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元FIA技術トップのシモンズ、失った競争心を復活させたキャデラックの“野心的&ファン中心”のF1参入計画を語る

2026年1月6日

 数年にわたり組織の内部からF1の形作りに携わってきたパット・シモンズが、競争の最前線に復帰した。これは、現在キャデラックF1のエグゼクティブエンジニアリングコンサルタントを務めるシモンズが、キャデラックの新しいF1プログラムにおいて、野心と現実主義、そして長期的な考えが稀に見る形で融合していると説明する魅力に惹かれての決断だ。


 シモンズは、ゼネラルモーターズ(GM)の支援するキャデラックのプロジェクトがなぜ彼を再びパドックに復帰させたのかについて、『Autocar』に対し次のように語った。

「パドックに入った時、私は、誰がレースに勝とうがまったく気にならないという本当に奇妙な感覚を覚えた。あれは本当に変だった。そして時がたつにつれて、その競争心が恋しくなっていった」


 その感覚は、F1のチーフテクニカルオフィサー(CTO)の最後の任期中に大きくなった。彼はCTOを務める間、規則の策定に貢献したものの、その重要性からは次第に距離を感じるようになった。規則に関する作業の多くを誇りに思う一方で、シモンズは、2026年の骨組みの一部が自身の哲学とは一致しないことを認めた。特にパワーユニット(PU)の方向性については、「私が望んでいたものとは異なる」という。

2025年F1第19戦アメリカGP
2025年F1第19戦アメリカGP キャデラックF1チームのグレアム・ロードン代表(写真左)と、エグゼクティブエンジニアリングコンサルタントを務めるパット・シモンズ(写真中央)

■野心的なプロジェクトと、ファン中心の方向性

 そうしたシモンズの背景とは反対に、キャデラックのF1参入案がまさに望ましいタイミングで現れ、すぐに印象を残した。


「提案書を見たとき、私は『うわっ』と思った。実のところ本当に印象的で、非常に野心的だ。十分な資金もあって、非常に理にかなっている」


 シモンズにとって、魅力はブランド主導の派手な演出でも短期的なマーケティング活動でもなく、信頼性と忍耐力を基盤としたプロジェクトだった。キャデラックは永続性を見据えた計画を進めているとシモンズは主張した。


「単なる試み以上のものになる。現実となるだろう」


 チームの構造はその考え方を反映している。チーム運営の中心はイギリスのシルバーストンに置かれ、F1の伝統的なエコシステムのなかでシャシー開発とレース運営を支える。それと同時に、2028年以降に向けたPU開発はすでにアメリカのノースカロライナ州で進行中だ。また、主要な製造と運営の拠点の建設もインディアナポリス近郊で計画されている。

キャデラックF1、参戦の舞台裏に迫る『What Makes Fast』を順次公開。ハータはIMSA戦線にも復帰へ
イギリス・シルバーストンではF1参戦に向けた拠点も開設済み。北米との協調でマシン開発を急ぐ

 シモンズは、アメリカの施設の規模は直接目にするまで実感できないと考えている。重要なのは、キャデラックがそれらの施設をフェンスや秘密保持契約(NDA)の裏に隠すのではなく、開放的で歓迎される場所にしたいと考えている点だと彼は語る。


「我々はファン中心でありたい。F1は非常に隠したがって、特にエンジニアは自分たちが重大な秘密を守っていると思い込みがちだ」


「これまで話してきたこの担保は、ファンによって支えられている。ファンがいなければレースはできないし、スポンサーも大企業の関与も存在しない。すべてはファンの肩にかかっている」


 こうした動きは、F1が排他性から脱却し、開かれた方向へと進化していることを反映しているとシモンズは考えており、この変化はF1の将来の健全性にとって不可欠であると見ている。

■エゴよりも経験重視のドライバーラインアップ

 キャデラックのドライバーへのアプローチも、同じ実用主義で定義される。誇大宣伝を追いかけるのではなく、チームは選択肢を通して入念に検討した。


「我々は出場可能な全ドライバーの大規模な土台を作成した。そして次第にチェコ(セルジオ・ペレスの愛称)とバルテリ(・ボッタス)がトップに浮上した」


 その論理は単純明快で、実績ある勝者が、即座に信頼性をもたらすのだ。


「もちろん勝者だ。ふたり合わせて16勝を挙げている。グリッド上において、16勝を挙げるドライバーをふたり擁するチームは多くない」

バルテリ・ボッタス&セルジオ・ペレス
キャデラックF1チームへの加入が決まったバルテリ・ボッタス(写真左)とセルジオ・ペレス(写真右)

 シモンズの持つボッタスへの信頼は、ウイリアムズ時代における個人的な経験に基づいている。


「私は彼をよく知っていて、バルテリが本当に好きだ。1周のペースは信じられないほど速いし、予選も本当にうまい」


 一方ペレスは、レッドブルでの厳しい最終年を経て、より深い評価を求められた。シモンズによれば、同じマシンで他のドライバーが苦戦する姿を見て、見方が変わったという。


「彼が交代した時、みなさんも見ただろう。それがチェコの再評価に繋がった。彼の努力、細部への配慮、そして積極的に関わる意欲は本当に素晴らしい」

キャデラックのセルジオ・ペレス(フェラーリSF-23)
キャデラックF1チームとセルジオ・ペレスがイモラでテスト(フェラーリSF-23)

 またシモンズは、キャデラックはその形成期において不必要なドラマを望んでいないと明かした。


「最も避けたいのは、自分が次のルイス・ハミルトンであることを証明しようとして、壁にぶつかるようなドライバーだ。そういった人は必要ない」

■2026年はエネルギーの使い方がカギに

 キャデラックを超えて、シモンズはF1の方向性に深く関与し続けており、予算上限の重要性について明確な立場を示した。


「チームは定期的に経営破綻していた。持続可能ではなかったのだ」


 彼はまた、自身が主導したプログラムである持続可能な燃料への移行を擁護し、グリーンウォッシングの主張を退けた。シモンズは「ほぼすべての分子が持続可能と認証されなければならない」と述べ、この燃料がレース以外の分野でも活用されるよう設計されている点を指摘した。


 2026年についてシモンズは、視覚的なドラマは減るが、駆け引きが増えると予想している。DRSに代わるアクティブエアロダイナミクスの登場により、エネルギーの管理がオーバーテイクを左右することになるだろう。


「現在のオーバーテイク支援はプッシュ・トゥ・パスだ。レースはより戦術的になる。防御にエネルギーを使うか、追い抜きに使うか。どう使うかだ」


 キャデラックにとって、この未来は経験と規律、そして明瞭さに報いるものだ。そしてシモンズにとっては、誰が勝つのかをもう一度気にかける理由となるような、より強い魅力を持った何かをもたらすだろう。

2026年F1新世代マシン(イメージ)
F1が発表した2026年F1新世代マシンの最新レンダリング画像


(Text : autosport web)


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