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F1史に刻まれたワーストレギュレーション(2)2戦で廃止。予選の時限式ノックアウト制/タイヤ無交換ルール下で14台が棄権
2026年4月25日
2026年にF1は、バトルを増やし、環境負荷を低減することなどを主目的に、レギュレーションを一新、新世代マシンを導入した。3戦を消化した段階での評価には、エネルギーマネジメントの重要性が高まったことで、予選でも全力でプッシュできない、バトルが人工的、速度差が大きくなり危険が生じるなどの批判的な声も多々あり、第4戦からの規則修正も決まった。
今年のレギュレーションはまだ初期段階であり、確定的な評価は下せない。だが、F1の歴史のなかでは、後年に振り返っても否定的な見方をされるレギュレーションやマシンがいくつかある。今回の特集では、そういうレギュレーションとマシンに焦点を当て、ベテランF1ジャーナリストの柴田久仁夫氏と尾張正博氏に、1999年以前、2000年以降に分けて、ワーストレギュレーションおよびワーストマシンを3つずつ選んでもらった。
今回は尾張氏によるワーストF1レギュレーション3選を紹介する。
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F1では安全性、公平性、興行性などを向上させるため、必要に応じてレギュレーションが変更されてきた。しかし、時としてこのレギュレーション変更がチーム同士、メーカー同士、あるいは国際自動車連盟(FIA)やF1とチーム側による権力争いの場に発展することが少なくなかった。
■予選の時限式ノックアウト方式(2016年)

その象徴ともいえるレギュレーション変更は、2016年に導入された「時限式ノックアウト方式」による予選フォーマットだった。
これは予選Q1からQ3の各セッションで開始から一定時間が経過した時点で最下位タイムの1台が脱落していくという制度。2014年にF1に投入されたパワーユニットにおいて、特定のチームが上位を占める状況が続いていたため、ルール変更によって、グリッドをかき回したいという狙いがあった。
しかし、混乱したのは上位チームではなく、下位チームのほうだった。そのため、開幕戦オーストラリアGP予選翌日の日曜日の朝に、チーム代表らが緊急会議を開き、満場一致で新予選方式の全廃に同意することになる。

ところが、FIAはチーム側の要求を受け入れず、2戦目のバーレーンGPでも同じ予選システムを採用。そのため、バーレーンGPの予選でも状況は改善せず、全チームが予選システム変更の要請を再び行い、F1委員会および世界モータースポーツ評議会での承認を経て、第3戦中国GPから前年までと同様の予選システムが復活した。
ルールを変更して競技を盛り上げようとするF1やFIAの努力は尊重する。しかし、強引な変更は痛みを伴う。というのも、この年の予選方式を巡っては、当時のF1界のボスだったバーニー・エクレストンが、リバースグリッド導入という過激なプラン導入を希望していた。
しかし、ほぼトップチームで構成されるストラテジーグループによる会合で、この案が却下されたため、FIAのレースディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングが、ノックアウト方式に変更を加えた“時限式”ノックアウト方式を提案したのだった。
つまり、この時限式ノックアウト方式は、理想を目指して満を持して導入されたルールではなく、上位グリッドを独占していたトップチームを引きずり下ろすためのリバースグリッドに代わって、突如導入を余儀なくされた不完全なルールだった。

この時限式ノックアウト方式を巡る一連の混乱によって、エクレストンの求心力は急速に低下した。その後、リバティメディアがF1の株式を買収したのに伴い、エクレストンはF1の要職を退任。F1の近代化、国際化に大きく貢献したエクレストンにとって、晩節を汚す改悪のルール変更となった。
■予選&決勝タイヤ無交換ルール(2005年)

2005年の「タイヤ無交換」ルールも、安全性よりも政治的な争いによって導入された悪法だったと言える。予選から決勝を1セットのタイヤで走り切らなければならないというルールは、表向きには、コスト削減やスピードを抑制して安全性を高めるために導入された。しかし、現実には前年の2004年にシーズンを席巻していたフェラーリとブリヂストンの勢いを止めるために導入されたものだった。
結局この年、フェラーリとブリヂストンはタイトルを逃した。そういう意味ではこのルール変更は成功したように見える。しかし、安全性という面において、ブリヂストンのタイヤはライバルのミシュランに劣ることはなかった。それを象徴したのが、アメリカGPだった。フリー走行でトヨタのラルフ・シューマッハーが左リヤタイヤをバーストさせてクラッシュ。幸いシューマッハーは大事に至らなかったものの、レースを欠場する事態となった。

トヨタにタイヤを供給していたミシュランはすぐさまクラッシュの原因となったシューマッハーのタイヤを調査。その結果、タイヤのサイドウォールが著しく損傷してたことが判明した。
そこでほかのミシュラン・ユーザーのタイヤを調査すると、やはり同じようにサイドウォールにダメージが確認された。そこでミシュランはタイヤに負担がかかるコースの最終区間にシケインを設けるよう提案。しかし、FIAは「ミシュランが持ち込んだタイヤが安全でないことを理由に、そのようなことを行うのは、適正なタイヤを持ち込んだブリヂストンを使用するチームに対して不公平だ」という理由でミシュランの提案を却下。逆に「ミシュランを履くチームが最終区間で自主的にスローダウンして安全な速度で通過するか、ペナルティを受けることを覚悟で何度もタイヤを交換しながらレースを走る」ことを提案した。
しかし、ミシュラン・ユーザーはこの提案を受け入れることはなく、ミシュランを履く14台はフォーメイションラップを終えるとそのままピットに戻り、レースを棄権。グリッドにはブリヂストンのタイヤを履く、フェラーリ、ジョーダン、ミナルディの3チーム6台のマシンのみが並ぶという前代未聞の光景の中でスタートが切られた。

失った信頼を回復するため、ミシュランはグランプリのチケットを購入したすべての観戦者に対し、補償することを発表。さらにミシュランは2006年アメリカGPのチケットを2万枚購入し、2005年のチケット購入者に配布した。
この年、ミシュラン・タイヤを履くフェルナンド・アロンソがチャンピオンに輝き、ブリヂストンとのタイヤ戦争に初めて勝利。翌年も連覇した。しかし、安全性への高い信頼を得ることに成功したのはブリヂストンだった。

過度なタイヤ開発競争を抑制するために、F1は2007年からワンメイク制を導入。ミシュランは撤退し、ブリヂストンがサプライヤーを務めた。
このようにレギュレーション変更は単なるルール変更にとどまらず、権力闘争やその後のF1の行方を左右する事態に発展することも少なくない。
■議論が続く2026年レギュレーション

現在、改訂のための議論を続けている「2026年レギュレーション」も、上記の2つのレギュレーション変更と同様に、大きなインパクトを与えたレギュレーション変更だったと言える。そのレギュレーションが今後、どのように改変されるのか。場合によっては、痛みを伴うことを覚悟して、今後の推移を見守りたい。
(text : 尾張正博)
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| 1位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 72 |
| 2位 | ジョージ・ラッセル | 63 |
| 3位 | シャルル・ルクレール | 49 |
| 4位 | ルイス・ハミルトン | 41 |
| 5位 | ランド・ノリス | 25 |
| 6位 | オスカー・ピアストリ | 21 |
| 7位 | オリバー・ベアマン | 17 |
| 8位 | ピエール・ガスリー | 15 |
| 9位 | マックス・フェルスタッペン | 12 |
| 10位 | リアム・ローソン | 10 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 135 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 90 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 46 |
| 4位 | TGRハースF1チーム | 18 |
| 5位 | BWTアルピーヌF1チーム | 16 |
| 6位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 16 |
| 7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 14 |
| 8位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 2 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 2 |
| 10位 | キャデラックF1チーム | 0 |


