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「開発の継続が大切」“伸びるかも”を育てて得た高速燃焼。規則変更で三重苦/アストンマーティン・ホンダ苦境の理由(2)
2026年2月27日
アストンマーティン・ホンダが2026年のプレシーズンテストで厳しい状況に陥ったふたつ目の要因は、新しくなったテクニカルレギュレーションだ。
現在のレギュレーションは2022年の8月16日に行われた世界モータースポーツ評議会(WMSC)で承認された。この会議で、開発コスト高騰に繋がるMGU-H(熱エネルギー回生システム)の廃止や持続可能燃料の使用など、大筋で決まっていた変更が承認されただけでなく、細かい部分の調整も承認された。そのなかのひとつに、ホンダを苦しめることになる変更が盛り込まれていた。
2021年限りでF1から撤退していたホンダだが、F1界はそう遠からずホンダがF1に復帰すると読んでいた。そのタイミングは2026年からと考え、新しいレギュレーションではホンダが得意分野としている技術を禁止し、ホンダのアドバンテージを潰してきた。
それは、18:1という高い圧縮比だ。ホンダのF1プロジェクト総責任者である角田哲史LPLは高い圧縮比が禁止されたインパクトを次のように語る。
「圧縮比が高ければ高いほど、熱効率は上がりますから、圧縮比を下げるというレギュレーション変更はそもそもどうなのかと。また、我々が武器にしていた高速燃焼というのは、18:1という高い圧縮比と、大量の燃料をシリンダーに入れて(シリンダー内が)熱くなる環境が都合がよかった。それが新しいレギュレーションでは圧縮比が18から16に下がり、燃料流量もエネルギー流量に変わって、30%くらい減ることになりました。ダブルパンチを食らったことで、エンジンの設計を1からやり直しました」
「さらに燃料も100%持続可能なものに変わったので、2025年までの燃焼方法は通用しません。ホンダにとっては三重苦みたいな状態で開発してきました」

圧縮比だけではない。圧縮比の変更の過程でもうひとつの技術が葬られたこともホンダにとっては痛かった。それは筒内圧センサーの使用禁止だ。筒内圧センサーとは、各気筒のシリンダー内の状況をモニタリングするセンサーだ。その重要性を角田LPLはこう語る。
「我々が筒内圧センサーを使用していたのは、点火のタイミングをコントロールするためでした。筒内圧センサーをモニターしていると『これ以上、点火時期を遅らせるとまずい』というところが見えてきます。筒内圧センサーを見ながら、ノッキングしないぎりぎりまで点火時期を遅らせることができました」
「また信頼性の面でも役立っていました。高い内圧であとどれくらい回すことができるのかを、できるだけ正確に読み取ることにも大きく貢献していました」
ほかのマニュファクチャラーは圧縮比がホンダほど高くないため、筒内圧センサーを使用する必要はなかった。また、この筒内圧センサーは非常に高価だったこともライバルたちの反感を買っていた。
「その筒内圧センサーが使えなくなるということは、これまで起きなかったトラブルが発生するリスクが高くなると思います」(角田LPL)

これらのレギュレーションが決定したのは2022年8月16日。ホンダは撤退後もオブサーバーとして、新しいレギュレーションを話し合うパワーユニットマニュファアクチャラーに会議参加していたが、発言権と決定に伴う投票権はなかった。ホンダがこの権利を持つことができたのは、2026年の製造者登録を行った2022年11月。2026年のパワーユニットに関するレギュレーションは前述のとおり、2022年の8月16日に承認済みだった。
ホンダには、第4期に相当苦労した経験がある。その第4期でもLPLを務めていた角田は言う。
「第4期も、かなり厳しい状況で始まり、そこからいろいろと苦労しながら競走力をつけ、タイトル争いをしてきたという意味で非常に感慨深いものがあります。高速燃焼も、ある日突然発見された技術ではありません。結果が出ないときでも、とにかくいろんなタネを撒いて、そのなかから『ひょっとしたら、これは伸びるかも?』という技術を育てていくことが重要です」
というのも新しいレギュレーションでは、エンジンは2027年と2029年にアップデートのチャンスがあり、ERSは2028年と2030年にアップデートできるからだ。
「だから、開発は止めることなく、続けることが大切です」(角田LPL)
おそらくいま、HRC Sakuraでは最初のアップデートの機会となる2027年へ向けた開発も行われているに違いない。

(Text : Masahiro Owari)
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| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 79 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 70 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |


