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死力を尽くした王者候補3人。アロンソがニューウェイ&ホンダに示した前向きな兆候【F1第24戦ベスト5ドライバー】
2025年12月15日
長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第24戦最終戦アブダビGPの戦いを振り返った。
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■タイトル獲得のためすべてを出し切ったフェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選1番手/決勝1位

マックス・フェルスタッペンは、アブダビで5年連続となるワールドタイトルを獲得することを目指し、やるべきことはすべてやり切った。ヤス・マリーナ・サーキットでフェルスタッペンは、予選開始からレース終了まで抜きん出た速さを見せ、文句なしの内容で勝利を収めたものの、ランド・ノリスがシーズン最終戦を3位でフィニッシュし、初戴冠を果たした。
フェルスタッペンの予選での優位性は明白で、Q3で記録した2周はいずれも他の誰よりも速かった。決勝で完璧なスタートを切った後、フェルスタッペンはミディアムタイヤを早々に消耗させないよう配慮しつつ、オスカー・ピアストリに対して安全なギャップを保った。ノリスがフェルスタッペンとの間に必要なポイント差を保つために全力を尽くし、ピアストリはセーフティカーやバーチャルセーフティカーが導入される展開に望みを託すなか、フェルスタッペンは終始誰にも脅かされることなくチェッカーフラッグを受け、今季8勝目を手にした。
■シーズン前半の速さを取り戻したピアストリ
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選3番手/決勝2位

若きオスカー・ピアストリは、最後の2戦でランキング3位に後退したものの、そのカタールとアブダビの両方で、シーズン序盤に彼を圧倒的な存在たらしめていたスピードを改めて示した。アブダビでは、FP1を走れなかったことで、FP2でソフトタイヤから最大限のパフォーマンスを引き出すことに苦戦したが、土曜日には見事な立て直しを見せ、フロントロウまでわずか0.029秒だった。
決勝1周目にノリスをかわした動きは、ピアストリが本気で勝負に来ていることを示すものだった。また、ハードタイヤで走行しながらフェルスタッペンに接近した位置を保ち、ライバルがピットインするまでその状況を維持したことで、優勝争いの可能性をつなぎ留めた。
マクラーレンが決勝結果よりも選手権の行方を優先したことで、彼の勝機はセーフティカーやバーチャルセーフティカーの出動に懸かる形となったが、それは最後まで訪れなかった。それでもピアストリは、この長いシーズンを前向きな形で締めくくった。
■プレッシャーに屈しず、タイトルをつかんだノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選2番手/決勝3位

多くの人々は、キャリアで最も重要なグランプリとなるこの一戦で、ランド・ノリスがプレッシャーに屈するのではないかと予想していた。しかし、そのような事態は起きなかった。確かにノリスには、ヤス・マリーナ・サーキットにおいて予選でも決勝でもフェルスタッペンに挑むだけのペースはなかったが、それはこの週末において、彼の最優先事項ではなかった。ピアストリより前でフィニッシュすることも、ノリスにとっては重要ではなかった。ノリスは3位でフィニッシュすれば、初のF1タイトルを手にするのに十分だったのである。
ノリスは予選でミスを犯さず、スタートもうまくまとめ、1周目ではピアストリと激しく争うことなく道を譲り、フェルスタッペンを追わせた。ノリスのレースは後方のドライバーたちとの戦いであり、シャルル・ルクレールが全力を尽くして迫ったものの、フェラーリのドライバーに3位を争うチャンスは一度もなかった。
ペースに余力があることを示すかのように、ノリスは終盤の数周でピアストリとの差を詰めたが、最終的には3位に落ち着き、幼い頃からの目標をついに成し遂げた。
■力不足のマシンでマクラーレンと戦ったルクレール
シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選5番手/決勝4位

2026年にはフェラーリがシャルル・ルクレールに勝てるマシンを与えてくれることを願おう。というのも、彼はこれまで以上に優れたドライビングを見せており、本来その位置にいるはずのないSF-25を、信じ難いレベルまで引き上げているからだ。
Q1とQ2の突破に苦しみながらも、Q3では奇跡的とも言えるラップをまとめ上げ、グリッド5番手を獲得した。決勝ではフェラーリの競争力は予選よりは高まり、はるかに速いマシンを駆るノリスから、大きく引き離されずに走ることができた。
好スタートを決めたルクレールはジョージ・ラッセルの前に出た後、バックミラーを気にする展開を強いられるどころか、ノリスに食らいつくペースがあることに気づき、手を緩めることなく、全力で攻め続けた。16周目にラッセルへの対策としてピットインした時点で、ルクレールはノリスからわずか2秒差に迫っていた。その後もトラフィックの中でマクラーレン勢と同様のペースで走行し、再び3位と4位に戻った際には、その差は2.5秒だった。
しかし、ハードタイヤではSF-25はノリスのMCL39に太刀打ちできず、さらにラッセルが大きく後退したことで、フェラーリは最後のカードを切り、残り19周のためにルクレールを再びピットに呼び込み、ミディアムタイヤを装着させた。この戦略によりノリスは1周後に対応を強いられた。ミディアムタイヤではルクレールは速さを見せ、次の10周で差を4秒まで縮めたが、やがてタイヤを使い切り、追撃はそこで途絶えた。
■若者たちと戦うスピードと情熱を十分に備えるアロンソ
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン):予選6番手/決勝6位

フェルナンド・アロンソはアブダビで、新世代のドライバーたちを退けるだけのスピードと情熱を、今なお十分に備えていることを証明した。アロンソは、スタートからフィニッシュまでレースを巧みにコントロールする手腕を見せつけ、序盤にはラッセルやルクレールと渡り合った後、この週末にチームが掲げていた最大の目標、すなわちコンストラクターズランキングでレーシングブルズから6位を奪うことに集中した。
いつもどおりアロンソは、ライバルにオーバーテイクの機会を一切与えない範囲で可能な限りスローペースを維持しつつ、唯一のピットストップ直前とアウトラップの数周ではペースを引き上げ、その勝負に勝利した。何度かオーバーテイクが必要となったが、いずれも冷静かつ正確に決め、終盤15周ではエステバン・オコンへの強固なディフェンスに追われながらも、見事に6位を確保した。
アストンマーティンがアロンソにある程度の戦闘力を持つマシンを与えさえすれば、このベテランが今なお侮れない存在であることを改めて示すレースだった。それは、2026年のタッグに向け準備を進めるエイドリアン・ニューウェイとホンダにとっても、心強いメッセージといえるだろう。
(Text : Luis Vasconcelos)
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| 12/5(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
| フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
| 12/6(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 12/7(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ランド・ノリス | 423 |
| 2位 | マックス・フェルスタッペン | 421 |
| 3位 | オスカー・ピアストリ | 410 |
| 4位 | ジョージ・ラッセル | 319 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 242 |
| 6位 | ルイス・ハミルトン | 156 |
| 7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 150 |
| 8位 | アレクサンダー・アルボン | 73 |
| 9位 | カルロス・サインツ | 64 |
| 10位 | フェルナンド・アロンソ | 56 |
| 1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 833 |
| 2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 469 |
| 3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 451 |
| 4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 398 |
| 5位 | アトラシアン・ウイリアムズ・レーシング | 137 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 92 |
| 7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 89 |
| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 79 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 70 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11/22 |
| 第23戦 | カタールGP | 11/30 |
| 第24戦 | アブダビGP | 12/7 |


