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F1参戦各チームが直面する2026年向けシミュレーター開発「動く標的に照準を合わせるようなもの」

2025年10月15日

 来季となる2026年に車両規定の大変革を控えるF1だが、参戦各チームはシミュレーターで新レギュレーションを理解しようとするなかで、さらなる複雑性に直面している。急速に進化する設計によって、彼らは「動く標的」に照準を合わせるような状況に置かれている。


 そんな新規定車両が実際に走り出すバルセロナ合同テストまであと4カ月ほどに迫った今、チームは依然として新型マシンがコース上でどのような挙動を示すのか、そしてどのようにして最高のパフォーマンスを引き出すのか。その開発過程に於いて「多くの不確実性を抱えている」と、イギリスの新進気鋭専門ウェブサイトである『The Race.com』が報じている。

 戦術的なエネルギー回収と配分が成功の鍵を握っており、チームの本音と理想的には、今すぐにでもシミュレーションを繰り返し実行し、直面するであろう複雑な課題を完全に理解したいはず。しかしチームが設計を改良し続け、さらなるパフォーマンスを引き出すにつれ、シミュレーターに投入されるモデルにも影響が出ている。


 メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、理論上は「来季に向けて何が必要かを理解するのは難しい」と述べ、ダウンフォースとドラッグレベルがエネルギー配分に直接影響を与えるというこの変化の速さゆえ、ある仮想バージョンに適合した解析結果は、数週間後の状況には当てはまらない可能性を示唆する。


「もちろん、規則に対する適切なシミュレーションモデリングが構築できれば、エネルギー問題に関する広範な課題をかなり早い段階で理解できる。しかし実際にはマシンが毎週(仮想空間上で)進化しており、パフォーマンスが変化するとシミュレーションの結果も変化していく」と明かしたショブリン。


「設計基準が大きく変化しているため、各チームは自らの判断を迷うことが多くなっていると思う。そのため、シャシーパッケージをエンジンとパワーユニットパッケージに最適化しようとすると、その目標が常に変化するんだ」


 改めて、2026年のレギュレーション改訂はF1史上最大のレギュレーション改正となる。エンジンとバッテリーのエネルギー配分をほぼ50:50とする新しいハイブリッドターボの内燃機関(ICE)ユニットが、可変空力特性を備えたマシンと組み合わせられることになる。


 ショブリンは、そのパフォーマンスの秘密を解き明かすにあたって、チームが進む先は「容易な道のりではない」と説明を続ける。


「私たちはそこ(仮想空間上)で複雑な部分を構築しているが、難しい一年になるだろう。新しいECUは実際にはかなり大きな課題なんだ。そのうえで新しいパワーユニットが導入され、シャシーのレギュレーションも全く異なる。新しいタイヤにも慣れなければならないし、エネルギー問題も変わってくるし、当然、燃料も新しくなる。やるべきことは山積みだ」

エンジンとバッテリーのエネルギー配分をほぼ50:50とする新しいハイブリッドターボの内燃機関(ICE)ユニットが、可変空力特性を備えたマシンと組み合わせられることになる
「設計基準が大きく変化しているため、各チームは自らの判断を迷うことが多くなっていると思う」とアンドリュー・ショブリン(左)

「先ほども言ったように、シミュレーターで走らせることができるマシンのバーチャルモデルはあるが、それでも『4カ月後のダウンフォースレベルがどうなっているか?』を予測しようとしている。あらゆる面で前進しているが、実際にサーキットを走ることのないマシンで、あれだけの作業を行うのは意味がない。実際に走る現実世界を代表するもので、それを実証したいんだ」


 この根本的に異なる2026年F1レギュレーションは、どのように最善の対策を講じるかについて、チーム間で非常に異なる解釈につながる可能性が高い。例えばF1のブレーキサプライヤーであるブレンボが、2026年のデザインに関して「各チームが非常に多様なアプローチを取っている」との認識を持っていることを明らかにし、極端にミニマリスト的な攻撃的デザインを選択するチームもあれば、より保守的なデザインを採るチームもある。


 ブレンボの見解が「F1のデザインに大きなバリエーションが生じることを示唆しているか」と問われたショブリンは「初期段階ではそうなる可能性は充分にある」と応じた。


「ブレーキメーカーからも異なる要求を受けているため、何が正しい答えなのか確信が持てないという声は挙がっている。リヤアクスル(後車軸)に大きな減速効果をもたらす大型の電動モーターが搭載されていることは明らかで、そのためディスクとキャリパーの容量を(従来の常識的な範疇から逸脱するほど)小型化することが可能になる」


「またピレリは、直線走行時の負荷がかかった際の車両の挙動について『さまざまな提案を受けている』と述べていた。しかし我々は皆、それぞれが独立してマシンを開発している。誰も何も見ていないし、最近は他チームから開発の進捗状況について何も聞かなくなっている。おそらく最も多様性が見られるのは、各チームがマシンをリリースした直後だろう。そしてすぐに、最も速そうなチームを真似して同じルートを辿り始めるんだ」


 そのピレリは2026年に各チームが予想するダウンフォースレベルに大きな差があると公言しているが、ショブリンは最終的に、これまでのF1の慣習に従ってその差はそれほど大きくならないだろうと考えている。


「現実には、シミュレーションで他チームよりも良い結果を出すチームがあり、特に良い結果が出ているチームは、自分たちの現状を控えめに見せようとするかもしれない」と続けるショブリン。


「自分が到達できると考えているレベルを提示するチームもあれば、現状を提示するチームもあるだろう。しかし現在のルールでは、導入時に大きな違いが出ることはそれほどないのではないかと思っている」

とくに大型MGUが回生するリヤは、大幅な軽量化を狙い極端なほど小型化するチームが現れる可能性も
電動比率が高まることで、タイヤ側の特性や耐負荷性能なども見直しが迫られそうだ


(autosport web)


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