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鈴鹿で注目される2チーム。熾烈なパワーユニット開発競争が変えた勢力図/『F1』2026年日本GPガイド

2026年3月23日

 3月27〜29日、三重県の鈴鹿サーキットで2026年F1第3戦日本GPが開催される。ここではビギナーがより日本GPを楽しめるよう、F1の基本情報や知っておきたい知識、そしてF1日本GPの見どころをお届けする。

 F1は世界各国・地域の自動車クラブやモータースポーツ統轄団体が加盟するFIA国際自動車連盟が主催する四輪モータースポーツの最高峰レースシリーズだ。その歴史は1950年に始まる。第二次世界大戦前はヨーロッパ各国でそれぞれレースが行われ、各国の最も権威のあるレースに『グランプリ(GP/GRAND PRIX)』の名称が与えられた。


 第二次世界大戦後、これらのGPをシリーズ戦とし、年間を通じてチャンピオンシップを競う世界選手権として開催する構想が立ち上がり、1950年にF1世界選手権がスタートした。なお、F1のFは『Formula(規格)』の頭文字であり、直訳すれば『規格1』となり、F1はFIAが定めたレース用車両の最高峰規格であることを意味している。当初はヨーロッパを中心に開催されてきたが、現在は北米、南米、アジア、中東、オセアニアでも開催され、文字通りの世界選手権として現在に至るまで確固たる地位を確立している。

1950年F1フランスGP ジュゼッペ・ファリーナ(アルファロメオ158)
1950年F1フランスGP ジュゼッペ・ファリーナ(アルファロメオ158)

■開催スケジュール:バーレーンGP、サウジアラビアGP中止で全22戦に

 2026年シーズンは3月6〜8日にオーストラリアGPで開幕を迎え、日本GPは第3戦として三重県の鈴鹿サーキットで開催される。当初は全24戦を予定していたが、イスラエルとアメリカによるイラン攻撃を発端とする中東情勢悪化に伴い、4月に予定されていたバーレーンGP、サウジアラビアGPが中止に。そのため、第3戦日本GP終了後の4月は約1カ月間レースがなく、次戦は5月1〜3日に開催される第4戦マイアミGP(アメリカ・フロリダ州/当初は第6戦)となる。

 なお、2026年の全22戦のうち、9月11〜13日に開催される第14戦スペインGPの舞台『マドリンク』は2026年がF1初開催の地だ。スペイン最大級の展示施設『IFEMAエキシビションセンター』の敷地と公道を融合させたコースは全長5.416km。半公道コースながら、ストレートでは最高時速340km/hにも達することが見込まれている。また、激しい高低差やF1カレンダーで最長のバンク角(傾き)を有するコーナーも設置予定だ。コースは現在絶賛建築途中。誰も走行経験がないコースとなるだけに、シーズン中盤に最も注目を集めるレースウイークとなりそうだ。

●2026年F1開催開催スケジュール(改訂版)

ラウンド日程グランプリ(開催地)
13月6〜8日オーストラリア(メルボルン)
23月13〜15日中国(上海)
33月27〜29日日本(鈴鹿)
45月1〜3日マイアミ(マイアミ)
55月22〜24日カナダ(モントリオール)
66月5〜7日モナコ(モンテカルロ)
76月12〜14日バルセロナ・カタルーニャ(カタロニア)
86月26〜28日オーストリア(シュピールベルグ)
97月3〜5日イギリス(シルバーストン)
107月17〜19日ベルギー(スパ・フランコルシャン)
117月24〜26日ハンガリー(ブダペスト)
128月21〜23日オランダ(ザントフォールト)
139月4〜6日イタリア(モンツァ)
149月11〜13日スペイン(マドリード)
159月24〜26日アゼルバイジャン(バクー)
1610月9〜11日シンガポール(シンガポール)
1710月23〜25日アメリカ(オースティン)
1810月30〜11月1日メキシコ(メキシコシティ)
1911月6〜8日ブラジル(サンパウロ)
2011月19〜21日アメリカ(ラスベガス)
2111月27〜29日カタール(ルサイル)
2212月4〜6日アブダビ(ヤス・マリーナ)

