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「このためにレースをしている」フェルスタッペンがルクレールを猛追。最後は0.7秒差の決着【F1第20戦無線レビュー(2)】

2025年10月31日

 2025年F1第20戦メキシコシティGP。レース後半、3番手に上がったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、徐々に2番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)との差を詰め始め、背中が見えるようになった。最終的に1秒前後のところまで追いついたものの、レース終盤にバーチャルセーフティカーが出てしまった。メキシコシティGP後半を無線とともに振り返る。

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 レース中盤、4番手スタートから6番手まで順位を落としていたジョージ・ラッセル(メルセデス)は、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに前を塞がれていることに焦りを露わにしていた。


34周目
ラッセル:僕の方がペースあるんだけど。
マーカス・ダドリー:自由にレースしていいぞ。


 いったんはゴーサインを出した担当エンジニアだったが、すぐに前言撤回した。


ダドリー:ジョージ、ここから1、2周、フロントのブレーキを持たせよう
ラッセル:でも前のフェラーリとハースを攻めて、表彰台を獲りにいこうよ。
ダドリー:わかっている。でも最後までブレーキを持たせないといけない。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第20戦メキシコシティGP ジョージ・ラッセル(メルセデス)

 15番手と苦しい状況のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に、トラブルが発生した。


アロンソ:ブレーキに問題だ。ボックス、ボックス。


 34周目に緊急ピットインしたアロンソは、このままリタイアとなった。


ダドリー:ジョージ、タイヤとブレーキをできるだけ持たせるんだ。
ラッセル:わかった。
ダドリー:きついのはわかっているが、すべてコントロールできているから。
ラッセル:後ろからマクラーレンが迫っている。いっそ抜かせようか?
ダドリー:ダメに決まっているだろ。
ラッセル:聞いてみただけだよ。


ラッセル:ベアマンを抜けなかったら、順位を戻すからさ。このままだと、ふたり揃ってレースが台無しだ。僕の方が全然ペースがある。


 入賞圏内を走っていた角田裕毅(レッドブル)は、ピットストップで10秒以上の滞留を余儀なくされ、15番手まで後退していた。

角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第20戦メキシコシティGP 角田裕毅(レッドブル)

37周目
リチャード・ウッド:ここでオーバーテイクだ。オーバーテイクボタンだ。
角田:なぜもっと前に言ってくれなかったんだ!?
ウッド:情報がなかった。
角田:見えたはずじゃないか。
ウッド:君の後ろになると思ってたんだ。


 本来なら角田のはるか後ろにいたはずのガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)が、この周のピットイン後に、角田の前でコースインした。チームがそれに気づいて「抜け」と指示したのだが、角田にしてみれば「もっと早く言ってくれ」という思いだったのだろう。


41周目
ダドリー:順位を替えるぞ。
ラッセル:あ〜最高だ。
ダドリー:ターン4だ。

ピーター・ボニントン:ポジションを交換することになった。君のやりやすい場所でいいが、ターン4が最適だと思う。
アントネッリ:なぜ?
ボニントン:チームの決定だ。それでジョージが抜けなければ、また順位を戻す。


 これでようやくラッセルは前に出ることができた。すぐ後ろにはオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が迫っていた。


トム・スタラード(→ピアストリ):オスカー、ボックスだ。ボックスして前に出る。


 これを聞いたからか、アントネッリも同時にピットイン。しかしピアストリが前に出ることに成功した。


スタラード:プランCで行こうと思う。プランCだ。
ピアストリ:う〜ん、それやるとまた渋滞にハマるんじゃないかな……。
スタラード:でも15周分のタイヤアドバンテージを得られるぞ。


 プランCはソフト→ミディアム→ソフトの2ストップだったのか。最終的にピアストリは、このの2ストップを敢行した。


 予選17番手に終わっていたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、ハードタイヤでスタートしたレースも苦しい展開。41周目にソフトに履き替えてからもペースが上がらず、14番手を走っていた。

