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【F1チーム代表の現場事情:メルセデス】ホーナーが去り、敵意が消えたF1。ウォルフは仇敵の復帰を阻止するのか

2026年4月7日

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、メルセデスのチーム代表トト・ウォルフに焦点を当てた。

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 今年、メルセデスが再び支配的な強さを取り戻し、トト・ウォルフは今や絶頂期にある。だが、こうした順風満帆な状況の中で、長年のライバルであったクリスチャン・ホーナーとの対立から生まれていたスリルを、どこかで恋しく思っている部分もあるのではないかと想像するが、それは的外れだろうか。


 ウォルフ率いるメルセデスは、今季ここまで3戦3勝を挙げており、少なくとも現時点では、アンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルにシーズンを通して挑戦できる存在が現れるとは考えにくい。ウォルフにとっては、まさに絶好の状況である。

アンドレア・キミ・アントネッリの優勝とジョージ・ラッセルの2位を祝うメルセデス
2026年F1第2戦中国GP アンドレア・キミ・アントネッリの優勝とジョージ・ラッセルの2位を祝うメルセデス

■ホーナー不在で変わったパドックの空気

 注目すべきなのは、この好調なスタートにもかかわらず、チーム代表同士の間に今のところ大きなドラマが見られていないことだ。議論を呼ぶレギュレーション変更の初年度としては異例とも言えるほど、チーム間の敵意が感じられない。この状況から、グリッド上でも屈指の個性派であったホーナーの不在を感じずにはいられない。もし彼が依然としてレッドブルの職にあったなら、今季すでに何らかの形でウォルフに対して牽制球を投じていたことは間違いないだろう。

クリスチャン・ホーナー
クリスチャン・ホーナー(当時レッドブル代表)

 とはいえ、その機会はそう遠くない将来に訪れるかもしれない。昨年7月の電撃解任後、レッドブルとの間で巨額の和解契約を結んだホーナーは、その条件によって今年6月にはF1復帰が可能になる。では、ウォルフは旧敵の復帰をどう見ているのか。彼は、日本GP後の発言で、F1内部にはこれに反対する声が多いことを示唆した。


「クリスチャンはF1の中でかなり多くのガラスを割ってきた。そうした行為は、この小さな世界の中で必ず反響を生む。何か発言するということ――それこそが彼の生き方であり、最も得意としてきたことだ」

■アルピーヌ株式取得検討も、ホーナー締め出しの意図はなし

 ホーナーの復帰について、少なくとも最も現実的なルートを阻む存在になり得るのは、ウォルフ自身かもしれない。ここ数カ月、ホーナーはアルピーヌF1チームへの出資を目指すコンソーシアム結成を進め、水面下で交渉を進めてきたとされる。このコンソーシアムには、ニューヨーク・メッツのオーナーであるスティーブ・コーエンも含まれているとみられている。彼らは現在、オトロ・キャピタルが保有するアルピーヌの株式24%の取得を狙っており、実現すればホーナーはCEOとして復帰する可能性が高い。レッドブル時代ほど現場に深く関与する役割ではないものの、株式を保有することで、同様の形で解任されるリスクは低くなるだろう。


 一方、ウォルフとメルセデスもまた、オトロが所有する株式の取得を検討しており、それをアルピーヌのフラビオ・ブリアトーレは認めている。現在メルセデスがアルピーヌにエンジンを供給していることを考えれば、これは理にかなった動きであり、これが実現すれば、アルピーヌがメルセデスのジュニアチーム的な位置付けになる可能性もある。

トト・ウォルフ(メルセデスF1チーム代表)
2026年F1オーストラリアGP トト・ウォルフ(メルセデスF1チーム代表)

 当然ながら、この動きはウォルフが私怨からホーナーの動きを封じるためのものではないかと見る向きもあるが、ウォルフ本人はこれを否定している。


「我々がその株式に関心を持っていることと、クリスチャンとは無関係だ。誰がアルピーヌ株を取得するかをめぐって、彼と私の間に対立があるというのはまったくの作り話である。そんな理由で投資を判断するのであれば、それはむしろ残念ことだ。我々はさまざまな角度から検討しており、まだ結論には至っていない。理にかなった行動なにかどうかを見極めたい」


 さらにウォルフは、かつての舌戦をどこか懐かしく思っている節も見せた。フェラーリ代表フレデリック・バスールとの会話や、映画『続・夕陽のガンマン』(原題はイタリア語で『Il buono, il brutto, il cattivo』=善玉、悪玉、醜い奴)を引き合いに出し、冗談めかしてウォルフはこう語った。


「(ホーナーの復帰については)複雑な気持ちだ。このスポーツには個性が必要だ。彼のキャラクターは非常に物議を醸すものだったが、それはスポーツにとって良いことでもある。フレッドに言ったことだが、F1には『善玉と悪玉と醜い奴』が必要だ。だが今は、善玉と醜い奴しか残っていない。悪玉は消えてしまった!」


 ウォルフは、出資に関するメルセデスの交渉が成功するかどうかについては明言を避けた。もし実現すれば、ホーナーは別のF1復帰ルートを探さなければならないが、現時点で有力な選択肢は見当たらない。彼はこれまでフェラーリからのオファーを繰り返し断っており、同社会長ジョン・エルカンと親交がありながらも、加入に関心はないと語っている。


 アストンマーティンF1チームに関しては、エイドリアン・ニューウェイが近くチーム代表職から退く見込みとされるなかでの“ダークホース”的存在として、ホーナーが加入する可能性はゼロではない。ジョナサン・ウィートリーがアウディから離れ、いずれアストンマーティンの代表の座に就くと見られているが、正式発表がなされたわけではない。ウィートリーがうわさどおりアストンマーティンと契約するなら、ホーナーの落ち着き先の候補はさらに限られることになるだろう。


 もっとも、ホーナーが二度とF1に戻らなかったとしても、ウォルフが気に病むことはなさそうだ。

トト・ウォルフ(メルセデスF1代表)/クリスチャン・ホーナー(レッドブルF1当時代表)
トト・ウォルフ(メルセデスF1代表)とクリスチャン・ホーナー(レッドブルF1当時代表)

「彼が復帰の道を見つけるのか、どのような役割になるのかは分からない」とウォルフは言う。


「もちろん、彼に悪いことが起きてほしいなどとは思っていない。互いの功績は認めるべきだ。彼ほどのことを成し遂げたチーム代表は多くない。どんな結果になろうと、彼がF1に戻ろうと戻るまいと、私はかまわない」



(Text : Nate Saunders)


レース

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6位オラクル・レッドブル・レーシング16
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