■視聴方法:日本での放送・配信はフジテレビ独占。地上波ダイジェストも

 2026年から2030年までの5年間、フジテレビが日本国内における独占オールライツ契約を締結したことに伴い、テレビ放送、配信ともにフジテレビが担うことになった。これまでのCS放送チャンネル『フジテレビNEXT ライブ・プレミアム』、インターネットチャンネル『フジテレビNEXTsmart』に加え、動画配信サービス『FOD』でも、全22戦の全セッションが放送・配信される。


 また『FOD』では日本で初めてF1公式ストリーミングサービス『F1 TV』との連携も実施され、プロコース、チャンピオンコースに加入すれば各車のオンボード映像、チームラジオを楽しめるほか、サポートレースのFIA F2、FIA F3、F1アカデミーを視聴することも可能だ。


 なお、全22戦のうち厳選した最大5戦が地上波でもダイジェスト放送される。今回の日本GPは28日(土)の25時55分〜26時25分に予選ダイジェストが、29日(日)の 23時15分〜23時45分に決勝ハイライトが放送予定となっている。

『FOD F1プラン』説明会
『FOD F1プラン』説明会に登壇したサッシャ氏(左)、中野信治氏(中央)、フジテレビプラットフォーム事業室長の野村和生氏(右)

■車両スペック:新技術規則で激変したF1マシン

 2026年シーズンのF1マシンは、大幅な技術規則(ルール)変更により、前年までのマシンとは大きく様変わりしている。2025年までのF1マシンは車体幅が広く、コース幅が狭いコースではオーバーテイク(追い抜き)が難しかった。そこで、2026年からの技術規則では、オーバーテイクの機会を増やし、見応えのある接近戦が増えることを目指し、車体幅、ホイールベース(前輪の中心から後輪の中心までの距離)、タイヤの幅と外径が縮小され、より俊敏なマシンとなるべく、最低重量も30kg軽くなった。


 現在のF1は内燃機関(ICE/1.6リッターV6ターボエンジン)とバッテリーや電気モーター(MGU-K/運動エネルギー回生システム)を組み合わせたパワーユニット(PU)を搭載し、走行中に電気エネルギーを作りながら、その電気エネルギーを活用して車体を走らせている。2025年までの規定では内燃機関の出力がほとんどを占めており、内燃機関と電気モーターの出力比率は8:2だった。2026年からのPU規則では内燃機関の出力が減らされ、その分電気モーターの出力が大幅に増加。内燃機関と電気モーターの出力比率は5:5となり、これまで以上に電気モーターの出力や性能が問われる規則となった。


 また、よりオーバーテイクの機会を増やすべく『オーバーテイク・モード』という新たな仕組みが導入された。これはレース中、前のマシンの1秒以内まで近づき、その前の車両が290km/hを超える速度まで加速したら、次第にデプロイメント(エネルギー回生)が低下し、電気エネルギーが溜まりにくい=電気エネルギーを使いにくい状況に。一方1秒以内で後ろから追いかける車両には電気モーターから追加エネルギーが出力されるという仕組みだ。電気エネルギーの差は大きく、開幕戦オーストラリアGP、第2戦中国GPでは、特レース序盤にオーバーテイクの回数が大幅に増加している。

新規則下のF1エンジン開発が“挑戦”である理由。「燃焼時の課題となる可能性」とレッドブルPU責任者
アストンマーティンF1の新車『AMR23』に搭載されるホンダ製パワーユニット『RA626H』

 ただ、現状のPU技術規則には課題もある。現状の規則ではコースを1周全開走行すると、電気エネルギーが十分に充電されず、電気エネルギーが足りずラップタイムが落ちてしまう。そのため、決勝だけではなく、予選アタック中も電気エネルギーを充電するべく、リフト・アンド・コースト(電気エネルギーを効率良くリチャージするために、アクセルを戻し/リフト、惰性/コーストで走行する走り方)する状況となった。


 また、2026年からのPU規則では加速時にターボラグ(ターボチャージャーの応答遅れ)が発生するようになり、レーススタートが難しくなっている。2025年まではPU内のターボチャージャーと同軸にMGU-H(熱エネルギー回生システム)があり、内燃機関の排気に含まれる熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、その電気エネルギーでターボコンプレッサーを回し続けたことで、ターボラグが発生することはなかった。


