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F1が2026年大改革に踏み切った理由。規則抜け穴、アウトウォッシュ、身体的負荷…グラウンドエフェクト時代に生じた大きな誤算

2026年1月19日

 2022年、F1にグラウンドエフェクトカー規約が導入されて以来、いくつかの弊害が顕在化してきた。2026年の史上稀に見る大規模な規約改正は、その是正が目的だ。そこに至った背景を解説しよう。


 F1が2022年に新しい技術規則を導入した際、目的は明確だった。それは先行車が発生する乱流を最小限に抑え、マシン同士がより接近して走れるようにすることで、そのために導入されたのがグラウンドエフェクトの考えだった。追走時のダウンフォース損失を抑え、より白熱したレースを実現する――それが狙いだったのだ。しかし現実には、この目標は徐々に損なわれていった。

2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP スタート

 現在FIA自身も認めているように、2025年マシンはレギュレーション初年度である2022年当初と比べ、追走時の性能が明らかに低下している。FIAでシングルシーター部門を統括するニコラス・トンバジスは、率直にこう語る。


「2022年の規則導入以降、我々は非常に多くのことを学んだ。2022年当初のマシンよりも、2025年型は先行車に接近できなくなっている。原因は、規則の中に十分に制限されていない領域があり、チームがそこを突いて、ルール策定時には完全には想定されていなかったコンセプトを発展させたことにある」


 さらなるダウンフォースを求める過程で、各チームの開発陣は、たとえばフロントウイング翼端部、フロア外縁、フロントブレーキダクト周辺に発生する気流を外側に逃す、いわゆるアウトウォッシュのアイデアを、レギュレーションの目的に反して、積極的に導入した。それが車体後方に乱流を発生させる結果となった。

アウトウォッシュ
F1マシンとアウトウォッシュのイメージ

■2026年新規約では、緩すぎた規則領域を見直す

 2026年規則を策定するにあたり、FIAは追走性能の劣化を招いた主因となる3つの領域を特定した。フロントウイングの垂直フィン、フロアエッジ、そしてフロントブレーキ冷却ダクト周辺を覆う複雑なウイングレットやデフレクター群である。当初は重要性が低いと見なされていたこれらの自由度が、結果的にアウトウォッシュ発生の決定打となった。


 トンバジスは、これらの問題が2022年当時は十分に予見されていなかったことを認めている。


「明らかに、少し寛容すぎた規則領域があった。その結果、チームは空力的にアウトウォッシュを生み出すソリューションを採用できてしまい、オーバーテイク促進のために行った作業の一部が損なわれてしまった」


 FIAは2026年に向け、この“部分的な失敗”から教訓を得たと強調する。いくつかの領域は厳格にロックされ、チームの創意工夫に対してより耐性のある規則を目指したという。


「まずは最初の実走テストを待ちたいが、マシンが接近して走れる能力において、大きな進歩があると期待しているよ」


■ドライバーの身体的負担を軽減するための変更

 2025年には、コース上の追い抜きが減少し、興行的な面白さが損なわれた。それだけでなく、グラウンドエフェクトカーによって、ドライバーがもはや持続可能とは言い難いレベルの身体的負荷を受けていたことも、FIAは認めている。グラウンドエフェクトを最大限に活用するため、マシンは極端に低い車高と非常に硬いサスペンションで走らせる必要があり、その結果、激しいポーパシングがなんとか解消された後でも、大きな上下方向の荷重が残った。


 マックス・フェルスタッペンは、その現実をいつもの率直な言葉でこう表現している。


「グラウンドエフェクトカーは、正直全く快適じゃなかった。背中はどんどん悪くなっているし、足は常に痛い。理想的な乗り心地とは言えなかった。まあモトクロスと比べれば、文句は言えないけどね。でもできることなら、2015〜2016年の状態に戻りたいよ」

レース後のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2024年F1エミリア・ロマーニャGP レース後のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)

 現代のF1マシンは、ラップのかなりの部分を高速コーナーで過ごし、ドライバー、タイヤに、万一の事故の際にテックバリアなどの安全インフラが耐えられる限界に迫る横方向のGを発生させている。ダウンフォースが増え続ければ、FIAはサーキットを改修するか(これは正直言って現実的ではない)、マシンを変更するしかなくなる。


 まさにそれが、2022年規則が導入された理由だった。2017年から2021年にかけて、マシンは空力的にあまりにも極端になり、コーナリング速度はサーキットの許容範囲を超えかねない状況にあった。そのため速度を落とすための基本に立ち返る必要があったのだ。2026年の技術パッケージは、まさにこの考えの延長線上にある。


 この認識は、特にフロアおよび車体下面の空力設計を考えるうえで、2026年構想に大きな影響を与えた。

■意図的に抑えられたグランドエフェクト

 2026年マシンは、引き続き部分的にはグラウンドエフェクトに依存するものの、その度合いは大幅に抑えられている。ベンチュリトンネルは大きく見直され、その効力と車高感度は低減される。一部のエンジニアは、もはや本格的なグラウンドエフェクトカーというより、フラットフロア車に近いものになるとさえ語っている。


 アストンマーティンのエグゼクティブ・テクニカルディレクターであるボブ・ベルは、この進化をより広い文脈で捉えている。


「この空力の再設計は、既存の規則を洗練させる好機でもある。より良いレースを促進するために、2022年に導入されたいくつかのコンセプトを強化すると同時に、ポーパシングのようなドライバーにとって非常に扱いづらかった要素を排除した」


「新しい規則では、強大なダウンフォースを生み出すトンネルを廃し、フラットフロアへと戻す。その先には、従来型のダウンフォースを生むリヤディフューザーへとつながる段差が設けられる」


 競争力を維持するために極端な低車高のセットアップを強いられていたエンジニアたちにとって、状況が緩和されるということだ。

ランド・ノリス(マクラーレンMCL39)とリアム・ローソン(レーシングブルズVCARB 02)
2025年F1アブダビGP ランド・ノリス(マクラーレンMCL39)とリアム・ローソン(レーシングブルズVCARB 02)

■車高感度が低減される2026マシン

 FIAが収集した初期フィードバックによれば、その目標は達成されつつあるという。2026年マシンは車高感度という点で、2025年までの世代のマシンとグラウンドエフェクト以前の時代の中間に位置づけられる見込みだ。


 トンバジスは慎重ながらも楽観的な見方を示している。


「2026年マシンでも、依然として、地面に近いほど空力的に有利であることに変わりはない。ただしその傾き、つまり車高が下がるにつれて性能がどれだけ急激に向上するかという度合いは、かなり大きく抑えられるだろう」


 2022年より前の高い車高に完全に戻ることは約束されないものの、ドライバーにとっても明らかに好ましい妥協点になるとFIAは考えている。


「車高のわずかな上下にそれほど過敏になる必要はないと、ドライバーは感じることだろう。その結果、やや高めのセットアップへ向かうことが可能になる。2021年の静的車高レベルに戻るとは思わないが、少なくとも2025年よりは高くなると、十分に楽観視しているよ」

オラクル・レッドブル・レーシングの2026年型マシンのカラーリング
オラクル・レッドブル・レーシングの2026年型マシンのカラーリング


(翻訳・まとめ 柴田久仁夫)


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7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム89
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