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【F1第13戦ベスト5ドライバー】完璧なオーバーテイクのピアストリ/角田裕毅を苛立たせたノーミスのガスリー

2025年7月30日

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第13戦ベルギーGPの戦いを振り返った。

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■イギリスの失意を払拭。完璧なオーバーテイクで勝利をつかんだピアストリ

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):スプリント予選1番手/スプリント2位/予選2番手/決勝1位

オスカー・ピアストリとランド・ノリス(マクラーレン)
2025年F1第13戦ベルギーGP ランド・ノリスを追い抜くオスカー・ピアストリ(マクラーレン)
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2025年F1第13戦ベルギーGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

 スチュワードの裁定により、シルバーストンでの勝利を逃してから3週間後、オスカー・ピアストリは華麗にベルギーGPを制し、最高の形で挽回を果たした。


 スプリントのポールラップは彼のキャリアの中でも最高の部類に入るものだった。しかしスプリントでは、低ダウンフォース設定を選んだマックス・フェルスタッペンにスタート直後になすすべなく抜かれ、15周の間、攻撃を仕掛けることができなかった。


 日曜日、より難しいコンディションとなった決勝で、ピアストリはグリッド2番手の位置を生かし、大きなリスクを冒しつつも完璧な動きでランド・ノリスをオーバーテイクした。終盤にはチームメイトが1周につきほぼ1秒ずつ差を詰めてきたが、ピアストリは動揺を一切見せることなく、自分のペースをコントロールした。


 こうしてふたりの立場は逆転した。次はノリスがブダペストで巻き返す番である。

■持てるものを最大限に生かして戦ったルクレール

シャルル・ルクレール(フェラーリ):スプリント予選4番手/スプリント4位/予選3番手/決勝3位

シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2025年F1第13戦ベルギーGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が3位表彰台

 シャルル・ルクレールは、得意とするサーキットのひとつで、再びルイス・ハミルトンを上回る走りを見せた。


 改良が加えられたSF-25は、マクラーレンやフェルスタッペンのRB21には依然として太刀打ちできないため、完全にドライなコンディションだったスプリントでは、ルクレールは4位に沈んだが、後方のライバルたちには大差をつけた。


 レースが多くの予想よりもドライになることを見込んで、フェラーリはルクレールにローダウンフォースのセットアップを施し、予選でルクレールは見事なラップを刻み、グリッド3番手を獲得した。


 日曜日、レース序盤の路面がまだかなり濡れていた段階においてさえも、ルクレールはほとんどミスをせずに、はるかに速いフェルスタッペンを背後に抑え込むことに成功した。そして、路面が乾いてからは、そのセットアップが功を奏し、多少なりとも余裕を持って走ることができた。ストレートではレッドブルよりも速く、下りの低速セクションではバックミラーを気にする必要もなかった。ルクレールは、持てるものを最大限に生かした素晴らしい走りを披露した。

■速さで勝るハミルトンからポジションを守り切ったアルボン

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):スプリント予選16番手/スプリント16位/予選5番手/決勝6位

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
2025年F1第13戦ベルギーGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)とルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第13戦ベルギーGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)とルイス・ハミルトン(フェラーリ)

 ハミルトンは最初の10周で5台をオーバーテイクし、その後、最初にスリックタイヤに交換したことで、さらに6つ順位を上げた。しかし彼は、アレクサンダー・アルボンに急速に接近したにもかかわらず、ウイリアムズを抜くことはできなかった。


 困難な時期を過ごしてきたアルボンとウイリアムズにとって、6位という結果は驚異的であったが、彼自身はそれ以上を夢見てさえおり、「インターミディエイトでのスティントの終盤には、ジョージ(・ラッセル/メルセデス)に追いつきつつあった」と語った。


 路面が乾いた後、アルボンはルクレールと全く同じ状況に置かれた。すなわち、ストレートではアルボンの方が速いが、1周全体でははるかに速く走れるハミルトンが背後に迫っていたのだ。アルボンがポジションを守り切るためには、ほんの小さなミスさえも犯してはならなかった。その仕事を成し遂げたアルボンは、その努力の成果として、6位という素晴らしい結果を手に入れたのだ。

