レッドブルのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、F1第9戦スペインGPの決勝レースの終盤にマックス・フェルスタッペンがフラストレーションを感じていたことに理解を示した。

　ホーナーは、スペインGPの終盤にジョージ・ラッセル（メルセデス）に接触するというフェルスタッペンの行動を釈明するために、あらゆる手段を尽くした。当初ホーナーは、このインシデントについて議論しようとはせず、レース開始直後からドライバーとチームに起こったすべてのことを長々と説明し、その後でフェルスタッペンがラッセルに意図的に衝突したこととはまったく関係のない疑問を喚起する発言ができることを期待していた。結局ホーナーは重要な質問に答えなければならなかったが、それでも衝突を前後関係のなかで説明しようと努め、次のように振り返った。

「マックスはリスタート時にスナップした。シャルル（・ルクレール／フェラーリ）は彼の横に来て、彼に対して左に寄ったように見えた。それがスチュワードの目前での彼らの状況だ。そしてジョージは、明らかにターン1にいたるところでその状況を活かそうとしたが、取るに足らない程度だった」

　フェルスタッペンに対し、ラッセルにポジションを譲るようレッドブルが指示した理由を説明する際にホーナーは、チームはインシデント後にレースディレクションから何のフィードバックも得られなかったため、非常に慎重な判断をすることになったと不満を述べた。

「最近の経験とインシデントについては、明らかに主観的なものであり、我々はFIAと審判に指導を求めた。しかし、基本的には何も返答がない。報告されてスチュワードに渡されたことはわかるが、我々への連絡はない。つまり、どう見てもペナルティが出ると考えられたので、マックスにポジションを返すように指示が出された」

「彼は明らかに動揺し、苛立っていた。第1に、彼にはスペースが残されていなかったし、第2に、ジョージは完全にコントロールできていなかったと感じていたからだ。当然のことながら、エンジニアと話し合った結果、彼はターン5でスペースを空けることを選択した。そして、2台のマシンが接触した」

「私はマックスの側から彼と話をする機会がなかった。だが明らかに、スチュワードは彼が衝突を引き起こしたと判断し、10秒のタイムペナルティと数点のペナルティポイントを科した。残念ながら、これは非常にフラストレーションがたまる出来事だった。なぜなら、簡単に表彰台に上がれるはずだった午後のレースで、我々に残されたのは1ポイントだけだったからだ。また、レース出場停止まであと1ポイントだ……。このことも内部で議論し、検討する。彼は以前から、手に入るポイントを最大限に獲得するのが得意だ」

　その後ホーナーは、フェルスタッペンのリスタート時の動きについて、次のように述べた。

「マックスはまずストレートでルクレールに後れをとり、さらにターン1でジョージに突如攻撃されたので、明らかに腹を立てていた。そして、現在のレギュレーションでは、フロントアクスルの位置が重要になる。ドライバーたちはルールを知っており、そのルールに従ってプレーしている。そして議論となるのは、ジョージはその時点で制御下にあったのか、ということだ。彼はコーナーを曲がることができただろうか？　今年はペナルティを科される場面が数多く見られている。我々はそれが記録され、スチュワードに渡されたのを見てきた。次に予想できるのはペナルティを受けることだから、『このポジションを諦めなければならない』ということになった。そのような思考プロセスだったが、後から考るとよい判断だった」