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マルコの見る目は正しかった。新人リンドブラッドがベテラン顔負けの走り/激闘を予感させるふたり【F1第1戦ベスト5ドライバー】
2026年3月11日
長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は2026年第1戦オーストラリアGPの戦いを振り返った。
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■完勝でタイトル争いを順調にスタートさせたラッセル
ジョージ・ラッセル(メルセデス):予選1番手/決勝1位

ジョージ・ラッセルはメルボルンで完璧な週末を過ごし、タイトルを目指す戦いをこれ以上ない形でスタートさせた。チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリがFP3で激しくクラッシュし、自らのチャンスを損なったことで、チーム内の主導権争いが決着した形となり、ラッセルはその状況を最大限に生かした。
予選でのパフォーマンスは非の打ちどころがなく、予想どおりポールポジションを確保。しかしラッセル自身、スタートでは脆弱になる可能性を理解しており、シャルル・ルクレールに1つポジションを奪われただけで済んだことに安堵したに違いない。
ルクレールとのバトルは非常に見応えのあるものだったが、同時に、ラッセルは、状況が思いどおりに進まないときには動揺するという一面が露わになった。
1ストップで行けることが判明した後、ラッセルはもはや誰とも戦う必要はなく、マシンの優れたペースを最大限に生かして走行。完勝と呼ぶにふさわしい勝利を収めた。
■ライバルとのギャップに衝撃を受けつつ、勝利を目指したルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選4番手/決勝3位

グランプリの前に毎回確信できることが一つあるとすれば、それはシャルル・ルクレールがスタートからフィニッシュまで全力で攻め続けるということである。しかし予選でのベストアタックでも、ポールポジションのラッセルから0.8秒遅れとなり、ルクレールはその差の大きさに相当なショックを受けていた。
スタートこそが首位を奪う唯一のチャンスになると分かっていたルクレールは、ターン1へのブレーキングでラッセルの意表を突いて先行。そこから12周にわたり、いつもどおり激しく、しかし完全にクリーンな走りで、非常に熱のこもったバトルを繰り広げた。
フェラーリが戦略面で保守的なアプローチを取ったことに加え、2度目のバーチャルセーフティカー導入時には、フェラーリがピットに入れるタイミングでピットレーン入口が閉鎖されるという不運にも見舞われたことで、ルクレールの勝利の可能性はなくなった。その後、ルクレールは、パワーユニットを労わり、後方から追い上げてきたルイス・ハミルトンの動きを警戒しながら、堅実なペースを維持し、当然の結果として表彰台を確保した。
■FP3のクラッシュから見事に立て直したアントネッリ
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス):予選2番手/決勝2位

FP3で激しいクラッシュを喫したドライバーが、通常であればこれほど上位にランクされることはないだろう。しかしアンドレア・キミ・アントネッリの挽回は実に見事だった。完全に組み直されたマシンで臨んだ予選Q1では、アントネッリには1回のランと2周の計測ラップしか残されていなかったが、それでも難なく通過してみせた。

予選前にW17のセットアップ作業がほとんどできなかったため、バランスは理想的とは言えなかったが、それでもアントネッリは2番手タイムを記録した。
スタートは非常に悪く、ターン1までに8番手まで落ちてしまった。しかし冷静さを保ち、メルセデスの優れたペースを生かして素早くポジションを回復。チームが非常に早い段階でピットストップを選択した時点で、すでに4番手まで浮上しており、さらにこの戦略は結果的に最良の判断となった。
ハードタイヤでのアントネッリのペースはフィールド中でも最速であり、レース自体はラッセルが完全にコントロールしていたとはいえ、アントネッリはタイトル争いにおいてチームメイトに簡単には屈しないことを証明してみせた。
■デビュー戦でベテランのような走りをしたリンドブラッド
アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ):予選9番手/決勝8位

レッドブルから追い出されたヘルムート・マルコが、ドライバー選択に関して、極めて優れた判断をしていたことが分かった。18歳のリンドブラッドは、メルボルンの週末を通じてベテランのような走りを見せ、Q3では小さなつまずきがあったが、ほぼ完璧なグランプリデビューを果たしたのだ。
リンドブラッドは、3回すべてのフリー走行と予選最初の2セッションでチームメイトのリアム・ローソンより速かった。決勝には9番グリッドから臨み、スタートではローソンがほぼストールしかけるなか、抜群のスタートを切った。
たちまち3番手へと浮上したリンドブラッドだが、浮き足立つことなく、レッドブルのアイザック・ハジャーやフェラーリのルイス・ハミルトンと無理に争うことを避けるという賢明な判断を下した。またタイヤを酷使せずにアントネッリを抑え続けるのは不可能だとすぐに理解した。マクラーレンのランド・ノリスやレッドブルのマックスフェルスタッペンにも最終的に先行を許し、リンドブラッドは自身初のグランプリを8位でフィニッシュした。何人かのベテランドライバーが痛いミスを犯した週末だったことを考えれば、ルーキーとしては非常に優れた結果といえる。

■粘り強くポイント圏内に浮上したベアマン
オリバー・ベアマン(ハース):予選12番手/決勝7位

オリバー・ベアマンは、注目のルーキー、リンドブラッドとの長い戦いを制し、中団のトップに立った。予選Q1では苦戦し、かろうじて次のセッションへ進出、その後は、Q3進出を狙えるだけのマシンがなく、チームメイトのエステバン・オコンを上回る12番グリッドを確保するにとどまった。
スタートではローソンを避けるためにタイムを失い、ウイリアムズ2台の間の13番手に後退。しかしその後、アレクサンダー・アルボン、フェルナンド・アロンソ、ガブリエル・ボルトレートを立て続けにかわした。最初のバーチャルセーフティカー時にピットインせずにステイアウトした判断がうまくいき、2度目のVSCでタイヤ交換を行った結果、ベアマンはオコンの前の8番手に出ることに成功した。
その後、約20周にわたってリンドブラッドを追い続けたが、なかなか攻略できない苛立たしい展開が続いた。それでもベアマンは40周目についにオーバーテイクを成功させ、その後は徐々に差を広げ、フェラーリ代表フレデリック・バスールも高く評価するであろう7位入賞という見事な結果を出した。
(Text : Luis Vasconcelos)
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| 3/6(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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| 3/7(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 3/8(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ジョージ・ラッセル | 25 |
| 2位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 18 |
| 3位 | シャルル・ルクレール | 15 |
| 4位 | ルイス・ハミルトン | 12 |
| 5位 | ランド・ノリス | 10 |
| 6位 | マックス・フェルスタッペン | 8 |
| 7位 | オリバー・ベアマン | 6 |
| 8位 | アービッド・リンドブラッド | 4 |
| 9位 | ガブリエル・ボルトレート | 2 |
| 10位 | ピエール・ガスリー | 1 |
| 1位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 43 |
| 2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 27 |
| 3位 | マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チーム | 10 |
| 4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 8 |
| 5位 | TGRハースF1チーム | 6 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 4 |
| 7位 | アウディ・レボリュートF1チーム | 2 |
| 8位 | BWTアルピーヌF1チーム | 1 |
| 9位 | アトラシアン・ウイリアムズF1チーム | 0 |
| 10位 | キャデラックF1チーム | 0 |


