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インタビュー:メルセデスAMGモータースポーツ代表クリストフ・サゲミュラーに聞くAMG GT2、新型AMG GT3、そして将来
2025年7月22日
7月12〜13日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたGTワールドチャレンジ・アジア第4ラウンド/SROジャパンカップ第2ラウンド。このレースウイークには併催イベントとして、フェラーリチャレンジ・ジャパン、そしてメルセデスAMGによる『ERC(エリート・レーシング・サークル)』と呼ばれるイベントが行われた。
このイベントに合わせ、来日したのがメルセデスAMG・モータースポーツの代表を務めるクリストフ・サゲミュラーだ。GTレース、そしてF1に至るまでさまざまな内容を聞くことができた。
●GT2で走る富士スピードウェイは「とてつもなく速かった!」
──まず、今回の来日の目的を教えて下さい。また日本に来られるのは何回目でしょうか。日本の印象を教えて下さい。
クリストフ・サゲミュラー:日本は本当に素晴らしいよ。正直に言うとかなり定期的に訪れているんだ。ずっと一度日本に行ってみたいと思っていたんだけど、初めて来たのは2年前だった。妻と休みを取って3週間滞在したけど、本当に楽しかったよ。3週間で日本をだいたい回ろうと思っていたんだけど、思っていたよりも日本は広かったね(笑)。東京周辺で1週間滞在して、もう1週間は大阪周辺、奈良と京都にも行ったんだ。最高の体験だったよ。
もちろん、日本はメルセデスAMGにとって非常に重要なマーケットだ。GTワールドチャレンジ・アジアも開催されているし、今年はいよいよインターコンチネンタルGTチャレンジも鈴鹿に戻ってくる。この報せはみんなにとってハッピーなことだ。だから2ヶ月後にはまた日本に戻ってくるよ(笑)。
また今回、初めてERCのイベントを開催できたことをうれしく思うよ。富士スピードウェイは美しいトラックで、親切な人々と触れ合え、美味しい食事を楽しめる。いつも日本に来るのは素晴らしい体験だ。
そうそう。冬にも日本に来たいと思っているんだ。僕はスノーボードが大好きだし、妻が良いスキーヤーだからね。真のパウダースノーを楽しみたいと思っているんだよ!
──メルセデスAMG GT2は今回日本で初めての走行だと思いますが、どんなクルマなのでしょうか。
サゲミュラー:GT2はモータースポーツ界では比較的新しいカテゴリーで、過去にもGT2というレーシングカーはあったけど、専用のシリーズはなかった。そんな中、SROがこのGT2の取り組みをスタートさせて、我々もその議論に参加したんだ。
なぜかというと、GT3は競争が激化して、コストも高騰していると考えたからなんだ。純粋なジェントルマンドライバー、例えば『GT3のレベルでは戦えないけど、パワフルなレーシングカーが欲しい』と思っているドライビングを楽しみたい人のためにね。実際、初年度はかなり売れ行きが良かった。もっと多くのレースシリーズが成長して、多くのメーカーがこの考えに賛同してくれることを期待している。
このメルセデスAMG GT2はノーマルのものはホモロゲーションされたレースカーで、今回持ち込んでいるものはルセデスAMG GT2プロというもので、トラックデーを楽しむドライバー向けのものだ。ホモロゲーションはなくて、よりパワーを高められており、プッシュ・トゥ・パスなども備えられている。トラックデーなどに最適なクルマで、より大きなトルク、大きなパワーで制約なく、さらにドライビングを楽しめるはずだ。
──今回はあなた自身もドライブされましたね。どんな感触をもたれましたか?
サゲミュラー:とても楽しかったよ。さっきも言ったけれど富士スピードウェイはとても美しいトラックで、どんなレーシングカーでも楽しめるコースだ。それにここは長いストレートがあって、高速の右コーナー(100R)がある。セクター3はとてもテクニカルでトリッキーだ。
でもそれでいて、とても安全なのがこのコースの特徴だね。だから自分の限界までプッシュすることができると思う。特にジェントルマンドライバーにとっては、行き着く先がコンクリートウォールではないのはとても良いことだ。
このメルセデスAMG GT2プロは富士スピードウェイのようなコースはとても素晴らしく、ストレートは本当に速かったよ。昨日は僕もストレートで301km/hを出したんだけど、とてつもなく速かったし、すごく楽しかったね。