 しかし、2026年からのPU規則でMGU-Hが廃止に。さらに、レーススタート後は50km/hに達するまで電気エネルギーを使用することができない規則となった。50km/hまでは電気モーター(MGU-K)に頼ることもできず、内燃機関のエンジン回転、クラッチ操作、ターボの回転状態をベストな状況に持っていく必要がある。さらに、50km/hを超えてから十分に電気エネルギーを使用できるように、スタート前の段階からバッテリーのエネルギー管理が重要になっている。

 また、2026年からはより俊敏なマシンとなることを目的に『アクティブ・エアロダイナミクス』が導入された。これは2025年まで使用された『ドラッグリダクションシステム/DRS』に代わる仕組みとなる。DRSはレース中に先行する車両の1秒以内に入れば、リヤウイングのフラップが開き、空気抵抗が減ってその分増えるトップスピードを持って先行する車両をオーバーテイクするという仕組みだった。


 新しいアクティブ・エアロダイナミクスは先行する車両の1秒以内に入る必要はなく、指定されたストレートモード・ゾーン内であれば制限なく、低ドラッグ仕様の『ストレートモード』を使用できるというもの。ストレートモードは、標準状態(コーナーモード)からフロントウイングとリヤウイングが稼働し、標準状態よりも空気抵抗が少ない状態となる。ダウンフォースがほしいコーナーと、空気抵抗を減らしたいストレートで、それぞれ最適なエアロを選択できるようになった。とはいえ、『オーバーテイク・モード』とは異なり、オーバーテイク促進が目的なシステムではないことから、レース中継内で言及されることはあまり多くはないだろう。

 いずれにしても、今年のF1はPUの開発、電気エネルギーの最適な使い方を見つけられるかが勝敗を決する状況となっている。現状のPU規則には現役ドライバーからも賛否両論があり、チャンピオン経験者のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「まったく楽しくない。まるでマリオカートをやっているようなものだ。これはレースではない」という厳しいコメントを残している。そのため、F1、FIA、各チームはPU規則について現在も協議を続けており、日本GP後にPU規則に何かしらの変化が加わる可能性がありそうだ。

■日本GPの注目ポイント。優勝争いはメルセデスとフェラーリの一騎打ちか

 今季のF1には、2016年のハース以来となる新規参入チームとしてキャデラックがF1参戦を果たしている。PUはフェラーリ製を使用するが、母体であるゼネラルモーターズ(GM)は将来的な自社製PUの開発に向け準備を進めている。


 そしてザウバーを完全買収したアウディが、自社製PUとともにF1に参戦を開始。さらに、レッドブル・グループ傘下で、レッドブルとレーシングブルズにPUを供給するレッドブル・パワートレインズと提携するかたちでフォードがF1復帰。そして、日本のホンダがアストンマーティンにPUをワークス供給するかたちでF1復帰を果たした。

 新たな技術規則、新たなチーム参戦、PUメーカー参戦&復帰と、新しいもの尽くしの2026年シーズンは、開幕から2戦を終えてメルセデスがPU、シャシー性能ともに他を圧倒。第1戦オーストラリアGPではチームのエースであるジョージ・ラッセルがポール・トゥ・ウイン。第2戦中国GPでは19歳の若手アンドレア・キミ・アントネッリがF1史上最年少ポール・トゥ・ウイン記録を更新した。


 そのメルセデスに対抗する存在は開幕2戦ともに3位表彰台を掴んだフェラーリだが、開幕2戦ではメルセデスに危機感を与えるまでの走りを見せることはできていない。また、メルセデスPUのカスタマー供給を受けるマクラーレンは、第2戦中国GPで2台揃ってPUの電気系トラブルに見舞われ、決勝に出走することが叶わなかった。


 マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラが中国GP後に「開幕前テストの段階から、我々はほとんどPUに関するデータを見ることができず、テストで走行中のデータを見て学ぶしかなかった」とコメントしたとおり、PUに関する情報はワークスチームとカスタマーチームでは大きな差があり、その情報格差が信頼性やリザルトに直結している。それだけに、ワークスチームであるメルセデス、フェラーリの優位性はしばらく続くと予想され、日本GPの優勝候補もこの2チームだ。

