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「1ストップでいく」「望むところだ」不可能に見えた戦略で勝負に出たノリス【F1第14戦無線レビュー(1)】
2025年8月9日
2025年F1第14戦ハンガリーGP。ランド・ノリス(マクラーレン)はスタート直後に順位を落とし、ドライバーズ選手権首位の僚友オスカー・ピアストリを追うことに。そこでノリスは1ストップ戦略を選択し、勝負に出た。ハンガリーGP前半を無線とともに振り返る。
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今季初のポールポジションを獲得したシャルル・ルクレール(フェラーリ)がスタートで首位を守った一方、3番手ランド・ノリス(マクラーレン)はジョージ・ラッセル(メルセデス)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)に抜かれて5番手に後退してしまう。
1周目
トム・スタラード(→オスカー・ピアストリ):いいぞ。ランドはラッセル、アロンソの後ろだ。
クリス・クローニン(→アロンソに):よくやった。リズムに乗って行こう。
2周目。ターン1でチームメイトのフランコ・コラピント(アルピーヌ)をアウトから抜こうとしたピエール・ガスリー(アルピーヌ)だったが、まったく引いてくれなかった。
ガスリー:あいつ、かなりギリギリだった。
カレル・ルース:了解。

4周目、ノリスはアロンソをかわして、4番手に順位を上げた。
ウィル・ジョゼフ(→ノリス):よし、次はラッセルだ。もし抜きあぐねたら、プランAで行こう。それの長いやつだ。ただしあくまで、ラッセルを抜くのが優先だ。
プランAはオーソドックスな2ストップ作戦を指すと思われる。この時点では、1ストップはまだ想定外だったようだ。
8番手スタートのマックス・フェルスタッペン(マクラーレン)は、1周目にリアム・ローソン(レーシングブルズ)にかわされたもののなんとか抜き返し、3周目にはランス・ストロール(アストンマーティン)も抜いて7番手に上がった。
ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):いい仕事をしているぞ。さっさと彼らを片付けてしまおう。

しかしそこからは、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)を抜きあぐねる展開に。一方11番手のアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)は、2回続けてグラベルの雨を浴びてしまう。
4周目
ハジャー:ああ! 僕の頭が……
ピエール・アムラン:どうした、グラベルか?
ハジャー:小石をもろに被った!
コースオフして巻き上げた砂利が、ヘルメットを直撃したようだった。アジャの災難は、これで終わらなかった。
6周目
ハジャー:手が×××だ、グラベルが飛んできた。
前のオリバー・ベアマン(ハース)がターン12ではみ出し、多くの小石を跳ね上げた。それがコーナリングでステアリング操作中のハジャーの左の拳を直撃したようだ。
この辺りからそろそろ、いくつかのチームで1ストップ作戦の可能性が検討され始めた。
8周目
スタラード:オスカー、何台かは1ストップ作戦を話している。それでいけると思うか。
ピアストリ:今はタイヤは大丈夫だけど、これから数10周もした後は、どうかわからないよ。
スティーブン・ぺトリック:ニコ、スタート直前に動いたために、5秒ペナルティだ。
ニコ・ヒュルケンベルグ:マジ? 全然そんな感じじゃなかったんだけど。
ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)はまったく納得いっていない。確かに微妙な判定だった。
10周目前後、首位のルクレールがトラブルを訴えた。
ルクレール:このカットは、どういうことだ。
エネルギー回生が途切れる症状が出ているようだ。それでも背後のピアストリを、2秒以上引き離している。
フェルスタッペンは依然としてボルトレートに追いつけない。
フェルスタッペン:このタイヤ、どんどん落ちている。
ヨルン・ベッカー(→ボルトレート):後ろのフェルスタッペンがタイヤがダメだと言っている。このまま行くぞ!

ノリスも、3番手ラッセルを抜けずにいた。
16周目
ジョゼフ:ターン2はワイドなラインがいいぞ。
ノリス:僕の問題はターン2じゃなくて、最後の3つのコーナーだよ。
ピアストリは18周目にピットに向かった。
スタラード(→ピアストリ):ボルトレートが近づいている。かなりギリギリのタイミングだが、なんとか前に出られそうだ。

ジョゼフ(→ノリスに):プランAマイナス5で行くぞ。
最初のスティントを想定より5周短くという意味か。この時点でもまだ2ストップで行くつもりだったようだ。
ピアストリの次の周、19周目にルクレールがピットイン。作業時間はわずか2秒。ピアストリの数秒前でコース復帰した。
スタラード(→ピアストリ):ルクレールはウォームアップで苦しむはずだ。
それでもルクレールは2番手キープに成功した。暫定トップはノリスだ。
22周目
ジョゼフ:ランド、タイヤはどうだ?
ノリス:悪くない。予定通り行けるんじゃないかな。
ジョゼフ:プランAで行くか。いっそプランDにするか。
ノリスからの返事はなかったが、プランDが1ストップのようだ。
25周目
ピアストリ:1ストップ、行けるかなあ。
スタラード:難しいと思うよ、オスカー。
18周目に1回目のタイヤ交換をしては、さすがに難しいだろう。
26周目
ルイス・ハミルトン:前の2台に詰まってて、(フェルスタッペンの)カモにされそうだ。

12番手スタートのルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、この時点でもまだ11番手。しかしフェルスタッペンにしても、ハミルトンを抜けそうな速さはない。
ノリス陣営はここで、1ストップ作戦を敢行して大逆転を図ろうと決断した。
ジョゼフ:30周目にピットインして、1ストップで行くぞ。ハードで40周走ることになる。
ノリス:望むところだ。
27周目
ブライアン・ボッツィ:ノリス(1分)22秒1、ピアストリ(1分)21秒0……。
ルクレール:このままこれをやっていたら、このレースは負けだ。タイムロスが大きすぎる。
ルクレールのいう「これ」とは、リフト&コーストのことか。コーナーの進入まで惰性で走れば、タイヤを持たせるには有効だ。しかしラップタイムは落ちる。ルクレールにしてみれば、「勝つ気がないのか」という思いなのだろう。
29周目
リカルド・アダミ:フェルスタッペンがもう7周くらい前から、後ろに迫っている。
ハミルトン:見えている、見えているよ。
この時点で、両者の差は1秒以内。わざわざ言ってくれなくても、わかってると言いたいのだろう。この直後、ハミルトンはコースオフ。フェルスタッペンが11番手に上がった。
ハミルトン:タイヤがもうダメだ。
アダミ:了解。
31周目、予定より1周延ばして、ノリスがピットイン。ハードに履き替えた。
ジョゼフ(→ノリス):アロンソが来ているが、先行できるはずだ。彼は今、最終コーナーを回った。
アロンソの1秒8ほど前、4番手でノリスはコースに復帰した。
38周目、ハジャーが1コーナー立ち上がりでベアマンを抜き去っていった。
アジャ:すごくいい動きだっただろ。
ピエール・アムラン:まさにそう言おうと思ってた。いいぞ。落ち着いていくんだ。
今年から組んだこのふたり、フランス人同士の気やすさもあるだろうが、いい感じだ。
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F1第14戦無線レビュー(2)に続く
(Text : Kunio Shibata)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 284 |
2位 | ランド・ノリス | 275 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 187 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 172 |
5位 | シャルル・ルクレール | 151 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 109 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 64 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 54 |
9位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |
10位 | エステバン・オコン | 27 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 559 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 260 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 236 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 194 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 70 |
6位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 52 |
7位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 51 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 45 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 35 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 20 |

