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F1パワーユニット規則の抜け穴を巡るふたつの動き。FIAが燃料流量計に先制措置。注目集まるメルセデス&レッドブルの手法

2025年12月24日

 F1新レギュレーションが導入される2026年を前に、FIAがルールブックの補強を行った。今回介入の中心となったのは燃料流量計だ。


 2026年のF1には新しいシャシーとパワーユニット(PU)が登場する。すべてのチームが新レギュレーションを詳細に分析し、創造的な解釈ができるエリアを見つけ出し、性能向上に役立てようとする。

FIA
FIAロゴ

 FIAとしては、そういったグレーゾーンを封じるための行動を取らなければならず、今回は、小型ながら極めて重要な部品である燃料流量計をターゲットにした。燃料流量計は、パワーユニットがどれだけのエネルギーをどの速度で消費するかを管理する役割を担っている。


 2026年からF1が完全持続可能燃料へ移行するのに伴い、質量流量に基づく従来の上限、すなわち100kg/hの制限は、燃料エネルギー流量3000MJ/hという基準へと置き換えられる。


 この変更だけでもパドックの注目を集めたが、FIAはさらにその周辺の技術的文言によって、さらなる警鐘を鳴らした。


 従来の枠組みでは、チームと統括団体がそれぞれ独自の燃料流量計を使用していたが、2026年に向けてこの方式は廃止された。今後はAllengra社が供給する単一の標準化された流量計が採用され、FIAとチーム双方が同一のデータを受け取ることになる。


 少なくとも表向きには透明性は最大限に高められたが、透明性が自動的に抜け道を消し去るわけではない。


 初期のレギュレーション草案では、「燃料流量計を意図的に加熱または冷却することは禁止される」と記されていた。この表現は、何が意図を構成するのか、また間接的な手法が審査を通過し得るのかといった解釈の余地を残していた。


 直近の世界モータースポーツ評議会後、FIAはこの条項を全面的に書き換えた。改訂版では、「燃料流量計の温度を変化させることを目的とした、いかなる装置、システム、あるいは手順も禁止される」とされ、露骨な手口だけでなく、巧妙な手法も封じ込める内容となっている。


 この変更は、予防的措置と広く見なされている。現時点で明確なルール違反があると証明されたわけではないが、FIAは、曖昧さを放置すれば事態の深刻化を招く可能性があると懸念している。

■メルセデスとレッドブルが、圧縮比に関するグレーゾーンを利用か

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1サンパウロGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とジョージ・ラッセル(メルセデス)

 パドックではすでに一部マニュファクチャラー(うわさではメルセデスとレッドブル・パワートレインズ)が、許容範囲外と考えられる領域にまで圧縮比を押し上げていることで、初期テストにおいて目を引く結果を出したともいわれている。


 パワーユニットのシリンダー内の圧縮比の制限は、2025年の18:1から2026年には16:1へと引き下げられた。圧縮比を高めることで性能向上を実現できるため、圧縮比の測定では検査をパスしつつ、コース走行中により高い圧縮比を実現する手法を、一部マニュファクチャラーが用いているのではないかという疑いが持ち上がっている。FIAはこの問題を把握しているといわれ、今後の対応に注目される。


 FIAのシングルシーター部門ディレクターであるニコラス・トンバジスは、規則のグレーゾーンを利用することのリスクについて警告している。レギュレーションを意図的に曲解していると判断されたチームは、厳しい処分を受けることになり、すなわちそれは自殺行為に等しいと、彼は述べた。



(autosport web)


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