「僕はがっかりしていない」後半戦の巻き返しを可能にしたチームにフェルスタッペンが敬意【F1第24戦無線レビュー(2)】
2025年12月12日
2025年F1第24戦アブダビGP。3番手を守り切ったランド・ノリス(マクラーレン)が、2025年シーズンのチャンピオンに輝いた。一方レースの優勝を飾ったのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)で、勝利数はノリスよりも1勝多い今季8勝目となった。わずか2ポイント差で5度目のタイトルを逃したフェルスタッペンだったが、レース後には無線でチームへの感謝を述べた。アブダビGP後半を無線とともに振り返る。
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9番手スタートのアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)は、15周目のピットインで14番手まで後退。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を追う展開だった。
ハジャー:いつでも情報をアップデートしてくれたら助かるんだけど。3周前にも頼んだよね。アルボンのタイヤは僕と何周違うの?
ピエール・アムラン:5周古い。(エステバン・)オコンのアンダーカットに成功して、ペースも彼より速いぞ。
ハジャー:でもレース終盤には食われると思う。
アムラン:ポジティブにいこう、アイザック。
ハジャー:アルボンには追いつけないよ。追いつけない。
アムラン:了解。

マシンパフォーマンスが今ひとつなのか、いつものハジャーらしからぬ弱気な返答だった。
ハードタイヤで周回を重ねる角田裕毅(レッドブル)は、22周目には3番手まで順位を上げていた。背後には、16周目のタイヤ交換でいったんは9番手まで後退していたランド・ノリス(マクラーレン)が迫っていた。首位を走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のために、角田にはノリスに抜かれないことが求められた。
22周目
リチャード・ウッド(→角田):ノリスがあと1周でDRSに入る。そうしたら、できることをやるんだ。
角田:やるべきことはわかっている。僕に任せてくれ。
しかし23周目、角田は抜かれてしまう。さらにその際のブレーキングで動いたとして、5秒ペナルティを科された。

ウッド:ノリスに対して2回動いたことで、5秒ペナルティだ。
角田:ペナルティ? なぜ?
ウッド:ブレーキングで2回動いたんだ。落ち着いて行こう。
23周目
ウィル・ジョゼフ(→ノリス):これでクリーンエアだ。このタイヤでどこまで行けるか見てみよう。
16番手スタートのルイス・ハミルトン(フェラーリ)は必死の追い上げで、8番手まで上がっていた。しかしトラックリミット違反を何度も犯していた。
24周目
ハミルトン:この2周、立て続けにターン1ではみ出た。
リカルド・アダミ:了解。

4番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、最速タイムを更新し続けてノリスに迫っていた。
28周目
ブライアン・ボッツィ(→ルクレール):ものすごいペースだ。
9番手フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)からアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)と、1秒以内のトレイン状態が続いていた。しかし30周目、アントネッリがアロンソに1秒以上離された。
ヨルン・ベッカー(→ボルトレート):アントネッリはDRSを外れた。
その隙を逃さず、ボルトレートはアントネッリを抜き去って行った。
31周目
ハミルトン:また出てしまった。
アダミ:了解。
13番手エステバン・オコン(ハース)はニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)に迫っていた。
ラウラ・ミュラー(→オコン):何としてもヒュルケンベルグを抜いて。
その励ましに応えて、オコンはオーバーテイクに成功した。
ミュラー(→オコン):前のアントネッリはハードのスタートタイヤで走り続けている。
アントネッリも抜き去り、さらに前の2台を追う。
ミュラー(→オコン):ボルトレートとアロンソは、3周古いタイヤよ。
38周目にはボルトレートも抜いて、オコンは8番手に。最終的に7位入賞を果たした。

