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ノリスの敗因となったターン1での手痛いミス。起死回生のハードタイヤも逆転に届かず【F1第13戦決勝の要点】
2025年7月28日
天候回復を待って、1時間以上もスタートが遅れた2025年F1第13戦ベルギーGP決勝。スタート時には雨こそ止んだとはいえ、まだ路面は十分に濡れていた。セーフティカー先導でのフォーメーションラップ中、ランド・ノリス(マクラーレン)はグリッド上の水溜まりを気にしていた。
「グリッド右側の方がかなり濡れてる」と、無線を飛ばしたノリス。スパ・フランコルシャンのグリッド右側、その最前はノリスが止まるポールポジションのグリッド。もし、スタンディングスタートになったら、ポールシッターの自分が不利になると思ったのだろう。
結果的にローリングスタートが選択され、ノリスの危惧は払拭された。逆に2番グリッドのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は「抜くチャンスがなくなってガッカリした」と、レース後のヒーローインタビューで語っている。
しかし、グリーンとなった直後のターン1『ラ・スルス』の立ち上がりでノリスが僅かに挙動を乱した隙を、ピアストリは逃さなかった。立ち上がりからターン2にかけての下りで一気に差を詰めると、ほとんど視界の効かないケメルストレートでスリップストリームに入り、ターン5『レ・コンブ』のブレーキングでノリスを抜き去っていった。
振り返れば昨シーズンのノリスは、予選で8回ものポールポジションを獲得しながら、そのまま優勝したレースは3回のみ。残りの5戦は、スタートの失敗などで1周目に順位を落とし、そのまま勝てずに終わっていた。
それが今季は、開幕戦オーストラリア、第8戦モナコ、第11戦オーストリアと、ポールポジションを獲得したレースをすべて勝っていた。去年最終戦アブダビから数えれば、ポールスタートのレースは4戦連続して負けなしだった。
しかし今回、5連続ポール・トゥ・ウィンはならず。2番手に後退してからは、起死回生のハードタイヤでの1ストップ作戦に賭けたが、逆転はかなわなかった。
ノリス以外の19人が選択したミディアムタイヤは確かにハードタイヤよりデグラデーション(性能劣化)が酷く、ピアストリも「このタイヤで最後まで行くのは厳しい」と、レース中盤にチーム側に訴えるほどだった。
だが燃料を消費し、車重が軽くなるにつれ、タイヤの劣化には少しずつ歯止めがかかっていった。逆にハードタイヤで最速タイムを連発していたノリスは、30周目以降ペースの伸びが鈍化し、ピアストリとの差を縮めるのに苦労するようになっていた。
ただしピアストリ自身は「最後の6、7周は、かなり苦労した」と、レース後に語っている。実際、37周目に6.2秒あった両者の差は、最終44周目は3.4秒まで縮まっていた。とはいえ極限まで開発の進んだグランドエフェクトカーでは、スパは追い抜きが非常に難しいコースになってしまった。マクラーレン2台の拮抗したペースでは、たとえノリスが1秒以内まで迫れたとしても、逆転は難しかっただろう。
これでピアストリはドライバーズランキング首位を守り、前戦イギリスGP終了時点での8ポイントだったノリスとのギャップを、16ポイントまで広げた。ノリスにとっては、まさに痛恨のターン1だった。


(Text:Kunio Shibata)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 266 |
2位 | ランド・ノリス | 250 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 185 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 157 |
5位 | シャルル・ルクレール | 139 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 109 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 63 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 54 |
9位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |
10位 | エステバン・オコン | 27 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 516 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 248 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 220 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 192 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 70 |
6位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 43 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 41 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 36 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 35 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 20 |

