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「ターン4のことは申し訳ない」ワン・ツーフィニッシュ達成後も悔しさを滲ませたピアストリ【F1第11戦無線レビュー(2)】

2025年7月2日

 2025年F1第11戦オーストリアGP。序盤から他チームを引き離して優勝争いを繰り広げたマクラーレンは、ランド・ノリスが逃げ切って優勝、オスカー・ピアストリが2位とワン・ツーフィニッシュを達成した。しかしピアストリは、ノリスとのバトルでタイヤにダメージを負ったことに悔しさを滲ませた。オーストリアGP後半を無線とともに振り返る。

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 11番手スタートのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、1ストップ作戦を敢行。21周目には6番手まで順位を上げ、5番手リアム・ローソン(レーシングブルズ)の1秒以内に迫っていた。しかしペース自体は、伸び悩みつつあった。


クリス・クローニン:ターン4でリフト&コーストをやってくれ。その方がタイヤにもいい。
アロンソ:ペースは速くない。DRSを外れたら、本当のペースがわかると思うけど。


 後方ではピエール・ガスリー(アルピーヌ)が、マシンに異常を感じていた。


ガスリー:最終コーナーでクルマ(の挙動)が最悪だ。チェックしてくれるか?
カレル・ルース:了解。ただペースは十分にいい。このまま続けてくれ。グッジョブだ。


 マシン挙動は、周回を重ねるにつれ悪化していった。


29周目
ガスリー:全然グリップがない! どのコーナーでもスピン寸前だ。


 30周目、フランコ・コラピントを抜きにかかった角田裕毅が(レッドブル)接触してしまう。

角田:フロントウイングにダメージだ。
リチャード・ウッド:了解。


コラピント:角田が引っかけてきた。
ジョシュ・ペケット:ああ、しっかり見たよ。


 角田は10秒ペナルティを科され、入賞の可能性はほぼ潰えてしまった。


36周目
ガスリー:何か壊れてないか、チェックしてくれ。このまま走り続けるのは無理だ。
ルース:頑張ってくれ。後ろにはローソンとフェルナンドがいる。ふたりとも1ストップで、そのままハードタイヤで走り切るはずだ。
ガスリー:はっきり言って、どうでもいいよ。僕のためにベストを尽くしてくれ。
ルース:もちろんだ。

ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
2025年F1第11戦オーストリアGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

 しかしマシンのペースは戻らず、ガスリーは13位完走が精一杯だった。


 一時は6秒近くまで開いていた首位ランド・ノリス(マクラーレン)とオスカー・ピアストリ(マクラーレン)の差は、徐々に縮まりつつあった。


38周目
トム・スタラード(→ピアストリ):周回遅れのクルマはほぼ1分10秒台で走っている。そうしたらチャンスが出てくるぞ。


 周回遅れの処理の巧みさもあって、40周目にはピアストリは3秒差まで迫っていた。


42周目
ノリス:ピアストリはどこでも速いの?
ウィル・ジョゼフ:いや、ハイスピードだ。周回遅れの影響を見てみよう。


 52周目に首位のノリス、そして次の周にはピアストリも2回目のピットインに向かった。


スタラード(→ピアストリ):(周回遅れの)コラピントと角田が近い。


ペケット(→コラピント):青旗だ。2番手のピアストリが抜きにくる。


 しかし角田を抜くのに夢中だったコラピントは、ピアストリの接近に直前まで気づかなかった。幅寄せされたピアストリは、草地にはみ出して辛くも接触を免れた。

ピアストリ:あいつ……
スタラード:ああ、見ていたよ。


 これでノリスとの差はまたも開いてしまった。


ペケット:ターン3のインシデントで、5秒ペナルティが下された。
コラピント:見えていなかったんだ。
ペケット:ドンマイ。冷静に行こう。


 レース後半、8番手を走るアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)は不安定なマシン挙動に手こずっていた。


55周目
ハジャー:ダウンフォースを失っている。
ピエール・アムラン:モニターし続けている。ちょっとした空力ダメージがあるようだ。
ハジャー:どれくらいひどいの?
アムラン:大したことない。冷静に走るんだ。いい位置にいるから。


 縁石に乗った際に、フロアを傷めたのか。ハジャーはズルズルと順位を落とし、最後は12位完走に終わった。

アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)
2025年F1第11戦オーストリアGP アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)

 61周目、ノリスとピアストリの差は2秒以内まで縮まっていた。


ノリス:ペースが必要だ。なんとかしてくれ。
ジョゼフ:あと10周の我慢だ。高速コーナーで差が大きい。単に周回遅れの影響だといいんだが。


63周目
ジョゼフ:フロントウイングに少しダメージがある。それについては、こちらでできることはない。


 縁石に激しく乗った際に、ダメージを受けたのかもしれない。


 後方ではローソンが6番手を好走。しかしすぐ後ろには同じ1ストップ作戦のアロンソが迫り、さらに17周もフレッシュなタイヤのボルトレートが猛追していた。


67周目
ローソン:ボルトレートのペースは?
エルネスト・デジデリオ:かなり速い。アロンソをDRS圏内に入れるんだ。今は1秒2離れてる。アロンソをDRSに入れるんだ。
ローソン:そうしたら(アロンソに)抜かれてしまうよ。


 ローソンは指示に従わず、アロンソを引き離しにかかった。そのためアロンソはすぐにボルトレートに追いつかれてしまう。しかしそこからのアロンソはさすがの老獪さで順位を死守。7位入賞を果たした。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)&ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
2025年F1第11戦オーストリアGP フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)&ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)

 そしてノリスは逃げ切りに成功し、貴重な勝利を果たした。


ジョゼフ:グッジョブだ、ランド。
ノリス:みんな、よくやってくれた。素晴らしいワン・ツーだね。

スタラード:P2だ。チームにとってはワン・ツーフィニッシュだ。
ピアストリ:ターン4のことは申し訳なかった。ペースは素晴らしかったよ。

 フラットスポットを作って2位に甘んじたことが、ピアストリには何より悔しかったようだ。


 そしてボルトレートはF1初入賞を8位で飾った。


ヨルン・ベッカー:素晴らしい走りだったぞ。P8だ。ニコもP9でダブル入賞だ。
ボルトレート:(アロンソを)抜けなくて、申し訳なかった。
ベッカー:気にするな。きっとディナーを奢ってくれるさ。
ボルトレート:だよね。



(Text : Kunio Shibata)


レース

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フリー走行2回目 結果 / レポート
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予選 結果 / レポート
7/6(日) 決勝 23:00〜


ドライバーズランキング

※オーストリアGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ216
2位ランド・ノリス201
3位マックス・フェルスタッペン155
4位ジョージ・ラッセル146
5位シャルル・ルクレール119
6位ルイス・ハミルトン91
7位アンドレア・キミ・アントネッリ63
8位アレクサンダー・アルボン42
9位エステバン・オコン23
10位ニコ・ヒュルケンベルグ22

チームランキング

※オーストリアGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム417
2位スクーデリア・フェラーリHP210
3位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム209
4位オラクル・レッドブル・レーシング162
5位ウイリアムズ・レーシング55
6位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム36
7位マネーグラム・ハースF1チーム29
8位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム28
9位ステークF1チーム・キック・ザウバー26
10位BWTアルピーヌF1チーム11

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
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第15戦オランダGP 8/31
第16戦イタリアGP 9/7
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