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表彰台を争うルクレール「ほっといてくれ」不要な情報を伝えた無線のやり取りに苦言【F1第13戦無線レビュー(2)】

2025年8月1日

  2025年F1第13戦ベルギーGP。序盤から背後に迫るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を凌ぎ続けてきたシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、レース後半もフェルスタッペンと表彰台を争っていた。そんななかルクレールにはフェルスタッペンとのギャップを伝える無線が入ったが、それに対してルクレールは「ほっといてくれ」と不満を露わにした。ベルギーGP後半を無線とともに振り返る。

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 12番手走行中のエステバン・オコン(ハース)も、角田裕毅(レッドブル)と同じく1周遅い13周目のピットインだった。しかも交換したタイヤは、新品ではなかった。


13周目
ラウラ・ミュラー:ピット出口に(ランス・)ストロールがいるから気をつけて。
オコン:なぜ中古タイヤなんだ?
ミュラー:ごめんなさい。その通りよ。


 ミディアムの新品タイヤは1セット残っていたはず。チーム内の連絡ミスなのか、オコンは中古を履かされ、その上ピットインタイミングが遅かったこともあって、最下位20番手に後退。そこから追い上げたものの15位完走に終わったオコンは、レース後「入賞できる速さはあった」と不満をぶちまけていた。

エステバン・オコン(ハース)
2025年F1第13戦ベルギーGP エステバン・オコン(ハース)

16周目
マックス・フェルスタッペン:ストレートのクリッピングが信じられないほど酷い。


 クリッピングとは、回生エネルギーが途絶えることを指す。雨用セッティングに振ったフェルスタッペンは、最高速が伸びないことに苛立っていた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第13戦ベルギーGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 1周目にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)にかわされ、2番手に後退したランド・ノリス(マクラーレン)だが、ペースは悪くない。


ウィル・ジョゼフ(→ノリス):ランド、このタイヤのまま最後まで行けるぞ。もう1台(注:ピアストリ車)がそれをするには、かなりタイヤを労る必要がある。そこが僕らのチャンスになる。


 ルイス・ハミルトン(フェラーリ)と同様11周目という早いタイミングでピットインしたニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)は、15番手から9番手に一気にジャンプアップ。しかしペース自体は、背後のチームメイト、ガブリエル・ボルトレートの方が速かった。


19周目
ボルトレート:ニコは(リアム・)ローソンを抜く必要がある。そうじゃなければ、僕を行かせてくれ。


 20周目に両者は順位を入れ替え、ボルトレートは9位入賞。ヒュルケンベルグはタイヤが持たず、2回ストップで12位に終わった。

ニコ・ヒュルケンベルグ&ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
2025年F1第13戦ベルギーGP ニコ・ヒュルケンベルグ&ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)

22周目
トム・スタラード:いい仕事をしている。基本的にはこのままいける。だが状況次第では、もう1回ピットインするかも。そこは、きみに任せるよ。
ピアストリ:わかった。デグラデーションがひどくなっている。このまま最後まで行くのは厳しいかも。


33周目
スタラード:デグラデーションは予想通りだ。ベストの戦略は、このまま最後まで行くことだ。
ピアストリ:それでハッピーだ。


34周目
ジョゼフ(→ノリス):タイヤがどんどんトリッキーになっている。ハードブレーキングに気をつけろ。

ランド・ノリス(マクラーレン)
2025年F1第13戦ベルギーGP ランド・ノリス(マクラーレン)

 レース中盤まではノリスの方がタイヤの状態はよかったが、後半になると状況は逆転したようだ。


 3位表彰台が目前のシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、フェルスタッペンに迫られつつあった。


39周目
ブライアン・ボッツィ:フェルスタッペンが1秒2だ。
ルクレール:ほっといてくれ。情報が欲しいときには何も言ってくれなくて、どうでもいい時は余計な情報ばかりじゃないか。(フェルスタッペンとの差は)しっかりマネージメントしているから。

 42周目。17番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は前を行くアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)にコンマ4秒まで迫りながらも、抜きあぐねていた。


クリス・クローニン:あと3周だ。
アロンソ:これだけ近づいているのに、全然抜けない。信じられないよ。
クローニン:辛いと思うが、頑張ってくれ。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
2025年F1第13戦ベルギーGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)

 42周目、ノリスは首位ピアストリとの差を3秒まで縮めていたが、1コーナーのブレーキングでタイヤがロック。1秒以上のロスを喫してしまう。


スタラード(→ピアストリ):ギャップは4秒3まで広がった。最終コーナーはリフト&コーストで、ブレーキを冷やそう。


 ふたりの差は3秒4まで縮まったが、ピアストリが堂々の今季6勝目。ノリスとのポイント差を16まで広げた。


スタラード:よくやった。素晴らしい仕事だったぞ。
ピアストリ:ターン1を抜けたら、ピットレーンを逆走して入っていくんだよね?
スタラード:そうだ。歩行者がいるかもしれないから、気をつけて。
ピアストリ:昨日のレースよりはずっといい出来だったね。狙ってたとはいえ、本当に気持ちいいよ。今回も素晴らしいクルマに仕上げてくれて、本当にありがとう。


 前日のスプリントレースでは、スタート直後に2番手フェルスタッペンに抜かれて2位に終わっていた。2番手スタートの決勝レースでは同じことをノリスに仕掛け、まんまと成功させた。会心の勝利だったはずだが、冷静なピアストリは勝利の雄叫びを上げるようなことはなかった。



(Text : Kunio Shibata)


レース

8/1(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
8/2(土) フリー走行3回目 19:30〜20:30
予選 23:00〜
8/3(日) 決勝 22:00〜


ドライバーズランキング

※ベルギーGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ266
2位ランド・ノリス250
3位マックス・フェルスタッペン185
4位ジョージ・ラッセル157
5位シャルル・ルクレール139
6位ルイス・ハミルトン109
7位アンドレア・キミ・アントネッリ63
8位アレクサンダー・アルボン54
9位ニコ・ヒュルケンベルグ37
10位エステバン・オコン27

チームランキング

※ベルギーGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム516
2位スクーデリア・フェラーリHP248
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム220
4位オラクル・レッドブル・レーシング192
5位ウイリアムズ・レーシング70
6位ステークF1チーム・キック・ザウバー43
7位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム41
8位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム36
9位マネーグラム・ハースF1チーム35
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第14戦ハンガリーGP 8/3
第15戦オランダGP 8/31
第16戦イタリアGP 9/7
第17戦アゼルバイジャンGP 9/21
第18戦シンガポールGP 10/5
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