●新型メルセデスAMG GT3は「もうすぐ何かをお見せできる」
──日本ではメルセデスAMG GT3、GT4はとても扱いやすく、サポートも充実しているクルマとして、多くのカスタマーから支持されていて、SUPER GT、スーパー耐久、そしてジャパンカップでも活躍しています。日本のマーケットをどうご覧になっていますか。
サゲミュラー:とても素晴らしいことだと思う。日本のマーケットはまだ拡大していて、我々にとってもすごく重要なマーケットだ。これまでの歴史を見ても、多くのメルセデスAMGのレーシングカーが日本のレースシーンに深く関わり、歴史を作ってくれているのをうれしく思う。それに知名度もある。
また自分としては、ジェントルマンドライバーたちにとってとても安全なレーシングカーだと思ってもらえていることを誇りに思っているんだ。安全は重要なポイントで、ジェントルマンドライバーの皆さんにとって、奥さまや、夫が危険なスポーツに挑戦していることに満足していない方もいるかもしれない。だからクルマには最高の安全性が備わっていなければならない。
またプロのレーシングドライバーは、常に100%のうちの最後の10%までをしぼり出す能力をもっているけれど、ジェントルマンドライバーたちはそうではない。クルマがシャープすぎては良くないけれど、逆にプロのドライバーが乗るときの性能も重要だ。我々は当初の開発からそういったとても優れたバランスとドライバビリティを実現できたと思っている。またこのバランスこそが我々の大きな強みで、耐久性にも繋がっていると思う。
そして、まさにこのコンセプトこそ後継のGT3カーにもこの要素が求められているんだ。
──いま『後継のGT3』という話も出ましたが、多くのファンが気になっているのは、新型のAMG GT(C192)のレーシングバージョンです。お話できる範囲で進捗を教えていただけますでしょうか。
サゲミュラー:順調に進んでいるし、全力で開発しているところだ。最初のテストはもうすぐ始まる予定だ。うん。もうすぐ何かをお見せできると思うよ(笑)。
──先日はル・マン24時間にもメルセデスが復帰しました。個人的には1989年に初めてル・マン24時間をテレビで観た立場としては非常に印象深いカラーリングでした。どうご覧になりましたか?
サゲミュラー:1989年のザウバー・メルセデスC9だね。今回のカラーリングは我々にとっても意義深かったし、大きな出来事だった。ただ、ACO(フランス西部自動車クラブ)からル・マンに戻ることができる可能性を示唆されたのは、実は昨年末だったんだ。だからLM GT3規定に合わせる準備のためにとても短い時間しかなかったんだ。
我々の燃料給油システムなどはいくつか開発しなければならないところもあったし、トルクセンサーの装着や、ドライブシャフトなどもいくつか変更する必要があった。またチームも初めてのクルマでのレースだったので、いろいろなことがあったんだ。だからWECの今季開幕戦に出場できたことはとても嬉しく思ったよ。
もちろん26年ぶりにル・マンにスリーポインテッドスターが戻ったことは、本当に特別なことだったんだ。たとえハイパーカークラスでなかったとしてもね。だからこそ、象徴的なカラーリングにしたいと思ったんだ。シルバーにアクセントを添えただけのシンプルなものだけど、忘れられない思い出にしたかったんだ。もちろん、メルセデスのル・マンにおける歴史は正直言って決して良いものではない部分もある。だから長いこと走らない時期があるんだ。でも、今季シルバーアローが戻ることができて嬉しかったよ。


●トヨタの新GT3カー、そしてF1の今後のドライバーについて
──では少し変わった質問をします。
サゲミュラー:なんでも良いよ。準備はできてるよ(笑)!
──先日、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでトヨタが『GTコンセプト』と『GTレーシング・コンセプト』を発表しました。このクルマはとてもメルセデスAMG GTに似ているという声があります。どうご覧になりましたか?
サゲミュラー:もちろんそういった声は知っているし、トヨタGTコンセプトはSNSで写真や映像を観たよ! さまざまなメディアがそう伝えているし、なんならストリートバージョンも『GT』という名前になっているしね。でもこういうクルマの開発には、いつも自分たちなりのベンチマークを設けなければならないし、今回は我々のクルマがそうなったと思うんだけど、気に入ってもらえれば嬉しいことだよ。
ROOKIE Racingの豊田章男オーナーも我々のクルマのファンと聞いているし、我々のクルマで大きな成功を収めている(スーパー耐久ST-Xクラスで2年連続チャンピオン獲得)。我々のクルマへの感情を隠していないということだよね。だからAMG GTを参考にしてくれているのならばとても嬉しいことだ。
もちろん彼らはすごくいいクルマを作ってくるからね。今回のトヨタGTコンセプトも素晴らしいクルマを作ってくるだろう。我々も負けずに、もっといいクルマを作らなければならないと思うよ。
──ところで、あなたはメルセデスAMGのモータースポーツの責任者という役割を務めていますが、F1にはどのように関与されているのでしょうか?
サゲミュラー:我々のF1チームは、ブラックリーに本拠を置く会社が運営していて責任をもち、トト(ウォルフ)がCEOを務めている。私はメルセデスAMGの本体とブラックリーをリンクする役割をもっているんだ。会社としてのガバナンスや、マーケティング活動でのコラボレーションなど、F1チームとを繋げて我々の活動を行う役割がある。
──いま世界的にはマックス・フェルスタッペンの将来が話題になっていますが……。
サゲミュラー:(笑)。彼は良いドライバーだね。そしてメルセデスAMGは常に良いドライバーを探していて、いま我々メルセデスAMGにも素晴らしいドライバーがいるということだ。まあどうなるか様子を見てみよう(笑)。


(Ryuji Hirano / autosport web)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 234 |
2位 | ランド・ノリス | 226 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 165 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 147 |
5位 | シャルル・ルクレール | 119 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 103 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 63 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 46 |
9位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |
10位 | エステバン・オコン | 23 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 460 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 222 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 210 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 172 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 59 |
6位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 41 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 36 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 36 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 29 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 19 |

