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バッテリー2基でリスクのない走行計画を選んだホンダ「次戦はより走行距離を稼ぎたい」【チーム・フォーカス/F1第1戦】

2026年3月12日

 キャデラックがF1に新規参入し、2016年以来10年ぶりに11チームとなった2026年シーズン。その開幕戦は、1チームがスターティンググリッドに着くことができずに10チームで行われる可能性もあった。参加することが危ぶまれていたのが、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームとホンダだった。


 プレシーズンテストで深刻な振動問題に悩まされたアストンマーティンとホンダ。テスト後、ホンダは栃木県さくら市にあるホンダF1の拠点であるHRC Sakuraで、アストンマーティンのエンジニアとともに対策作業にあたった。

 しかし、選手権に参加するために国際自動車連盟(FIA)からホモロゲーションを受ける期限は開幕戦の1週間前の3月1日。テスト終了から約1週間しかなく、起振源であるエンジン(ICE=内燃機関)や振動によって損傷を受けたバッテリー(ES=エナジーストア)などのハードウェアのスペック変更することは不可能だった。


 そこでホンダは開幕戦に向けて、いくつかの振動対策をテストした。


「サクラ(HRC Sakura)のベンチでその対策案を作り、それをここに持ち込みました」(ホンダ・レーシング/HRCの渡辺康治社長)

【チーム・フォーカス/F1第1戦】
2026年F1第1戦オーストラリアGP 作業が行われているランス・ストロール(アストンマーティン)のマシン

 しかし、金曜日のセッション開始前に、トラブルが発生する。HRCのトラックサイドゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎にはこう説明した。


「バッテリーそのものではなく、ユニット間の通信に関係する部分で不具合につながるデータが見つかりました。その結果、今週末のレースでは使えないということになりました」


 このトラブルによって、ホンダは2基のバッテリーを失ってしまう。ホンダがオーストラリアGPに持ち込んだバッテリーは合計4基。その4基のうち2基をグランプリが開幕する直前に失ったことで、ホンダは2基(つまり1ドライバーにつき1台ずつ)しか手持ちがなくなった。もし、このあとバッテリーが使用不能になれば、その時点でレースに参加できなくなるという緊急事態に陥っていた。


 そこでアストンマーティン・ホンダは振動対策を最優先に行うと同時に、走行プログラムも決してリスクを冒さなかった。それは3つのフリー走行だけでなく、予選とレースも同様だった。


 エイドリアン・ニューウェイ代表はこう語る。


「日曜日のレースはAMR26の理解を深める機会だった。だから、2台がポイント圏内から大きく脱落した時点でピットインしてマシンを点検して、様子を見ながら走行距離を伸ばしていった。最終的に部品を保護するためにマシンを止めた」

【チーム・フォーカス/F1第1戦】
2026年F1第1戦オーストラリアGP エイドリアン・ニューウェイ代表(アストンマーティン)

 つまり、開幕戦でアストンマーティン・ホンダの2台がともにチェッカーフラッグを受けられなかったのは、オーストラリアGPに来るまで悩まされていた振動問題によるバッテリーの損傷が直接の原因ではなかった。


 折原GMはこう週末を振り返った。


「ワンチームとして24時間体制で取り組んできた結果、データ上でも、バッテリー振動の低減を確認できるレベルまで改善できたと思います。レースディスタンスを走り切るために正しい方向に進んでいると思います」

【チーム・フォーカス/F1第1戦】
2026年F1第1戦オーストラリアGP ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャー兼チーフエンジニア

 つまり、振動問題は改善しているものの、完全に解決はできていない。バッテリーには限りがあるので、壊れる前に止めたと考えられる。


「次の中国GPでは、より多く走行距離を積み上げたい。それができれば、次は周回を重ねてデータを集め、パフォーマンス向上とエネルギーマネジメントの最適化に取り組んでいきたいです」


 アストンマーティン・ホンダにとっての2026年開幕戦オーストラリアGPは、まだテスト1回目の段階だったと言っていい。つまり、今週末の第2戦中国GPはまだテスト2回目。したがってこの2戦は、結果よりも走行データをいかに多く集められるか。おそらく、3戦目の日本GPが本当の開幕となるだろう。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2026年F1第1戦オーストラリアGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)


(Text : Masahiro Owari)


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