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サポートか悔いのない走りか。区切りを迎える角田裕毅への本音と疑問の残るマクラーレンのステイ判断【中野信治のF1分析/第23戦】
2025年12月4日
ルサイル・インターナショナル・サーキットを舞台に開催された2025年F1第23戦カタールGPはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季7勝目/自身通算70勝目を飾りました。今回はマクラーレン勢が勝利を失う結果に繋がったセーフティカー(SC)中にコースにステイするという選択、そして次戦で区切りのレースを迎える角田裕毅(レッドブル)について、元F1ドライバーでホンダの若手ドライバー育成を担当する中野信治氏が独自の視点で綴ります。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
まずはチャンピオン争いが佳境の前戦カタールGPから振り返りたいと思います。やはりなんと言ってもレースの展開を大きく変えた『SC導入時にコースにステイする』というマクラーレンの判断、本当のところは何があったのでしょうかね。
同一周回に同じチームの車両が2台ピットインすると、2台のコース上のギャップ次第では後ろのマシンが大きくタイムロスをしてしまいます。SC導入時、オスカー・ピアストリ(マクラーレン/前戦終了時点で選手権2位)が前、後ろにランド・ノリス(マクラーレン/前戦終了時点で選手権首位)という状況でした。当然トップを走るピアストリに優先権があり、ダブルピットストップとなった場合は後ろにいるノリスがタイムロスのリスクを負う状態です。
もし、マクラーレンがダブルピットストップを敢行していたら、ピアストリは首位のポジションを守りフェルスタッペンと同じタイヤ状況で彼の前をキープできる一方、ノリスは後続に専攻を許し大きくポジションを落としていたと思います。マクラーレンはふたりのドライバーがともにドライバーズタイトルの可能性を残していますから、平等に対応し、片方が損をするという状況を選びたくなかった、ということでしょうか……。
マクラーレン陣営がどのような考えであの選択に至ったのかは定かではありません。いずれにしても、結果的にSC中のステイという判断はマクラーレンからカタールGPの勝利を逃し、マクラーレンにとって最大のライバルであるフェルスタッペンの勝利に繋がってしまったことは事実です。

また、今回のカタールGPで、全タイヤの最大周回数が25周に制限され、間接的に2ピットストップが義務となったことも、マクラーレンの挽回の機会を遠ざけました。ルサイル・インターナショナル・サーキットは低速コーナーがなく、中・高速コーナーをストレートで繋いだレイアウトで、ピレリの想定を越える可能性があるほど、タイヤに高負荷がかかるコースです。
さらには、ターン12〜14の連続した高速右コーナーが左フロントタイヤにかなり大きい負荷をかけており、2024年の決勝で使用されたタイヤコンパウンドの分析で、左のフロントタイヤが使用不能になる寸前だったことがわかり、今回の25周制限が敷かれました。また、タイヤの内圧の制限値も高めに設定されたので、タイヤに起因するリタイアはありませんでしたが、内圧が高めとなったことでフェラーリなどは苦しい週末を送っていたなという印象です。

■区切りの一戦を迎える角田裕毅への本音
今季は最終戦を残すのみとなるなか、選手権首位ノリスと選手権2位フェルスタッペンのポイント差は12点に縮まりました。ドライバーズタイトル争いはマクラーレンふたりとフェルスタッペンの3名に絞られていますが、フェルスタッペン&レッドブル陣営にとって、重要となるのが裕毅の存在だと考えています。
アブダビGPでたとえフェルスタッペンが勝利を飾った(25点獲得)としても、ノリスが4位(12点獲得)以下でなければノリスが初戴冠となります。つまり、ノリスが表彰台に上がればフェルスタッペンはなす術がありません。裕毅やメルセデス、フェラーリといったライバル勢がマクラーレン勢の前に立ち塞がる状況が、フェルスタッペン&レッドブルにとっては理想だと思います。
2021年の最終戦アブダビGPで、当時フェルスタッペンのチームメイトだったセルジオ・ペレスが予選からトウ(スリップストリーム)を与え、フェルスタッペンのポールポジション獲得を支えていましたね。決勝ではコースにステイし、タイヤ交換を終えフェルスタッペンの前を行くルイス・ハミルトン(当時メルセデス/フェルスタッペンと激しいタイトル争いを演じた)の行く手を阻み、フェルスタッペンがハミルトンの背後につく状況を作り出すなど、素晴らしいサポートぶりを見せて、フェルスタッペンの大逆転王座獲得を支えました。

今回も、フェルスタッペンの逆転を実現するべく、チームメイトである裕毅にはフェルスタッペンとノリスの間に割って入るような。最大の理想で言えばレッドブルとしてワンツー・フィニッシュを遂げるような活躍が求められているのではないかと考えます。
とはいえ、先日レッドブルから発表のあったとおり、裕毅は2026年レッドブルのテスト&リザーブに就任することになったため、今回のアブダビGPがレギュラードライバーとして一区切りのレースとなります。そんな大切なレースですから『チームメイトへのサポートとか言ってられないよね』という気持ちもあって当然ではあると思います。
来年もレッドブルと裕毅の関係が続いていくので、裕毅がフェルスタッペンをサポートすることは大切です。ただ、裕毅の一旦とはいえ区切りとなる大切なレースの焦点が、チームメイトのサポートだけというのは違う気もします。個人的には、裕毅自身が気持ちよく、そして気持ちのいい走りを見せてほしい、というのが本音です。

【プロフィール】中野信治(なかの しんじ)
1971年生まれ、大阪府出身。無限ホンダのワークスドライバーとして数々の実績を重ね、1997年にプロスト・グランプリから日本人で5人目となるF1レギュラードライバーとして参戦。その後、ミナルディ、ジョーダンとチームを移した。その後アメリカのCART、インディ500、ル・マン24時間レースなど幅広く世界主要レースに参戦。スーパーGT、スーパーフォーミュラでチームの監督を務め、現在はホンダレーシングスクール鈴鹿(HRS鈴鹿)のカートクラスとフォーミュラクラスにおいてエグゼクティブディレクターとして後進の育成に携わり、インターネット中継DAZNのF1解説を担当。
- 公式HP:https://www.c-shinji.com/
- 公式Twitter:https://twitter.com/shinjinakano24
(Shinji Nakano まとめ:autosport web)
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| 11/30(日) | 決勝 | 結果 / レポート |
| 1位 | ランド・ノリス | 408 |
| 2位 | マックス・フェルスタッペン | 396 |
| 3位 | オスカー・ピアストリ | 392 |
| 4位 | ジョージ・ラッセル | 309 |
| 5位 | シャルル・ルクレール | 230 |
| 6位 | ルイス・ハミルトン | 152 |
| 7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 150 |
| 8位 | アレクサンダー・アルボン | 73 |
| 9位 | カルロス・サインツ | 64 |
| 10位 | アイザック・ハジャー | 51 |
| 1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 800 |
| 2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 459 |
| 3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 426 |
| 4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 382 |
| 5位 | ウイリアムズ・レーシング | 137 |
| 6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 92 |
| 7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 80 |
| 8位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 73 |
| 9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 68 |
| 10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 22 |
| 第19戦 | アメリカGP | 10/19 |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11/22 |
| 第23戦 | カタールGP | 11/30 |


