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キャリアベスト5位入賞を達成したローソン。カギはバトル中に学んだエネルギーマネジメント/レーシングブルズコラム
2025年9月26日
レーシングブルズはF1第15戦オランダGPでのアイザック・ハジャーの表彰台獲得に続き、第17戦アゼルバイジャンGPではリアム・ローソンが予選3番手・決勝5位というキャリアベストの走りでチームを沸き立たせた。
第16戦イタリアGPでは新型フロアを投入したものの予選では不発で本領発揮とはならなかった。だからこそ、このアゼルバイジャンでは予選が非常に重要になると、ローソンはレース週末前から語っていた。
「僕らはどちらかと言えばハイダウンフォースのサーキットの方が強みで、モンツァは僕らの真の実力を発揮できるサーキットではなかった。予選でもランプランを失敗して、最終アタックでコースオフしてきちんとしたアタックができなかった。今シーズンはものすごく接戦でオーバーテイクがかなり難しいから、だからこそ予選がものすごく重要だ」
その言葉通り、ローソンは雨がぱらついたQ3で好タイムを記録して3番グリッドを獲得した。雨が強くなる前に2番手タイムを記録したカルロス・サインツ(ウイリアムズ)とは違い、ローソンは雨が降った後の赤旗後のアタックでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に次ぐ2番手のタイムを記録している。コンディションの利を得たわけではなく、実力で掴み獲った予選3番手であり、サインツが序盤でアタックしていなければローソンは2番手だった。


バクー市街地サーキットは路面のグリップレベルが低く、実はレーシングブルズとしては苦戦を覚悟していた。上海やモントリオールのようにグリップレベルが低い路面では、グレイニングが発生して苦戦した経験があったからだ。
「ここはターマックが僕らにとって最悪だったカナダに似ていて、カナダではグレイニングが出たし最も柔らかいタイヤだ。だから今週末はチャレンジになると思う。1周アタックのペースは速いとは思うけどね」
ハジャーはそう懸念を示していたが、今年の路面は金曜からコンディションがよかったこともあり、チームはマシンセットアップを上手くまとめ上げてレースペースを維持できるマシンを仕上げた。

スタートからローソンはメルセデス勢を抑えて3番手を走行。アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のピットストップに合わせてカバーに動き、前で戻りはしたが、アウトラップで抜かれてしまった。
「キミをカバーしようとしたけど充分じゃなかった。エネルギーがなくなってしまったんだ。(最終コーナーでSOC表示の)バーを見て、その状態でストレートに入ると途中でエネルギーが足りなくなってしまうのを学んだ。だからそれ以降はそうならないように、ラップのなかでエネルギーを温存していたんだ。あれが僕にとっては大きなターニングポイントだった」
バクーは2.2kmもの長いストレートがあり、決勝では約26秒間の連続全開時間のすべてにERS(エネルギー回生システム)のディプロイメントを効かせることはできない。しかしバトルでは「オーバーテイクボタン」を押すことでそれを切ることなく効かせ続け、オーバーテイクを仕掛ける。逆に前を走る側も同じようにディフェンスをするために使う。
しかし、バッテリーの残量が充分でなければこのオーバーテイクボタンを使うことはできず、ストレートの途中でディプロイメントは切れてしまう。
ホンダの折原伸太郎トラックサイドゼネラルマネージャーはこう説明する。
「普通に走っていると(オーバーテイクボタン)1回分くらいの余裕はあるんですが、ああいうバトル状況ではその1回はすぐに使いきってしまいますので、1回使ってポジションを守った後は遅く走っても抜かれないところで(余計なディプロイメントを切る)アンチディプロイボタンを使ってバッテリーを貯めて、オーバーテイクを押せるようにするということを繰り返していくかたちになります。1周ではほぼ回復できないので、1回使うと何周か貯めなければいけないということの繰り返しになります。後ろの動きを見ながらそれをやっていく、そのタイミングが難しいポイントです」

ローソンはアウトラップの時点でバッテリー残量が低く、ディプロイメントをあまり必要としないセクター2では充電優先のモードで走ったりとできる限りのことはやったものの、オーバーテイクボタンを使うだけの充電はできなかった。ローソンはアントネッリとのバトルでそれを学び、その後のシャルル・ルクレール(フェラーリ)と角田裕毅(レッドブル)を抑え込むバトルに活かした。アントネッリには抜かれてしまったが、抜かれないセクター2ではゆっくり走って充電に努め、攻められたときにはオーバーテイクボタンを使ってディフェンスするという技を使って5位を守り切った。
予選実質2番手の走りから、5位を守り切った安定の決勝。アゼルバイジャンGPのローソンは、もっと賞賛されてしかるべきだろう。
ひとつ言うならば、序盤にメルセデスを抑えたことでサインツとのギャップが広がってしまった点は、チームとしての判断ミスだった。そうしていれば、メルセデス勢とともにサインツの後方に付いてサインツとの4位争いができた可能性があった。
メルセデス勢を抑えきって3位を守り切ることに賭けるよりも、コンストラクターズランキングを争うウイリアムズとの争いを優先すべきだったはずだ。この辺りはチームとしての伸びしろと言えそうだ。

(Text : Mineoki Yoneya)
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9/21(日) | 決勝 | 結果 / レポート |


1位 | オスカー・ピアストリ | 324 |
2位 | ランド・ノリス | 299 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 255 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 212 |
5位 | シャルル・ルクレール | 165 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 121 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 78 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 70 |
9位 | アイザック・ハジャー | 39 |
10位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 623 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 290 |
3位 | スクーデリア・フェラーリHP | 286 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 272 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 101 |
6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 72 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 62 |
8位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 55 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 44 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 20 |

第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9/21 |
第18戦 | シンガポールGP | 10/5 |
第19戦 | アメリカGP | 10/19 |
第20戦 | メキシコシティGP | 10/26 |
第21戦 | サンパウロGP | 11/9 |

