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【F1第12戦ベスト5ドライバー】怒って当然のピアストリ/ウエットのスペシャリストが初表彰台
2025年7月12日
長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第12戦イギリスGPの戦いを振り返った。
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■ペナルティで正当な勝利を奪われたピアストリ
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選2番手/決勝2位
非常に厳しいペナルティによって、オスカー・ピアストリはシルバーストンで本来、手に入れるべき勝利を奪われた。予選と決勝の両方において、ピアストリはランド・ノリスを上回る速さを見せ、レース序盤の難しいコンディションの中でのペースは、彼がドライコンディションだけでなくウエットでも同様に優れていることを示していた。
DRSが使用可能になるや否や、彼はすぐにマックス・フェルスタッペンを抜いて首位に立ち、13周目には13.4秒の差を築いていたが、セーフティカーによってそのリードは帳消しにされた。
リスタート時、彼は先頭を走るドライバーなら誰でもするような行動をとった。セーフティカーの導入期間がスタート/フィニッシュラインの直前で突然終わったことを考えれば、彼の行動は当然するようなものである。だがその彼に重いペナルティが科され、それによって当然の勝利が奪われることになった。ピアストリが示した怒りは正当なものだ。


■初のF1表彰台をついに達成したヒュルケンベルグ
ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー):予選19番手/決勝3位
もちろんニコ・ヒュルケンベルグはもっと何年も前に実現したかっただろうが、『待つ者には良いことが訪れる』と言われるとおり、F1での初めての表彰台を239回目の挑戦でついに勝ち取った。
オーストリアでのレースと同様に、ヒュルケンベルグは予選で良いラップをまとめることができず、グリッド最後尾からのスタートとなった(予選最下位のフランコ・コラピントはピットレーンスタートを選択したため)。
この日の天候は、ウエットコンディションのスペシャリストであるヒュルケンベルグにとって完璧なものであり、彼が1周目終了時点で11番手まで順位を上げたのは驚くべきことではなかった。その後、彼は正しい判断を下して適切なタイミングで新しいインターミディエイトタイヤに交換し、見事に5番手まで浮上した。
フェルスタッペンのスピンによって4番手に上がり、さらにランス・ストロールよりも優れたタイヤマネジメントによって、スリックタイヤに交換する前にストロールを追い抜いて3番手に浮上した。
ルイス・ハミルトンを抑え続けるのは簡単ではなかったが、最終的にハミルトンは遠ざかったため、ヒュルケンベルグはレース終了の数周前から、自身初のF1表彰台の喜びを味わい始めることができた。

■実力と少しの運で母国初優勝を実現したノリス
ランド・ノリス(マクラーレン):予選3番手/決勝1位
子供の頃からの夢だったホームグランプリでの優勝を、ランド・ノリスはついに実現させた。彼は、オーストリアでの勝利によって、よい流れを引き寄せて、シルバーストンに乗り込み、週末を通じて速さを見せていた。
ノリスは予選でピアストリにわずか0.015秒差で敗れたが、レース1周目にハミルトンの攻撃をしのいだ後、レースを長期的に見て戦略を選択した。11周目に激しい雨が降ったことで、その戦略は裏目に出たものの、リスタート時、フェルスタッペンがスピンしたことで、ノリスは2番手に浮上した。
ノリスに勝利のチャンスをもたらしたのは、ピアストリに科されたペナルティだったが、ノリス自身は何も間違ったことはしておらず、予選でも決勝でも常にチームメイトのすぐ近くにいた。決して運だけではなく、正当な実力を示していたノリスに、女神が少しだけ微笑み、彼に決して忘れることのない日を実現させた。

■予選最大の衝撃を生み出したガスリー
ピエール・ガスリー(アルピーヌ):予選10番手/決勝6位
ピエール・ガスリーは素晴らしい週末を過ごした。フリー走行1回目での大きなコースオフがガスリーの準備を狂わせ、ようやく本調子に乗れたのは予選になってからだった。
FP1以来、グリッド中で最も遅いマシンに乗りながら、ガスリーはQ1の2回目のアタックですべてをまとめあげ、余裕をもってそのセッションを突破した。
Q2ではさらに一歩上を行き、速いマシンを持つドライバーたちを打ち破ってQ3進出を果たし、10番グリッドを獲得。これは今回の予選における最大の衝撃だった。
ガスリーはウエットコンディションでは非常に速く、ハミルトンに後れを取ったのは、路面状況が走りやすくなった時だけだった。ファイナルラップでストロールをオーバーテイク、最後に6位という、彼の仕事にふさわしい結果をつかみ取った。

■アロンソに勝って8位をつかんだアルボン
アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選14番手/決勝8位
アレクサンダー・アルボンは、複数回のグランプリ優勝経験を持つチームメイトを相手に、静かに、しかし着実に、良い仕事を続けている。イギリスGP決勝でのアルボンは、主役のひとりだった。
予選ではうまくいかず、Q2最後のアタックでマシンバランスが大きく変化したことに困惑していた。しかし決勝では1周目から素早くポジションを上げ、午後を通してポイント争いにとどまり続けた。
タイヤ戦略でもコース上の戦いでも無理はせず、ターン4でシャルル・ルクレールに強引に飛び込まれた場面でも冷静に対応し、最終ラップにはフェルナンド・アロンソを抜いて8位を獲得した。アロンソが誰かにそういう目に遭わされたのは、長いキャリアのなかでも数少ない。

(Text : Luis Vasconcelos)
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7/4(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
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7/5(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
7/6(日) | 決勝 | 結果 / レポート |


1位 | オスカー・ピアストリ | 234 |
2位 | ランド・ノリス | 226 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 165 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 147 |
5位 | シャルル・ルクレール | 119 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 103 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 63 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 46 |
9位 | ニコ・ヒュルケンベルグ | 37 |
10位 | エステバン・オコン | 23 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 460 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 222 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 210 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 172 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 59 |
6位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 41 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 36 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 36 |
9位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 29 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 19 |

