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F1チーム代表の現場事情/マクラーレン:ステラの統率力が試される試練。フェルスタッペンの脅威をしのげるか

2025年9月29日

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラに注目した。

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 どういうわけか、今シーズンここまで、アンドレア・ステラがこのコラムに登場することはなかった。それは、今年多くのチームに動揺と不安定さが見られた一方で、マクラーレンは圧倒的優位を享受してきたからだ。

2025年F1第4戦バーレーンGP 表彰式
2025年F1第4戦バーレーンGP表彰式 左から優勝したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、アンドレア・ステラ代表、3位に入賞したランド・ノリス(マクラーレン)

 もちろん、ステラにも取り組まねばならない課題はあったが、2年連続となるコンストラクターズ選手権制覇へ向けて進歩を続けつつ、ふたりのドライバーが不満を抱かずに戦える状況を用意するという仕事を成功させてきた。


 そんなマクラーレンにも、最近頭痛の種が出てきた。直近では、モンツァでオスカー・ピアストリに対し、ランド・ノリスにポジションを譲るよう指示したことが物議を醸した。チームは、レース終盤、ピットストップの失敗で遅れを取ったノリスにポジションを取り戻させたかったのだ。


 この件はバクーの週末が始まっても大きな話題となっており、木曜日のメディア対応では、両ドライバーがこれについての質問を受けた。ふたりは同じ見解を示し、今後の方向性を明確にするためチームとの話し合いがあったが、自分たちの立ち位置は正確に理解していると述べた。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2025年F1第16戦イタリアGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 ステラの強みのひとつは、チームメンバー全員が同じ方向を向き、ドライバーも同様に歩調を合わせる文化と雰囲気を、マクラーレン内に築けていることである。圧倒的な強さを示すチーム内で、ふたりのドライバーがタイトルを争うような場合、ガレージ内に分裂が生じやすいものだが、これまでのところマクラーレンにはそのようなことは起こっていない。


 しかし、もしそうした分裂が生じるとすれば、アゼルバイジャンGPがきっかけになるかもしれない。バクーでマクラーレンは、今シーズン一貫して見せてきた高いレベルには到底及ばないパフォーマンスと成績にとどまった。


 金曜日は多くの面で順調に進まなかった。ピアストリにはパワーユニットの信頼性トラブルが発生。マクラーレンにパワーユニットの問題が発生したのはこの3戦で2回目のことだった。一方で、ノリスはウォールに接触するというアクシデントがあった。土曜日も状況は好転せず、2台とも予選でトップ6入りを逃し、ピアストリはクラッシュでノータイムだった。


 そしてピアストリは決勝で週末2度目のクラッシュを喫し、オープニングラップでリタイア。ノリスは7位にとどまったことで、マクラーレンはこの週末、わずか6ポイントしか獲得できなかった。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が予選Q3でクラッシュ

 アゼルバイジャンでマクラーレンはコンストラクターズタイトルを確定させる可能性があったが、この不調によりその機会は先送りとなり、それだけでなく、チーム全体へのプレッシャーが大きく高まることになった。マックス・フェルスタッペンが2戦連続でポール・トゥ・ウインを飾り、2戦でポイントリーダー、ピアストリとの差を35ポイント縮め、ドライバーズタイトル争いにおいて大きな脅威とみなされるようになったのだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が優勝

 ピアストリとフェルスタッペンのポイント差は69ポイントあるものの、フェルスタッペンを恐れるべきであると、ステラは認めている。レッドブルが次のシンガポールでもこの調子を維持できるなら、フェルスタッペンは真の脅威になると考えているのだ。


 マクラーレンは、チーム内で解決すべき問題を抱えている。そのひとつは、2戦続けてピットストップに失敗が起きたことで、それによってノリスが大幅にタイムをロスした。レース後、ステラはタイトル争いをマクラーレンのドライバー間に限定するためには、チームは仕事を遂行する能力を改善しなければならないと述べた。


 サマーブレイク前には全く想定されていなかった事態だが、今や、「もしレッドブルがシンガポールでも勝利したらどうなるか?」という問いが現実味を帯びてきた。これは今季初めてマクラーレンとステラが直面する真の外部からの圧力であり、ステラは自ら築いた文化がチームにそれを乗り切る力を与えることを期待している。




(Text : Chris Medland)


レース

9/19(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
9/20(土) フリー走行3回目 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
9/21(日) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※アゼルバイジャンGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ324
2位ランド・ノリス299
3位マックス・フェルスタッペン255
4位ジョージ・ラッセル212
5位シャルル・ルクレール165
6位ルイス・ハミルトン121
7位アンドレア・キミ・アントネッリ78
8位アレクサンダー・アルボン70
9位アイザック・ハジャー39
10位ニコ・ヒュルケンベルグ37

チームランキング

※アゼルバイジャンGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム623
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム290
3位スクーデリア・フェラーリHP286
4位オラクル・レッドブル・レーシング272
5位ウイリアムズ・レーシング101
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム72
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム62
8位ステークF1チーム・キック・ザウバー55
9位マネーグラム・ハースF1チーム44
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第17戦アゼルバイジャンGP 9/21
第18戦シンガポールGP 10/5
第19戦アメリカGP 10/19
第20戦メキシコシティGP 10/26
第21戦サンパウロGP 11/9
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