■小さなミスで逆転のチャンスを逃したノリス

ランド・ノリス(マクラーレン):スプリント予選3番手/スプリント3位/予選1番手/決勝2位

オスカー・ピアストリとランド・ノリス(マクラーレン)
2025年F1第13戦ベルギーGP 優勝したオスカー・ピアストリと2位ランド・ノリス(マクラーレン)

 ベルギーでピアストリに次ぐ2位でフィニッシュしたことで、ランド・ノリスは重要な一戦に敗れはしたものの、チャンピオンシップ争いにおいて依然として大きな可能性を残している。


 メインレースへの予選でポールポジションを獲得したことが、ノリスにとってこの週末のハイライトであったが、彼は両レースのスタートでポジションを失った。スプリントではルクレールの後ろに下がり、そして日曜の決勝ではピアストリに負けたのだ。


 それでもノリスは、路面がウエットだった時間帯には、チームメイトにプレッシャーをかけ続けた。そしてその後、彼はふたつの選択肢に直面した。ドライタイヤに交換する際に、ピアストリの後ろでダブルスタックにより4〜5秒を失うか、ピットストップを1周遅らせて、ハードタイヤに履き替え、最終ラップでチームメイトを捉えるチャンスに賭けるかを考えたのだ。


 誰も好んで使いたがらなかったハードタイヤで見せた彼のペースは、後者の選択が現実的なものであったことを示していた。だが、3つの小さなミスと、ピアストリによる完璧なタイヤマネジメントにより、ノリスは2位に甘んじなければならなかった。

■マシンの能力を上回るような走りを見せたガスリー

ピエール・ガスリー(アルピーヌ):スプリント予選8番手/スプリント リタイア/予選13番手/決勝10位

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とその後ろを走る角田裕毅(レッドブル)
2025年F1第13戦ベルギーGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とその後ろを走る角田裕毅(レッドブル)
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2025年F1第13戦ベルギーGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 アルピーヌはスパ・フランコルシャンにおいて2番目に遅いマシンだったが、ピエール・ガスリーは日曜日に再びその才能を発揮し、1ポイントをもぎ取ることに成功した。


 ガスリーはスプリント予選でSQ3進出を果たし、周囲を驚かせた。しかしスプリント前にオイルシステムのトラブルが発生し、非情にもチャンスを奪われた。


 それでもガスリーは再び、予選でA521の性能を上回るような走りを見せてQ2進出を果たし、日曜の決勝ではライバルたちに先駆けてスリックタイヤに交換することを判断。これが結果を大きく左右することになった。


 タイヤ交換後、ガスリーは11番手まで順位を上げ、背後には長い車列が形成された。その後、ニコ・ヒュルケンベルグが2度目のピットストップを行ったことで、ガスリーは10番手に繰り上がり、彼と後続勢は激しいポイント争いを繰り広げることとなった。


 長い間、すぐ後ろを走り続けた角田裕毅にとっては、苛立ちが募る展開だったが、ガスリーは一切ミスをせず、ポジションを守り切り、チームメンバーの士気を高める、価値ある1ポイントをつかんだ。



(Text : Luis Vasconcelos)


レース

8/1(金) フリー走行1回目 20:30〜21:30
フリー走行2回目 24:00〜25:00
8/2(土) フリー走行3回目 19:30〜20:30
予選 23:00〜
8/3(日) 決勝 22:00〜


ドライバーズランキング

※ベルギーGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ266
2位ランド・ノリス250
3位マックス・フェルスタッペン185
4位ジョージ・ラッセル157
5位シャルル・ルクレール139
6位ルイス・ハミルトン109
7位アンドレア・キミ・アントネッリ63
8位アレクサンダー・アルボン54
9位ニコ・ヒュルケンベルグ37
10位エステバン・オコン27

チームランキング

※ベルギーGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム516
2位スクーデリア・フェラーリHP248
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム220
4位オラクル・レッドブル・レーシング192
5位ウイリアムズ・レーシング70
6位ステークF1チーム・キック・ザウバー43
7位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム41
8位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム36
9位マネーグラム・ハースF1チーム35
10位BWTアルピーヌF1チーム20

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第14戦ハンガリーGP 8/3
第15戦オランダGP 8/31
第16戦イタリアGP 9/7
第17戦アゼルバイジャンGP 9/21
第18戦シンガポールGP 10/5
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