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“代償”を承知で昨年は終盤まで開発を続けたレッドブル。代表は「正しい判断」と主張、2026年も同じ方針で巻き返しを狙う

2026年4月7日

 オラクル・レッドブル・レーシングは、ある種の皮肉に直面している。2025年のタイトル争いを救った、あの容赦ない完璧主義の追求が彼らを蝕んでいるのかもしれないのだ。レッドブルのチーム代表を務めるローレン・メキースは、昨年マックス・フェルスタッペンがドライバーズ選手権で猛追を見せたことを受けて、シーズン終盤までマシンの開発に取り組んだことによって「代償を払っている」と認めた。


 フェルスタッペンの猛追は目覚ましいものだった。2025年の第15戦オランダGP終了時点で選手権3位につけていたフェルスタッペンは、当時選手権首位に立っていたオスカー・ピアストリ(マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム)と104ポイント差だったが、9戦後の第24戦アブダビGPでは、最終的にタイトルを獲得したランド・ノリス(マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム)にわずか2ポイント差のところまで迫ったのだった。

2025年F1第24戦アブダビGP 表彰式
2025年F1第24戦アブダビGP表彰式 優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、3位ランド・ノリス(マクラーレン)

 しかしこれには代償が伴った。そのひとつは、2026年シーズンの序盤においてすでに現れている。F1の予算制限と空力テストの制限によって、マシン開発の幅が狭まっているなか、昨年ライバルたちが2026年型マシンの開発へ移行した後もレッドブルは10月下旬まで2025年型マシン『RB21』の改良を続けたため、彼らの2026年型マシン『RB22』の開発は後れをとってしまった。シーズン開幕から3戦を終えた時点で、レッドブルはコンストラクターズ選手権で6位にとどまり、首位のメルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チームとは119ポイント差だ。


 メキースは率直に、この決定は意図的なものであり、彼自身の見解では正当なものだったと明言した。彼はポッドキャスト番組『Beyond the Grid』のなかで、「誰も諦めたくなかったので、(決断を下すことは)簡単だった」と語った。


「当時も今も、正しい判断だったと考えている。なぜなら、2025年の限界を完全に理解していなかったにもかかわらず、2026年に向けて物事を進めるのは安易な逃避であり、来年はよくなるだろうという甘い考えだと感じたからだ」


「我々はそれが正しいやり方だとは思っていなかった。そして今、昨年の終盤の??追い上げに費やした時間とエネルギーが2026年のスタート地点に影響を与えているかどうかというと、もちろんそうだ。だから我々はその代償を少し払っている」

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第19戦アメリカGP ポール・トゥ・ウインで通算68勝目を飾ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 責任転嫁しようとする意図はない。メキースは、チームの現状について次のように明確な見解を示した。


「それを言い訳として利用するのか? 答えはノーだ。我々はスタート地点には満足していないが、この困難を乗り越えられると考えている。昨年できたように、限界を完全に理解できるだろう。このチームはこれまで何度も状況を好転させてきた。今年もまたそのチャンスがある」

■「代償を払うことはわかっていた」

 もしレッドブルが計算を誤ったとしても、それは信念に基づいてのことだった。メキースは、欠陥のあるマシンを理解せずに放棄することを拒むチームの姿を描き出しており、この精神が2025年後半の躍進を支えたのだ。


「チームのメンバー全員のためにも、とても嬉しかった。というのも、昨シーズンは苦しいスタートを切ったからだ。マシンは彼らが望んだレベルのパフォーマンスを発揮せず、プレッシャーも大きかった」


「シーズンの中盤になって、新しいチーム代表が就任した。2026年からの新しいレギュレーションや新しいパワーユニット計画などがあり、『よし、切り替えよう。2025年はうまくいかなかった。2026年に集中しよう』と言える理由はあった。しかし何か違うことをしたり、違うやり方を望んだりするのは、正気の沙汰ではなかっただろう。実際、ミルトン・キーンズでは誰もそんなことを望んでおらず、誰も切り替えたくなかった。みんな2025年型マシンの問題を突き止めて、期待通りの性能を発揮できなかった原因を究明し、状況を好転させたかった」


「そして、後々その代償を払わなければならないことをわかっていた。しかしそれこそが、このチームにおける闘志の強さを表している」

オラクル・レッドブル・レーシング
2026年F1第3戦日本GP オラクル・レッドブル・レーシングのクルー

 2025年シーズンの終盤に追い上げたことでレッドブルは勝利を掴んだが、同時に不安定さも得た。そのためメキースは、この道のりを美化してはいない。


「彼らは何が自分たちの足枷になっているのかを理解し、抱えていた問題を解消するためのアップグレードや解決策を提供しようと大いに努力して、そうすることで多大なリスクを負ったが、シーズン後半はスムーズには進まなかった。我々はたくさんの勝利を収めたが、同時に極めて苦しいレースもあった。ザントフォールト(オランダGP)やブダペスト(ハンガリーGP)、あるいはブラジルでの土曜日の(スプリント)レースを覚えている方も多いだろう」


「こうした成功はすべて、決して諦めようとしなかったチームの素晴らしい精神力があってこそ実現したものであり、状況を好転させるために、チームが短い期間のなかで取らなければならなかった大きなリスクから生まれたものだ」


 チームは今もこの精神でいるが、状況は変わった。2025年、レッドブルはタイトル獲得を目指していたが、2026年はライバルを追いかけている。そして、巻き返しははるかに困難になるかもしれない。

ローレン・メキース代表(レッドブル)
2026年F1第3戦日本GP ローレン・メキース代表(レッドブル)


(Text : autosport web)


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