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デビューを果たした思い出の地でチームベストタイ「ベアマンには本当に感銘を受けた」と小松礼雄代表

2025年10月29日

 先週末の10月26日に行われた2025年F1第20戦メキシコシティGPでは、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のバトル、劇的なニアミスや物議を醸したリタイア、そしてフェルスタッペンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)を追い詰める終盤の緊迫感といった出来事がハイライトになった。


 しかし上位からスタートしたドライバーが誰もリタイアしなかったレースで、ポディウム直後の4位に入ったことは、ハースF1のオリバー・ベアマンが成し遂げた“偉業”だったと言える。

 今から2年前、ベアマンはこのメキシコシティでハースからFP1デビューを果たし、当時トラックサイドエンジニアリングディレクターを務めていた小松礼雄(現チーム代表)に強い印象を与えたと、ハースのお膝元でもある北米大陸のモータースポーツ専門サイト『RACER.com』が報じている。


 そこから3カ月もしないうちに小松はチーム代表に就任し、その約1年後にはベアマンもレースドライバーのひとりとなった。とくにFP1でいかに早くスピードに乗ったかは印象深いものがあり、昨年のブラジルGPで体調不良のケビン・マグヌッセンのマシンを急遽ドライブすることになったときと似たような状況だった。


 そのインテルラゴスでの彼の最初のラップも小松の目に留まったというが、先週日曜のメキシコシティでも弱冠20歳のフェラーリ育成候補生はすぐに強い印象を残した。


「ベアマンには本当に感銘を受けた」と続けた小松代表。「レースのオープニングラップで、彼はターン1、ターン2、ターン3の混乱をうまく切り抜けました。ここではよくあることですが、彼は本当によくやりました。その後、マックス(・フェルスタッペン)が後ろにいた。それでもマックスからのプレッシャーを吸収し、マックスを引き離したのは素晴らしいことでした」


「そしてセカンドスティントでは再びメルセデスからのプレッシャーを受けた。でも、そのあとはまったく問題なくミスもなかった。2回目のピットストップは正しい判断だったと思います」


 さらにその2回目のピットストップ後は、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が、その後は当時の選手権首位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が執拗なプレッシャーを掛けてきた。


「彼らはトップドライバー、トップチームで、我々より少し速いマシンを走らせていました。しかし今日のレースでは、我々も持ち前の実力を発揮できた。ドライバーからエンジニア、メカニック、そしてピットストップに至るまで、すべてが素晴らしかった。2.2秒のピットストップは今季最速だったと思います。チーム全員の努力の賜物で、本当にうれしくて言葉では言い表せません」


 ベアマンは昨季のサウジアラビアでフェラーリからレースデビューを果たし、将来のスター候補として頭角を現したが、2025年シーズンはF1フル参戦の浮き沈みに悩まされた。


 競争力の低いマシンではフェラーリでのデビュー以来、トップ4チームと戦う機会は少なかったが、メキシコシティではそのチャンスを最大限に活かした。


「スタートは良かった。メルセデス2台の間にポジションを取り、ペースも良かった」と振り返ったベアマン。


「DRSを維持できたし、ジョージはDRSを失ってしまった。その後、ハミルトンとマックスが少し接近してきて、僕もその恩恵を受けたんだ」

レースのオープニングラップではターン1、ターン2、ターン3の混乱をうまく切り抜ける
「2.2秒のピットストップは今季最速だったと思います。チーム全員の努力の賜物で、本当にうれしくて言葉では言い表せません」と小松代表

「正直、マックスとサイド・バイ・サイドで走るのは怖かった。でもF1を見始めた頃からずっと見てきた彼らと、ホイール・トゥ・ホイールで走れたのは本当にクールだった。ミラー越しにずっと彼らの姿が見えていたから、レースで感じたプレッシャーは今までで一番大きかったと思う」


 ベアマンは最初のスティントで3位を走行した際、ハース初の表彰台獲得を狙っていたと“冗談を飛ばした”が、チームの2ストップ戦略のおかげで大半のマシンを抑え、1ストップで彼を上回ったのはフェルスタッペンのみだった。


