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ブラジル最大の放送局が放映権を買い戻す。F1は視聴者数増加を狙うも、ファンが全セッションを視聴することは困難に

2025年7月17日

 F1は、ブラジル最大のテレビネットワークである『TV Globo』が、同国でのグランプリレースの放映権を買い戻すことに同意したと発表した。これにより、『Band TV』がF1のCEOであるステファノ・ドメニカリの会社と契約したために2020年に終了した、40年以上続いたパートナーシップが再開することになる。


 この新たな契約の構成は、F1が放送パートナーを選ぶ際の優先順位の変化を示唆している。これまでの10年間は、視聴率の見込みに関係なく、最高額を提示した相手に放映権が売却されてきた。

 ブラジルの放送局が変わった当時、TV Globoはブラジル人ドライバーがいなかったためF1の放送に完全に関心を失っていた。同社の取り組みは、東京オリンピックとサッカーのワールドカップに完全に集中していたため、Band TVは料金を支払わずにF1と利益を分配するという非常に有利な契約を結んだ。しかし契約更新の時期になると、企業側は相当高額となる料金の支払いを受け入れざるを得なかった。F1の視聴者数は、Band TVがグランプリレースでこれまでに経験したなかでも最多となっていたものの、TV Globoが予選とレースのみを放送し、表彰式前に他の番組に切り替えていた当時にF1が獲得していた視聴者数の半分以下だった。

2024年F1第21戦サンパウロGP
2024年F1第21戦サンパウロGP エステバン・オコン(アルピーヌ)へオーバーテイクを仕掛けるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

 昨年の今頃、TV GloboはBand TVの支払いが遅れているという誤った情報を受け、今年のF1との契約は成立したと想定していたが、ブラジルGP中の土壇場での支払いによって状況は一変し、グランプリレースはもう1年間この小規模テレビ局で放送されることが確実となった。プライドを傷つけられたBand TVは、2026年から2028年までの放映権を保持するため、年間1000万ドル(約14億7800万円)のオファーを提示した。ライバル企業の『Record』社は1300万ドル(約19億2000万円)を提示したが、TV Globoは800万ドル(約11億8200万円)の支払いしか承諾しなかった。


 驚いたことに、F1は大手による最も低いオファーを選択した。この契約により、ブラジルのファンはBand TVのようにすべての予選とレースを生で観戦できる可能性がなくなる。TV Globoでは15のグランプリが無料テレビで放送され、残りの9レースは同社のオンラインチャンネル『Globoplay』でのみ視聴可能となる。もちろん、このプログラムをダウンロードできるくらい十分に新しいコンピューターを持っていない大多数のブラジル人は、これを利用できない。さらに悪いことに、2026年からはフリー走行、予選、スプリントレースは、TV Globoの有料テレビチャンネルである『Sport TV』でのみ視聴可能となり、ブラジルのファンは今よりもかなり悪い状況に置かれることになる。


 この変化は、F1がテレビ視聴者数をふたたび増やす必要性から生まれたものと思われる。有料テレビ契約が一般的になり、24回のグランプリすべてを無料で放送している国がほぼなくなったことで、約10年間にわたり視聴率が低下したためだ。TV Globoが放送する短縮版の番組でさえ、Band TVの視聴者数の2倍を集めることになる。ドメニカリが焦点を移した際に、このことが契約の決め手になったのかもしれない。


 現地の情報筋によると、ドイツやアメリカでも同じことが起きる見込みだという。『RTL』は『Sky Germany』を買収する寸前で、その結果F1の放映権を継承し、それを自社の無料放送チャンネルに開放するとうわさされている。一方のアメリカでは、『Apple TV』がF1の放映権獲得のため高額の入札をしているが、『ESPN』が無料でかなりの数のグランプリを放送する限り、同社と権利を分割する必要がある。もしこの変化がF1の新たな方針を意味し、世界中のファンが感謝するものであるならば、日本のような他の国のファンにも希望があるかもしれない。

ジェリー・ブラッカイマー、ブラッド・ピット、ルイス・ハミルトン、ティム・クック、ダムソン・イドリス
『F1/エフワン』のワールドプレミアに参加したジェリー・ブラッカイマー(プロデューサー)、ブラッド・ピット、ルイス・ハミルトン、ティム・クック(Apple社CEO)、ダムソン・イドリス


(Text:GrandPrix.com / Translation : AKARAG)


レース

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