41周目。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はピットイン直前のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を抜き去り、再びトップに立った。両者の差は24秒だ。
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ここから最速を続けるぞ。ピアストリにあまり余裕を与えたくないからね。
3番手のノリスは、背後のルクレールとの差を5秒以上まで広げていた。このまま行けば、タイトル確定だ。
ジョゼフ(→ノリス):素晴らしい仕事をしている。ルクレールは2回ストップかもしれないから、そうしたら僕らも入るぞ。
42周目
スタラード(→ピアストリ):あまりタイム差を広げたくないから、できることをしよう。
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):ピアストリは23秒後方だ。残り16周。君より毎ラップ1秒5速く走る必要がある。

終盤48周目。フェルスタッペンは4番手ルクレールがノリスを攻略できるか、気にしていた。
48周目
フェルスタッペン:ルクレールのペースは? (ノリスに)追いついてきているの?
ランビアーゼ:同じくらいだね。コンマ数秒速い時もあったけど、そう大きくは変わらない。
ジョゼフ:あと5周だけど、このまま行くか、ソフトに換えるか
ノリス:う〜ん。セーフティカーが入ったら、ソフトがいいだろうね。
アロンソは6番手を快走。チームメイトの動向を気にしていた。
55周目
アロンソ:ランス(・ストロール)はポイントに届きそうか?
クリス・クローニン:ああ。(9番手の)ベアマンを追っている。抜けると思う。
アロンソ:よし!
アロンソが訊いた時点ではストロールは11番手だったが、直後にボルトレートを抜いて10番手に上がっていた。そして最終周、ストロールはオリバー・ベアマン(ハース)を抜き去った。
58周目
ギャリー・ギャノン(→ストロール):素晴らしいぞ、ランス!
しかしカルロス・サインツ(ウイリアムズ)との攻防で複数回進路を変えたとして、ストロールは5秒ペナルティを受けて、正式結果は10位に降格となった。
フェルスタッペンは逃げ切り、有終の美を飾った。しかしタイトルは、3位に入ったノリスが獲得した。
ランビアーゼ(→フェルスタッペン):マックス、すべてを出し切ったレースだった。君を誇りに思う。
ジョゼフ:ランド、君が世界チャンピオンだ。
ザク・ブラウン:もしもし、こちらザクだが、世界チャンピオンの直通電話で間違いないかな?
ノリス:そうだよ(泣き笑い)。みんな、ありがとう。子供の頃の夢が叶ったよ。みんな、愛してる。ママ、パパ、愛してる。僕は泣いていないよ。
ジョゼフ:僕もさ。
ノリス:7年、7年かかったんだね。
フェルスタッペン:シーズン後半は本当に素晴らしかった。僕は少しもがっかりしていない。最後まで諦めなかったみんなを、本当に誇りに思う。それから、ここまで一緒に戦ってくれたホンダのみんなには、最高の成功をもたらしてくれたことに感謝しかない。
スタラード:オスカー、よくやった。ランドが世界チャンピオンだ。
ブラウン:すごかったぞ、オスカー。7勝も挙げたんだ。すごい1年だった。
ピアストリ:みんな、ありがとう。ランド、本当におめでとう。お互い必死に戦った。ベストを尽くしたけど、届かなかった。
3人が全力を尽くし、フェアな戦いに終始した最終戦。実に爽やかな幕切れだった。
(Text : Kunio Shibata)
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| 12/5(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
| フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
| 12/6(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
| 予選 | 結果 / レポート | |
| 12/7(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ランド・ノリス | 423 |
| 2位 | マックス・フェルスタッペン | 421 |
| 3位 | オスカー・ピアストリ | 410 |
| 4位 | ジョージ・ラッセル | 319 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 242 |
| 6位 | ルイス・ハミルトン | 156 |
| 7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 150 |
| 8位 | アレクサンダー・アルボン | 73 |
| 9位 | カルロス・サインツ | 64 |
| 10位 | フェルナンド・アロンソ | 56 |
| 1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 833 |
| 2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 469 |
| 3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 451 |
| 4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 398 |
| 5位 | アトラシアン・ウイリアムズ・レーシング | 137 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 92 |
| 7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 89 |
| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 79 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 70 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11/22 |
| 第23戦 | カタールGP | 11/30 |
| 第24戦 | アブダビGP | 12/7 |