 結局、最後は4位に甘んじざるを得なかったが、これはハースF1史上最高の結果に匹敵する。メキシコGPに同行していたロマン・グロージャンも、この数字を見逃さなかった。


 今から7年前のオーストリアGPでハースに4位入賞を果たしたグロージャンは、ベアマンが2018年の自身の記録を破ってくれることを期待していたと小松に語った。これは上品な心遣いであり、レース後には数え切れないほどのライバルたちが彼の勝利を祝福するために駆け寄ってきたなかで、小松が受けた数々の心遣いのひとつに過ぎなかった。


 ベアマンの4位入賞とエステバン・オコンの9位入賞は、ハースをコンストラクターズ選手権で8位に浮上させたが、より大きなインパクトは、前戦オースティンにアップグレードを持ち込むという決断の正当性を証明し、年間を通して多大な貢献を果たしてきたチームメンバーへの褒賞となったことだ。


「こんな日に感激しないなら、一体いつ感激できるというんでしょう?」と小松代表。


「でも、これは我々が経験してきたこと、昼夜を問わずどれだけのハードワークをしてきたか、そしてメルボルンのような低迷期をどう乗り越えてきたか、そして周りの人たちがどう反応したか、そういったことがすべて自分に返ってくるんです」


「今また、そのことについて話していると、さらに感激してしまいます。本当にうれしいです。エステバン(・オコン)にとっても素晴らしい走りでした。1ストップで結果を出し、チームにポイントをもたらしてくれました」


「負けることもあれば勝つこともありますが、負けたときは他のドライバーの功績を尊重するものです。例えばシルバーストンでのニコ(・ヒュルケンベルグ)の表彰台のように。実際チームとしては、たとえ我々に不利な結果であっても、彼らの勝利を心から喜んでいます。本当に素晴らしいチャンピオンシップであり、F1全体への友情の証だと思います」


 ランド・ノリス(マクラーレン)の圧倒的な強さによってチャンピオンシップの首位が入れ替わったこの日、最終戦アブダビでこの結果の影響を最も強く感じるドライバーは、チャンピオンに輝いた者か、もしくはベアマンがチェッカーフラッグまで抑え込んだドライバー、つまりピアストリのどちらかになる可能性がある。しかし、少なくとも日曜日の夜に最も熱烈な祝福を受けたのはハースだった。


「チームの皆、男女問わず、本当に頑張ってくれて最高に幸せです。でも、人生には喜びよりも失望の方が多いものです。今日は皆を本当に誇りに思います。チーム全員を励ますこの結果を出すことができて、代表としても本当にうれしいです」

終盤は当時の選手権首位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が執拗なプレッシャーを掛けてきた
「正直、マックスとサイド・バイ・サイドで走るのは怖かった。でもF1を見始めた頃からずっと見てきた彼らと、ホイール・トゥ・ホイールで走れたのは本当にクールだった」とベアマン


(autosport web)


レース

10/25(土) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
10/26(日) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
10/27(月) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※メキシコシティGP終了時点
1位ランド・ノリス357
2位オスカー・ピアストリ356
3位マックス・フェルスタッペン321
4位ジョージ・ラッセル258
5位シャルル・ルクレール210
6位ルイス・ハミルトン146
7位アンドレア・キミ・アントネッリ97
8位アレクサンダー・アルボン73
9位ニコ・ヒュルケンベルグ41
10位アイザック・ハジャー39

チームランキング

※メキシコシティGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム713
2位スクーデリア・フェラーリHP356
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム355
4位オラクル・レッドブル・レーシング346
5位ウイリアムズ・レーシング111
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム72
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム69
8位マネーグラム・ハースF1チーム62
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー60
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第19戦アメリカGP 10/19
第20戦メキシコシティGP 10/26
第21戦サンパウロGP 11/9
第22戦ラスベガスGP 11/22
第23戦カタールGP 11/30
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