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F1王者に潜む“ダークサイド”。なぜフェルスタッペンは出場停止間際までペナルティを重ねたのか/F1コラム
2025年6月27日
ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、F1王者マックス・フェルスタッペンが、なぜ出場停止処分の危険がこれほど高まるまでペナルティを重ねてきたのか、その理由について、諸説を挙げて、分析した。
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マックス・フェルスタッペンが現在世界最高のレーシングドライバーであることには、ほとんど疑いの余地がない。しかし、彼には“ダークサイド”があり、時にF1で許されている限界をはるかに超える行為に出ることがある。

現在、フェルスタッペンは1戦出場停止処分を受ける可能性にさらされている。過去11カ月で、彼の累積ペナルティポイントは11ポイントまで増えてしまった。そのうちの2ポイントは、オーストリアGPの後に失効する予定だが、それでも10月のメキシコシティGPまで9ポイントを保持することになる。
では、なぜ際立った才能と経験を持つドライバーが、これほど多くの違反を犯すのだろうか?
多くの人々がそれぞれの理論を繰り広げている。ここではすぐさま否定できるような説も含めて、それらを紹介し、検証していく。
■レーステクニックが足りない?
フェルスタッペンが最初のワールドチャンピオンタイトルを獲得した際、彼の乗るレッドブル・ホンダは他のマシンとは次元の違う速さを持っていた。彼は通常ライバルたちを大きく引き離し、数少ない後方スタートの場面でも、実質的な競り合いなしに素早く先頭に立つことができた。
2024年と2025年には、マクラーレン、時にフェラーリやメルセデスの方がレッドブルよりも速いマシンを持っており、それがフェルスタッペンにとってポジション争いをより激しいものにしている。以前は、ただ単にライバルたちを追い抜くだけでよかったのに対し、今では、ホイール・トゥ・ホイールの戦いを強いられるようになったのだ。
そこで、フェルスタッペンにはそれをうまく乗り切れるだけのレースクラフトが欠けているという説を唱える者が出てきた。しかしこれはあまり説得力のある理論ではない。イモラの第1シケインでフェルスタッペンがリードを奪った場面を見れば、彼が規則の範囲内でアグレッシブな走りができることは明らかだ。

■レッドブルとの契約から逃れようとしている?
もうひとつ、説得力に欠ける説を紹介しよう。スペインGPでのジョージ・ラッセルとの接触後には、フェルスタッペンは意図的にポイントを落としているという説を持ち出す者がいた。
フェルスタッペンのレッドブルとの契約には、成績にまつわる条項があるとされており、その内容は、7月1日時点でワールドチャンピオンシップのトップ4に入っていなければ、契約を解除できるというものだといわれる。
つまり、彼がその状況を整えようとしているのだと言い出す者が出てきたわけだが、それが事実であるとは非常に考えづらい。仮に彼が本当にレッドブルから離れたいのであれば、チャンピオンシップでの順位にかかわらず解決策は見つかるはずだ。そして、クリスチャン・ホーナー代表は、どうしても残りたくないというドライバーを無理に引き留めるようなことはしないだろう。

■ライバルたちは自分を恐れていると思っている
フェルスタッペンは、自分のアグレッシブなスタイルで、少なくとも一部のライバルを威嚇できるということを完全に理解している。そして、その最たる相手がランド・ノリスだ。ノリスは、フェルスタッペンとの接近戦において自分が退くという判断を何度か下している。
しかしフェルスタッペンも、すべての相手が彼の挑発に怯えているわけではないことを認識始めたはずだ。最近の5ポイント分のペナルティはいずれも、オスカー・ピアストリやラッセルとの接触によるものであり、彼らはノリスのようには怯まない。

■怒りを制御できない
フェルスタッペンが時に醜いドライビングを見せることについて、最も説得力のある説明は、彼が怒りの感情に支配されてしまうことがあるというものだ。これまでに彼がペナルティポイントを11ポイント科されるに至った多くの出来事は、彼が怒りや苛立ちを抱えていたタイミングで発生している。
彼は、ピットストップの失敗や、それまでの戦い、あるいはピットからの誤った指示という出来事から、うまく気持ちを切り替えることができないことがある。そして彼が苛立ちを募らせたときに、最も醜い場面が展開される。
2024年オーストリアGPでは、ノリスとの接触の前に2度の激しい争いがあった。2024年メキシコGPでノリスをコース外に押し出す直前には、物議を醸すオーバーテイクでリードを奪われていた。数週間前のスペインGPでは、シャルル・ルクレールにオーバーテイクされたこと、そしてチームからラッセルにポジションを譲るよう命じられたこと(それは結局は誤りだった)に腹を立てていた。その直後にラッセルとの接触が起きた。

■正しい罰を受けてこなかったことの弊害
スチュワードが長年、フェルスタッペンのドライビングに対して、異常に「寛容」であったことも一因である。その結果、ここ1年でフェルスタッペンは、許容される行為の限界を押し広げるに至ったように思える。
通常、スチュワードたちは有能かつ公平であるが、今年スペインでのフェルスタッペンとラッセルの接触に関する判断においては誤りを犯した。フェルスタッペンの動きは、1997年ヘレスでミハエル・シューマッハーがジャック・ビルヌーブに対して行った動きと同じく、故意のものであった。四半世紀以上前のそのインシデントによって、シューマッハーは1997年シーズン全体から除外された。
現代に話を戻すと、モナコGPでラッセルはシケインをショートカットしたことでドライブスルーペナルティを受けた。それはスペインでフェルスタッペンが受けた10秒加算よりもはるかに重い罰である。犯した行為を比較すると、スペインでフェルスタッペンが受けた10秒のペナルティ(およびペナルティポイント)が軽すぎるのは明らかだ。
フェルスタッペンは、レフェリーたちの優柔不断かつ一貫性のない判断を利用して、「なるようになれ」の精神で行動している。
フェルスタッペンのドライビングは、多くの点でF1史上の伝説的ドライバーふたりに似ている。全盛期のアイルトン・セナとミハエル・シューマッハーもまた、その時代最高のドライバーでありながら、自らの名声に傷をつける行為を何度か行っていた。
“マッド・マックス”もまた、同じ道を歩み始めているように、私には思える。

(Text : Peter Nygaard)
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6/27(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
6/28(土) | フリー走行3回目 | 19:30〜20:30 |
予選 | 23:00〜 | |
6/29(日) | 決勝 | 22:00〜 |


1位 | オスカー・ピアストリ | 198 |
2位 | ランド・ノリス | 176 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 155 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 136 |
5位 | シャルル・ルクレール | 104 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 79 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 63 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 42 |
9位 | エステバン・オコン | 22 |
10位 | アイザック・ハジャー | 21 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 374 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 199 |
3位 | スクーデリア・フェラーリHP | 183 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 162 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 55 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 28 |
7位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 28 |
8位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 22 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 20 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 11 |

