「まだ全然実感が湧かないよ」タイヤ交換でギャップ拡大。3位を守り切ったヒュルケンベルグ【F1第12戦無線レビュー(2)】
2025年7月15日
2025年F1第12戦イギリスGP。最後尾から大きく順位を上げることに成功したニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)は、レース後半に入るとついに3番手まで浮上した。そこからは、地元イギリス出身で、シルバーストンで9勝を上げているルイス・ハミルトン(フェラーリ)との表彰台争いになった。イギリスGP後半を無線とともに振り返る。
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レース中盤、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)の接触事故で、2度目のセーフティカー(SC)導入となった。そしてその解除直前、首位のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が急減速したように見えた。背後のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は咄嗟に脇によけ、ことなきを得た。
22周目
フェルスタッペン:また突然スローダウンしやがった。
トム・スタラード(→ピアストリ):オスカー。SC中の減速で、10秒ペナルティを科された。
これでフェルスタッペンは首位に上がれたはずが、再開直後にまさかのスピン。10番手まで後退してしまう。
さらに後方では、角田裕毅(レッドブル)とオリバー・ベアマン(ハース)の接触事故も起きた。
ベアマン:ぶつけられた。
ロナン・オヘア:ああ。見ていたよ。落ち着いて走り続けろ。
ルイス・ハミルトン(フェラーリ)がコースオフ。ジョージ・ラッセル(メルセデス)にかわされて、7番手に後退した。
24周目
ハミルトン:めちゃくちゃ運転しにくい。すごいスナッピーだ。
ハミルトン:近づくのがものすごく難しい。
それでも26周目に、ラッセルを抜き返すことに成功した。さらにピエール・ガスリー(アルピーヌ)も攻略し、5番手に上がった。
ハミルトン:前の連中のペースは?
リカルド・アダミ:ペースは悪くない。3番手ストロールのラップタイムは(1分)44秒0。4番手ヒュルケンベルグは(1分)43秒4だ。
フェルスタッペンは10番手からなかなか順位を上げられない。
28周目
フェルスタッペン:全然前についていけない。ものすごく遅い!
ダウンフォースを削って最高速に振ったセッティングが、雨模様のコンディションでは完全に裏目に出た形だった。
31周目
スティーブン・ぺトリック:もうすぐクロスオーバー(注:ウエットからスリックへの変わり目)になる。予定通りハードに交換でいいか?
ニコ・ヒュルケンベルグ:いや、ミディアムで行こう。
ぺトリック:了解。
34周目。ランス・ストロール(アストンマーティン)を抜いて、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)がついに3番手に上がった。

ぺトリック(→ヒュルケンベルグ):素晴らしいぞ。あと18周だ。
39周目。シャルル・ルクレール(フェラーリ)がカルロス・サインツ(ウイリアムズ)を押しのけるようにして抜いていった。
サインツ:チャールズが無理やり抜いていった。事故を避けるので、精一杯だったよ。縁石めがけて、まっすぐ突っ込んできたんだ。
ガエタン・イエゴ:了解。レポートする。
しかしこれはお咎めなしとなった。
40周目
ハミルトン:ソフトを履くのがいいと思う。
アダミ:了解。すぐに交換しよう。プッシュだ。
ハミルトン:完璧だ。

41周目。ハミルトンはライバルたちよりわずかに早いタイミングでピットイン。4番手をキープしてコース復帰を果たした。一方、3番手のヒュルケンベルグは、1周遅い42周目にピットに向かおうとしていた。
ヒュルケンベルグ:彼らのアウトラップは、どんな感じだ?
ぺトリック:ハミルトンとストロールはソフトを履いた。セクター1は、ちょっと遅いね。ウォームアップに手こずっている感じだ。
ヒュルケンベルグ:了解。
その情報を元に、ヒュルケンベルグはミディアムに交換した。
ぺトリック(→ヒュルケンベルグ):(4番手の)ハミルトンは12秒後ろだ。
43周目、ピアストリがピットインし、10秒ペナルティを消化した。その1周後にランド・ノリス(マクラーレン)がピットに入り、首位に立った。
45周目
ピアストリ:あのペナルティは、フェアだとは思わない。君もそう思うなら、順位を入れ替えるべきだ。
いつも冷静なピアストリが、「順位を入れ替えてくれ」と要求。あのペナルティが、よほど納得できなかったのだろう。ノリス陣営がそんな要求を入れるはずもなく、そのままチェッカー。母国グランプリを初めて制した。
ノリス:ワオ! やったぜ! ホームウインだ!
スタラード(→ピアストリ):オスカー、君の気持ちはよくわかる。クルマを降りてから話し合おう。
ピアストリ:ここで何か言わないほうがいいよね。みんなの努力に感謝するよ。
そしてヒュルケンベルグが、3位でチェッカーを受けた。
ぺトリック:やったぞ、ニコ。ついにやったな。3位表彰台だ。
ヒュルケンベルグ:ありがとう。まだ全然、実感が湧かないよ!
F1デビューから239戦目の快挙だった。
(Text : Kunio Shibata)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 234 |
2位 | ランド・ノリス | 226 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 165 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 147 |
5位 | シャルル・ルクレール | 119 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 103 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 63 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 46 |
9位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |
10位 | エステバン・オコン | 23 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 460 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 222 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 210 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 172 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 59 |
6位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 41 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 36 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 36 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 29 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 19 |

