ・オブ・ウェストミンスターにて誕生したアルボンは5人兄弟の長男だ。父ナイジェルはBTCCイギリスツーリングカー選手権などに参戦経験があるイギリスのレーシングドライバー。母カンカモルはタイ出身の実業家という家に生まれたため、アルボンはイギリスとタイそれぞれの国籍を有している。
本格的なカートキャリアの始まりは8歳となった2005年で、2年目の2006年にはイギリス国内選手権のスーパー1ナショナル選手権のホンダ・カデットクラスでチャンピオンに輝いている。アルボンはキャリア初期から各シリーズで好成績を残し、12歳という若さで2008年にはレッドブルの若手ドライバー育成プログラムであるレッドブル・ジュニアチームへの加入を果たした。飲料メーカーであるレッドブルはオーストリアに本部を置くが、そのルーツはタイにあり、当時半分近い株式はタイ人共同創業者のチャリアオ・ユーウィッタヤーが保有していた。タイで暮らした経験がないアルボンがタイ国籍で活動するのは、レッドブルをはじめとしたタイ系スポンサーの存在が大きい。
2011年までレーシングカートを戦い、2012年より四輪へ転向。エピック・レーシングから、ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー2.0と、フォーミュラ・ルノー2.0アルプスというふたつの選手権へ参戦する。ただ、2012年は一度も表彰台に上がることはできず、ユーロカップで選手権38位(決勝最高位17位/年間無得点)、アルプスで選手権16位(決勝最高位5位/年間26点)に終わり、シーズン終了後にヘルムート・マルコの判断でレッドブル・ジュニアチームから離れることになった。また、母カンカモルが詐欺罪で告訴され、2012年10月に懲役6年の実刑が下ったと当時BBCをはじめとしたイギリスメディアが報じている。


レッドブルの支援を失ったアルボンは、2013年よりロータスF1の育成プログラム『ロータスF1ジュニアチーム』に加入。さらにチームはベルギーのKTRに移籍し、引き続きユーロカップ・フォーミュラ・ルノー2.0に参戦した。1度ポールポジションを記録するも、決勝の最高位は5位。同じロータス育成のエステバン・オコンが選手権3位となるなか、アルボンは選手権16位となった。なお、スポット参戦したNEC(北欧)で2位表彰台を獲得するなど、少しづつ四輪のドライビングを学ぶシーズンとなった。
3年目のユーロカップ・フォーミュラ・ルノー2.0参戦となった2014年、アルボンは勝利を飾ることはできなかったがコンスタントにポイントを重ね、ニック・デ・フリース、デニス・オルセンに続く選手権3位となった。1年目の選手権38位、2年目の選手権16位からは大きな飛躍となったが、優勝を飾ることはできなかった(2位1回、3位1回)。それでも、スポット参戦したNECではチェコのオートドローム・モストにおいて優勝。四輪3年目にして待望の初優勝となった。


2015年、アルボンはFIA F3ヨーロピアン選手権にシグネチャーから参戦する。ただ、この年はチャンピオンとなったフェリックス・ローゼンクビストを筆頭に、アントニオ・ジョビナッツィ、ジェイク・デニス、シャルル・ルクレール、ランス・ストロール、ジョージ・ラッセルといった名手が一堂に会したシーズンだった。
フォーミュラ・ルノー2.0での長きにわたる苦戦、そしてライバル勢の顔ぶれから考えれば、アルボンが2015年に記録したポールポジション2回、2位3回を含む5回の表彰台、選手権7位という成績は善戦したとも言える。ただ、その一方でジニー・キャピタル率いるロータスF1はチーム消滅の危機を迎えていた。F1チームはルノーが買収することになったが、ロータスF1育成プログラムは2015年をもって終了。アルボンは初めて育成無所属ドライバーとして翌シーズンを迎えることになった。
育成無所属となったアルボンはタイのエスト・コーラ(est/スームスック社)の支援もあり、GP3に参戦するARTグランプリのシートを得た。2010年から始まったGP3だが、2014年を除きARTグランプリがチームタイトルを獲得する状況であり、アルボンにとってはこれまでの評価を変える最大のチャンスだった。事実、ARTグランプリのマシンは速く、アルボンは開幕戦のレース2での優勝を皮切りに、優勝4回(年間最多優勝/そのうちより多くのポイントが得られるレース1の優勝は2回)、優勝を含む6回の表彰台登壇を果たしたが、チームメイトのルクレールに25点届かず、選手権2位となった。


