「5000個くらいの破片が飛んできた」接触でウイングを破損、ペナルティも受けたアルボン【F1第9戦無線レビュー(1)】
2025年6月6日
2025年F1第9戦スペインGP。スタート直後の接触により、アレクサンダー・アルボンはフロントウイングにダメージを負ってしまった。アルボンは最初のピットストップでウイングを交換したものの、2度目の接触を喫したせいで今度はウイングのパーツが大破してしまった。スペインGP前半を無線とともに振り返る。
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タイヤに厳しいコース特性、50度近い路面温度。一方でハードタイヤは、レースでは使い物になりそうにない。戦略とタイヤマネージメントの巧拙が鍵を握るレースとなりそうだった。
スタート直後、11番グリッドのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)はガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)と接触。14番手まで後退した。
1周目
アルボン:ダメージをチェックしてくれ。右フロントだ。
ジェームズ・アーウィン:タイヤの内圧もダウンフォースレベルもすべて問題ない。
2周目、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)を激しく攻め立てるが、抜ききれない。
3周目
クリス・クローニン(→アロンソ):このラップでDRSオープンになる。
アロンソはメインストレートでニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)にかわされて11番手に後退するが、その後も激しいバトルを展開した
アロンソ:ターン1で左フロントが向こうの右リヤと接触した。今のところ問題ない感じだが、チェックしてくれ。
ここ数戦のアップデートで戦闘力が増し、アロンソの声も弾んでいる。
一方6番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)は、前のフェラーリ2台を抜きあぐねる展開だ。
ラッセル:あいつら、ブレーキングで動いてる。何が起きてるんだ!!
トト・ウォルフ代表:集中だ、ジョージ。
いきなりチーム代表が出てきて、落ち着けと言い聞かせた。

ランド・ノリス(マクラーレン)はスタートでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にかわされ、3番手に後退していた。
4周目
ノリス:タイヤはまだ大丈夫だ。殺さないように注意して走ってるからね。でもペースは上がっているね。
ウィル・ジョゼフ:ああ、前の連中は君よりプッシュしている。でもフェルスタッペンは、セーブし始めた。
渋滞にハマってなすすべもないアルボンは、打開策を要請した。
5周目
アルボン:みんな、何かしなきゃ。
ジェームズ・アーウィン:ボックスだ。
全19台の先陣を切って、アルボンは6周目にピットインした。
7周目
ジョゼフ(→ノリス):もうプッシュしてもいいぞ。フェルスタッペンを捕まえよう。
あっという間にフェルスタッペンの1秒以内に追いついた。
5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)の後ろに詰まっている状態だ。
8周目
ルクレール:ペースを失っている。なんとかしてくれ。
ボッツィ:順位を入れ替える。
しかしルイス・ハミルトンは、なかなか譲らない。
ルクレール:レースで速く走るために、予選を犠牲にしたのに! いつまで後ろにいなきゃいけないんだ。
ルクレールは前日の予選Q3で1回しかアタックしなかった。ソフトタイヤをレースに向けて温存するためだった。ハミルトンは10周目にようやく順位を譲った。

上位ふたりは、そろそろタイヤのタレを訴え始めていた。
12周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ:フロントウィングのフラップはどうだ。
フェルスタッペン:問題ない。でもグリップはないよ。
ランビアーゼ:了解。
トム・スタラード:タイヤのアップデートをくれ。
オスカー・ピアストリ:リヤがちょっと苦しいかな。
13周目の1コーナーで、ノリスがフェルスタッペンを抜いて行った。すかさずフェルスタッペンはピットに向かい、アンダーカットを狙う。

後方では9番手のアロンソがコースオフを喫し、11番手まで順位を落とした。
クローニン:左フロントはどうロックしたんだ?
アロンソ:タイヤが終わった。それだけだ。

次周にピットインしたアロンソは、最後尾まで後退した。
ルクレール:メインストレートの右側にマーブル(タイヤかす)はない?
ボッツィ:マーブルはない?
ルクレール:いや、僕が訊いてるんだけど。右に寄ってもタイヤは大丈夫か?
ボッツィ:マーブルは避けろ。
このふたり、依然として意思の疎通がうまく行ってないようだ。
一方ハミルトンは、16周目に早めのピットインをさせられたことが不満だった。
ハミルトン:どうしてこんなに早く入れたの?
アダミ:後ろのアンダーカットを防ぐためだ。
ラッセルを警戒しての措置と思われるが、20周目にピットインしたラッセルはフェラーリの2台を専攻できず。結果的にチームの判断が正解だった。
21周目
スタラード:どこまで行ける? 25周か?
ピアストリ:行けると思うけど、けっこう厳しい。
ジョゼフ(→ノリス):ボックス、ボックス。
21、22周目にマクラーレンの2台が相次いでピットに向かった。
23周目、アルボンに仕掛けたリアム・ローソン(レーシングブルズ)が接触、アルボンはコースオフを余儀なくされた。
24周目
アルボン:リアムが押し出した。
ローソン:コースオフして僕の前に出た。
エルネスト・デジデリオ:ああ、見てたぞ。報告した。
ローソンがアルボンを抜き返したが、2台はまたも接触。アルボンは再びフロントウイングにダメージを負った。
デジデリオ(ローソンに):グッジョブ!
アルボン:フロントウイングにダメージだ。
アーウィン:タイヤの内圧は大丈夫だ。
アルボン:フロントウィングはバラバラだ。5000個くらいの破片が飛んできたよ。

アーウィン(→アルボン):リタイアだ。ピットインして、リタイアする。
ここで10秒ペナルティがアルボンに科された。
アーウィン:10秒ペナルティを消化してから、もう1周してリタイアする。
アルボン:何のペナルティ?
アーウィン:10秒ペナルティを消化する。
アルボン:だから何のペナルティだって?
アーウィン:あとで説明する。
貴重なフロントウイングをふたつも破損し、10秒ペナルティを科されてのリタイア。アルボンにとっては、散々なレースとなってしまった。
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F1第9戦無線レビュー(2)に続く
(Text : Kunio Shibata)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 186 |
2位 | ランド・ノリス | 176 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 137 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 111 |
5位 | シャルル・ルクレール | 94 |
6位 | ルイス・ハミルトン | 71 |
7位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 48 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 42 |
9位 | アイザック・ハジャー | 21 |
10位 | エステバン・オコン | 20 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 362 |
2位 | スクーデリア・フェラーリHP | 165 |
3位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 159 |
4位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 144 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 54 |
6位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 28 |
7位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 26 |
8位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 16 |
9位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 16 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 11 |

