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“F1ど素人”小林可夢偉が東京タワーのイベントに登場。2012年の表彰台獲得やハースの“小ネタ”に言及

2026年3月25日

 3月25日、東京都内で行われたF1日本グランプリ公式プロモーションイベント『F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2026』のトークイベントに、レーシングドライバーの小林可夢偉が登壇。F1参戦時代の思い出話や、現代F1の裏話などを軽妙な“可夢偉節”を織り交ぜながら披露し、集まった観客を沸かせた。


 東京都港区に位置する東京タワーの真下で行われた同イベント。あいにくこの日は昼頃から雨となったが、それでも多くのF1ファンがステージや展示イベントを見ようと詰めかけた。

■「自分は恵まれているな」と感じた鈴鹿の表彰台

 そんななか可夢偉は、一連のトークショーの先陣を切る形で、13時からのステージイベントに登場。MCを務めたピエール北川さんとトークを繰り広げた。


 2009年から2014年までF1に参戦していた可夢偉は現在、WEC世界耐久選手権、全日本スーパーフォーミュラ選手権を中心に活動している。もともとこの『F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2026』およびF1日本グランプリの週末は、WECの開幕前テスト『プロローグ』と第1戦がカタールで予定されていたが、中東情勢を受け延期に。このため、日本GPの週末の日本滞在が叶った形だ。


 当初このイベントへの出演が発表された際、可夢偉はSNSで「F1ど素人ですが、素人目線で盛り上げできたらと思います」と投稿していたが、ステージに上がってもその“謙虚さ”は変わらず、「多分、皆さんの方が(今のF1を)よく知ってると思うんですよ。なんやったら、ドライバーも結構分からない。一番若いドライバーって何歳です? 19歳? 僕、もう今年40ですよ。そのドライバーから見たらおっさんですよ」とのっけから“らしさ”全開のステージとなった。


 事前に募集した質問に答える形でトークショーは進行。日本グランプリの思い出を問われた可夢偉は最初に出場した際の心境に触れ、「やっぱり(世界を転戦して)戦っていると、日本に帰ってくる機会があまりない。それが初めて日本グランプリを迎えると、やっぱりホームに帰ってきたという雰囲気がある。それが、日本人ドライバーにとっては特別だなと思う」と答えた。


 また、当時自らの英語3文字でのドライバー名表示が「KOB」だったことに触れ、「外国だとコバ、コバって呼ばれてたんですけど、日本に帰ってきたら『カムイ』って呼んでもらえて、『日本に来たわぁ』って感じでした」と当時を振り返った。


 続いて2012年の日本グランプリでの表彰台獲得に関して、表彰台からの景色やその際の感情を問われると、「あのときはいろいろと特別でしたね」と可夢偉は回想を始めた。


「翌年のシートはほぼないと思ってたし、あそこがあのクルマで表彰台の可能性が唯一あるグランプリだったんじゃないかと思っていました。シーズン通して結構不運があったなかで、自分のホームグランプリで表彰台が獲れたので、自分は恵まれているなというか、本当に運があるなと、浸っていましたね」


「ファンの皆さんからの声援(『カムイ!』コール)も本当に良かったですし、なんだったら僕が勝ったんじゃないかっていうくらい、皆さんから声援をいただけたので。もう、2位のフェリペ(・マッサ)と勝った(セバスチャン・)ベッテルが完全に困ってましたもんね、『俺、勝ったんだよね?』みたいな」

■ハースF1のエンジニア加入に一役買う

 現役のスーパーフォーミュラドライバーとして鈴鹿をよく知る可夢偉は、続く「鈴鹿サーキットの面白さ、難しさ」についての質問には、次のように答えた。


「高速コーナーが全開か全開でないかとか、ハンドル操作をすごく緻密にやっていかないといけない連続コーナーがあったりして、1周気持ちよくまとめるのがすごく大変。クルマがいいだけでも速く走れないし、クルマとドライバーが本当に気持ちがつながって走るからこそ速く走れるサーキットが鈴鹿かなと思っているので、そこが多分、世界中を転戦しているドライバーが鈴鹿に来て『うわ!』と思うのだろうし、その気持ちが見ているファンの人たちにも伝わっているんじゃないかな」


 また、そんな鈴鹿は世界トップレベルのドライバーたちの間でもアプローチが分かれる傾向にあるようで、可夢偉によれば、若くて鈴鹿を知らないドライバーは「意外とイケイケ、どんどん」だという。失敗を積み重ねていくことでコースを自分のものにし、「まとめるドライバーに変わっていく」のだそうだ。


 今年からのレギュレーションの大変更により、鈴鹿でのエネルギーマネジメントは「結構大変になるのではないか。毎周、ブレーキングポイントが変わるんじゃないですかね」と可夢偉。このあたりはWEC最高峰クラスの規定がLMP1だった時代、ハイパワーのハイブリッドマシンにおけるエネルギー制御に関わった経験から、新時代のF1を興味深く見ているようだった。

小林可夢偉
『F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2026』のトークステージに登壇した小林可夢偉

 なお可夢偉は「小ネタ」として、現在ハースF1で2台を統括するチーフエンジニアについて、その加入に一役買っていた過去も明らかにした。


「あのエンジニア、僕のザウバー時代のエンジニアなんですよ。一時期アウディでフォーミュラEやって、そのあとダカールラリーに行って。ある時、小松さん(ハースF1小松礼雄代表)のところからトヨタを経由して連絡が来て、『あのエンジニア、どうだ?』と。それで僕が『こうですよ』と答えて。そこから連絡がなかったんですけども、気づいたら加入していたという(笑)。『えぇ!』って。狭い世界だな、と」


 最後に可夢偉は週末の日本グランプリに向け、「F1がすごく盛り上がってるし、世界選手権がたくさんの人の目に入る時代になったと思います。今年はルールが変わって、メルセデスはかなり強いレースをしていますが、鈴鹿だったらもしかしたらいろいろと状況が変わるかもしれないと思っていて、個人的には非常に楽しみにしています」と期待感を語った。


 なお、「素人なので、チケット買えなかったんですよ」という可夢偉は、映像を通して日本グランプリを観戦するとのこと。


 最後はピエール北川アナウンサーの声かけにより、2012年の鈴鹿を彷彿とさせる『カムイ!』コールが観客から巻き起こるなか、“素人代表”の可夢偉はステージを後にした。




(Kazushi Nakano / autosport web)


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