GP3での活躍ぶりが評価され、2017年はFIA F2にARTグランプリから参戦。チームメイトは日本の松下信治だった。アルボンは開幕から3戦6レースで表彰台には上がれずともコンスタントにポイントを獲得し続けていた。しかし、友人ラッセルとマウンテンバイクで出かけた際に山林で転倒し鎖骨を骨折。バクー戦を欠場することになり、当時ルノーF1のリザーブドライバーだったセルゲイ・シロトキンが1戦限りの代役を務めた。復帰後は2位2回を獲得も、7レースでノーポイントとなり選手権10位に終わった(チームメイトの松下は2勝を飾り選手権6位)。
2018年も引き続きFIA F2に参戦となったが、チームはダムスに移籍した。2018年は新型マシン導入1年目となるなか、アルボンは3回のポールポジション、4回の優勝を飾る。ただ、メルセデス育成のラッセル、マクラーレン育成のランド・ノリスに届かず選手権3位でFIA F2参戦2年目を終えた。F1チームの育成プログラムに所属しないアルボンは次なるキャリアをABBフォーミュラE選手権に定め、2018/19年(2018年12月に開幕)からワークス参戦するニッサン・e.damsのシートを得た。
アルボンは当時ニッサンが発行したプレスリリースにおいて「競争が激化しているフォーミュラE選手権において、世界を代表するドライバーたちに対して自分がどこまで戦うことができるのか。今からとても楽しみにしている」とコメントしていた。


一方、スクーデリア・トロロッソは2019年シーズンにおいてダニール・クビアトのチームメイトを務めるドライバーの選定に苦労していた。というのも、当時レッドブル育成の筆頭格だったダニエル・ティクトゥムはスーパーライセンス獲得条件に僅かに届いていなかったからだ。フォーミュラE開幕まで2カ月というなかで、スーパーライセンスの条件をクリアしていたアルボンにレッドブルが接触しているのではないかという報道が駆け巡った。
そうして迎えた11月27日、トロロッソがアルボンのレギュラー起用を発表した。ニッサン・e.damsはアルボンに代わってオリバー・ローランドを起用することになり、結果的にローランドのその後のレースキャリアを大きく変える出来事にもなった。なお、レッドブルからニッサン・e.damsに対し、1000万ユーロ(約13億円)という違約金が支払われたという。
2012年末にレッドブル育成を解雇され、ロータスF1育成、そして無所属期間を経てトロロッソのシートを得ることになったアルボン。レッドブルに再指名される結果を残したことで大抜擢され念願のF1デビューを叶えた。
さらにトロロッソでのF1デビューから半年後には兄弟チームであるレッドブルに移籍(ピエール・ガスリーとシートを交換)。かと思えばセルジオ・ペレスの移籍でレギュラーシートの座を奪われ、2021年はDTMドイツ・ツーリングカー選手権に参戦することになった。
2022年から現在までウイリアムズのレギュラーを務めるアルボンのキャリアを語る上で、カート時代から始まったレッドブルの支援は欠かせないだろう。ただ、育成契約解除を経て、1000万ユーロ(約13億円)の違約金を支払ってまで再び呼び戻されたアルボンは、レッドブルの事情に振り回されたドライバーの筆頭かもしれない。
(Text:autosport web)
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| 3/27(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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| 予選 | 結果 / レポート | |
| 3/29(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 72 |
| 2位 | ジョージ・ラッセル | 63 |
| 3位 | シャルル・ルクレール | 49 |
| 4位 | ルイス・ハミルトン | 41 |
| 5位 | ランド・ノリス | 25 |
| 6位 | オスカー・ピアストリ | 21 |
| 7位 | オリバー・ベアマン | 17 |
| 8位 | ピエール・ガスリー | 15 |
| 9位 | マックス・フェルスタッペン | 12 |
| 10位 | リアム・ローソン | 10 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 135 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 90 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 46 |
| 4位 | TGRハースF1チーム | 18 |
| 5位 | BWTアルピーヌF1チーム | 16 |
| 6位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 16 |
| 7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 14 |
| 8位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 2 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 2 |
| 10位 | キャデラックF1チーム | 0 |


