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新時代F1マシンの難しさと、エキサイティングな攻防。メルセデスの隠れたアドバンテージ【中野信治のF1分析/第1戦】
2026年3月12日
技術規則の大変革により、F1新時代の幕開けとなった2026年第1戦オーストラリアGPは、ジョージ・ラッセル(メルセデス)がポール・トゥ・ウインで自身通算6勝目を飾りました。
新時代F1マシンの難しさ、他を圧倒したメルセデスが持つアドバンテージ、そしてパワーユニット(PU)トラブルの解決に挑むホンダとアストンマーティンへの想いなど、元F1ドライバーでホンダの若手ドライバー育成を担当する中野信治氏が独自の視点で綴ります。
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ラッセル&メルセデスが他を圧倒したオーストラリアGPは序盤から随所でオーバーテイクがありました。以前よりも順位変動が増えた要因は、技術規則の大幅な変更がきっかけであることは間違ありません。ただ、ドライバーからはこの状況を『人工的なレース』と評する否定的なコメントもあり、今後の技術規則変更次第で状況が変わる可能性もありそうです。とはいえ、ファン目線ではエキサイティングな攻防を多数見ることができ、F1の新時代が始まったという期待を抱く開幕戦でした。
オーバーテイクが増えた要因は、電気エネルギーの使い方の違いです。ファンとしてはオーバーテイクが増え、電気エネルギーをどのように蓄え・使うのかという駆け引きは面白い部分です。ただ、ドライバーにとっては予選から全開走行ではなくリフト・アンド・コースト(編注:電気エネルギーを効率良くリチャージするために、アクセルを戻し/リフト、惰性/コーストで走行する走り方)するといった走らせ方の変化に対し賛否両論があるようです。
現在のF1は年々ファンに寄り添ったイベントに変化しています。それだけに、ファンの皆さんにとって魅力的に見える変化が多々あると思いますし、ファンを飽きさせないF1を作る上でも変化は必要だと思います。その変化が行き過ぎる場合もありますが、行きすぎた場合はまた変化すれば、より良い結果に繋がります。
今はF1側が技術規則の大幅変更という大きな変化/アクションを起こしたばかりで、チームやドライバーにっては大変なことが多々あるでしょう。とはいえ、今の段階でチームやドライバーが技術規則にネガティブなコメントを出すことは良くないと感じています。今は現状の技術規則のなかで戦い、そのなかで起きた問題をF1、FIA国際自動車連盟、そして全チームが一緒に対応を考え、興行としてファンもチームも、ドライバーも面白いと感じるF1を作り上げていってほしいですね。そういう方向に進めば、今の技術規則はスタート段階としてはインパクトもあって良い規則だと感じています。

■ブレーキングと加速時のターボラグ。新時代のF1マシンの難しさ
オーストラリアGPは、新時代F1マシンによる初戦だったこともあり、ブレーキングで飛び出したりするシーンをたびたび見かけました。半公道のアルバートパーク・サーキットがミスをしやすいコースであるということや、エアロ規定などの変更でダウンフォースが約30パーセント減少したなどの要因もあるとは思いますが、一番はストレートエンドでリフト・アンド・コーストしながら行うブレーキングの難しさにあります。
電気エネルギーを効率良くリチャージ(充電)するためにリフト・アンド・コーストしながらも、ラップタイムを落とすことは避けたいので、リフト・アンド・コーストした分、ブレーキングポイントを遅らせる必要があります。そうなると、全開走行で走っていたころよりも、ブレーキングポイントの見極めが難しくなり、その結果、開幕戦ではミスが多く見られたと考えています。
またブレーキング以外にも加速も難しさを増しています。というのも、MGU-H(熱エネルギー回生システム)がなくなったことで、加速時のターボラグ(ターボチャージャーの応答遅れ/昨年まではMGU-Hがコンプレッサーを電動で回していたため症状が出ることはなかった)が、決勝のスタート時やコーナーの立ち上がりで発生するためです。
コーナーの立ち上がりの場合、ターボラグを抑えるためにMGU-K(運動エネルギー回生システム)の電気エネルギーを使用するか、ICE(内燃機関)の回転数を高く保ってターボを回し続けるかの2つしかありません。電気エネルギーを使用する場合、その消費分の電気エネルギーを他で使えなくなることから、ターボを回し続ける選択が選ばれやすいでしょう。その場合、昨年まで3速で曲がっていたコーナーを1速で曲がるといったテクニックが求められます。
スタートの場合は、50km/hに達するまで電気エネルギーを使用できないため、エンジン回転、クラッチ操作、ターボの回転状態をベストな状況に持っていく必要があります。50km/hを超えて電気エネルギーが使用できる状況になっても、バッテリーに十分な電力が充電されておらず、メルセデス勢のようにスタートで出遅れてしまうこともありますので、スタート前の段階からバッテリーのエネルギー管理が重要になる。これまでにない難しさがあります。

■他を圧倒したメルセデス。ワークスチームのアドバンテージ
(Shinji Nakano まとめ:autosport web)
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| 3/7(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 3/8(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ジョージ・ラッセル | 25 |
| 2位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 18 |
| 3位 | シャルル・ルクレール | 15 |
| 4位 | ルイス・ハミルトン | 12 |
| 5位 | ランド・ノリス | 10 |
| 6位 | マックス・フェルスタッペン | 8 |
| 7位 | オリバー・ベアマン | 6 |
| 8位 | アービッド・リンドブラッド | 4 |
| 9位 | ガブリエル・ボルトレート | 2 |
| 10位 | ピエール・ガスリー | 1 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 43 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 27 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 10 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 8 |
| 5位 | TGRハースF1チーム | 6 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 4 |
| 7位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 2 |
| 8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 1 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 0 |
| 10位 | キャデラックF1チーム | 0 |