 PUメーカーで新規参戦・復帰組となるレッドブル・フォード・パワートレインズ、アウディ、ホンダはそれぞれワークス供給先にもPUトラブルが発生している。メルセデス、フェラーリとのギャップを縮めるために、それぞれが抱える課題の克服が重要だが、いずれのPUメーカーも信頼性向上は必須事項となる。特に、ホンダPUワークスのアストンマーティンは開幕2戦、決勝では完走を果たせていない。確実な前進を図るためにも、まずは無事完走を果たすことを願うばかりだ。


 また、2026年F1に関与する日本の自動車メーカーはホンダだけではない。今季よりトヨタがモータースポーツ・技術開発ブランドであるTOYOTA GAZOO Racing(TGR)として、小松礼雄チーム代表が率いるハースのタイトルパートナーを務め、『TGRハースF1チーム』として参戦している。ハースとトヨタは2024年10月から若手ドライバーなどの人材育成、ハースF1の車両開発分野における業務提携を開始しており、2026年はこの提携がタイトルパートナーにまで発展したかたちだ。

 今季は日本人F1レギュラードライバーはいない。ただ、レッドブルとレーシングブルズが角田裕毅を、レーシングブルズが岩佐歩夢を、そしてハースが平川亮をリザーブドライバーとして起用している。リザーブドライバーは、レギュラードライバーがレースに出場できなくなった際に代役を務める重要な立場で、グランプリウイークにおいてチームに帯同するなど、チームを陰から支える役割を担っている。


 そして、PUサプライヤーであるホンダ、ハースのタイトルパートナーであるトヨタだけではなく、さまざまな日本企業がパートナーやサプライヤーの立場でF1に携わっており、同時に多くの日本人がF1の最前線で戦っている。彼ら、彼女らの母国での戦いに声援を送りたい。

■2026年F1世界選手権 年間エントリーリスト

No.DriverTeamPower Unit
81オスカー・ピアストリマクラーレンメルセデス
1ランド・ノリスマクラーレンメルセデス
63ジョージ・ラッセルメルセデスメルセデス
12アンドレア・キミ・アントネッリメルセデスメルセデス
3マックス・フェルスタッペンレッドブルレッドブル・フォード
6アイザック・ハジャーレッドブルレッドブル・フォード
16シャルル・ルクレールフェラーリフェラーリ
44ルイス・ハミルトンフェラーリフェラーリ
23アレクサンダー・アルボンウイリアムズメルセデス
55カルロス・サインツウイリアムズメルセデス
41アービッド・リンドブラッドレーシングブルズレッドブル・フォード
30リアム・ローソンレーシングブルズレッドブル・フォード
18ランス・ストロールアストンマーティンホンダ
14フェルナンド・アロンソアストンマーティンホンダ
31エステバン・オコンハースフェラーリ
87オリバー・ベアマンハースフェラーリ
27ニコ・ヒュルケンベルグアウディアウディ
5ガブリエル・ボルトレートアウディアウディ
10ピエール・ガスリーアルピーヌメルセデス
43フランコ・コラピントアルピーヌメルセデス
11セルジオ・ペレスキャデラックフェラーリ
77バルテリ・ボッタスキャデラックフェラーリ


(Text:autosport web)


レース

3/13(金) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 結果 / レポート
3/14(土) スプリント 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
3/15(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※中国GP終了時点
1位ジョージ・ラッセル51
2位アンドレア・キミ・アントネッリ47
3位シャルル・ルクレール34
4位ルイス・ハミルトン33
5位オリバー・ベアマン17
6位ランド・ノリス15
7位ピエール・ガスリー9
8位マックス・フェルスタッペン8
9位リアム・ローソン8
10位アービッド・リンドブラッド4

チームランキング

※中国GP終了時点
1位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム98
2位スクーデリア・フェラーリHP67
3位マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム18
4位TGRハースF1チーム17
5位オラクル・レッドブル・レーシング12
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム12
7位BWTアルピーヌF1チーム19
8位アウディ・レボリュートF1チーム2
9位アトラシアン・ウイリアムズF1チーム2
10位キャデラックF1チーム0

レースカレンダー

2026年F1カレンダー
第2戦中国GP 3/15
第3戦日本GP 3/29
第4戦マイアミGP 5/3
第5戦カナダGP 5/24
第6戦モナコGP 6/7
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