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
2025年F1第20戦メキシコシティGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)

45周目
ジェームズ・アーウィン:ハードで30周走ったデータを元に、フロントのフラップ(調整)を決めたんだ。
アルボン:今がどうなのかは、もうひとりに聞いてよ。これからどうなるか、僕にはわからない。


 おそらくアルボンはソフトでのマシン挙動に納得がいってないのだろう。もうひとりとはチームメイトのカルロス・サインツのことで、こちらはミディアム→ソフト→ソフトの2ストップ戦略だった。46周目には、背後から迫っていたサインツに順位を譲れと指示が出た。


アーウィン:ターン1で順位を替える
アルボン:今までで最悪の戦略だね。


 レース終盤、3番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、シャルル・ルクレール(フェラーリ)との差を詰めつつあった。


58周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):前は(1分)21秒9で走ってる。このままならチェッカーまでに追いつくぞ。レッツゴー。このためにレースをしているんだ。


ルクレール:周回遅れの渋滞がハンパない!
ブライアン・ボッツィ:冷静に、ベストを尽くそう。


 11番手を走るボルトレートは、パワーユニットの不具合に手こずっていた。


ボルトレート:こんなエンジンじゃ、いつまで経っても近づけないよ。
ヨルン・ベッカー:どこでカットオフするんだ?
ボルトレート:いつも同じで、ターン12だよ。


 60周目、ラッセルがピアストリにかわされ、6番手に後退した。すぐ後ろにいるアントネッリが、すかさず順位を戻すよう要求した。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)&ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第20戦メキシコシティGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がジョージ・ラッセル(メルセデス)をオーバーテイク

アントネッリ:ポジションを入れ替えるべきだよね。
ボニントン:今、話し合っている。


 すぐにラッセルとアントネッリの順位は換えられた。


ボニントン(→アントネッリ):ピアストリは3秒前だ。


ボッツィ:あと11周。ベストを尽くすんだ。
ルクレール:なんだって?
ボッツィ:あと11周、フルプッシュだ。


ランビアーゼ(→フェルスタッペン):(ルクレールとの)ギャップは1秒。あと3周だ。プレッシャーをかけて、抜くんだ。


 68周目、最終コーナーの立ち上がりでサインツがスピン。そのままマシンを止めた。

ガエタン・イエゴ:ダメージがあるか? (少しして)マシンを止めろ。何かが壊れた。そのままマシンを止めるんだ。


 これでバーチャルセーフティカー(VSC)が導入されたが、チェッカー1周前にレース再開となった。フェルスタッペンが猛然と攻め立てるが、コンマ7秒差でルクレールが逃げ切った。


 ノリスは一度も首位を譲らず、今季6勝目。ピアストリが5位に終わったことで、1ポイント差で選手権首位を奪還した。


ノリス:最高の週末だ。みんな、本当によくやってくれた。信じられない結果だよ。この勢いを続けよう。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)&シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2025年F1第20戦メキシコシティGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)を追うマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
ランド・ノリス(マクラーレン)
2025年F1第20戦メキシコシティGP 優勝したランド・ノリス(マクラーレン)


(Text : Kunio Shibata)


レース

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ドライバーズランキング

※メキシコシティGP終了時点
1位ランド・ノリス357
2位オスカー・ピアストリ356
3位マックス・フェルスタッペン321
4位ジョージ・ラッセル258
5位シャルル・ルクレール210
6位ルイス・ハミルトン146
7位アンドレア・キミ・アントネッリ97
8位アレクサンダー・アルボン73
9位ニコ・ヒュルケンベルグ41
10位アイザック・ハジャー39

チームランキング

※メキシコシティGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム713
2位スクーデリア・フェラーリHP356
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム355
4位オラクル・レッドブル・レーシング346
5位ウイリアムズ・レーシング111
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム72
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム69
8位マネーグラム・ハースF1チーム62
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー60
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

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