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「なんて不運なんだ。何もかもうまくいかない」タイヤ交換後のVSC出動に嘆くアロンソ【F1第7戦無線レビュー(1)】

2025年5月23日

 2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP。前日の予選ではほとんどの走行をミディアムタイヤで行い、Q3に進んだことで話題になったアストンマーティン勢だったが、レースでは順位を落とすことになってしまった。エミリア・ロマーニャGP前半を無線とともに振り返る。

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 路面温度が45度近くまで上がった決勝レース。去年より一段階ずつ柔らかくなったタイヤをいかに持たせるかが、勝負のカギを握ることは間違いなかった。


 スタート直前、予選Q1でクラッシュを喫し、マシンを大破させたフランコ・コラピント(ウイリアムズ)が、修理作業を終えたばかりのメカニックへ謝意を述べた。


コラピント:みんな、昨夜と今日のハードワーク、本当に感謝している。車体をひとつにまとめてくれて、本当にありがとう。

フランコ・コラピント(アルピーヌ)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP フランコ・コラピント(アルピーヌ)

 フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は今季ベストの5番グリッドを獲得。しかし予選アタックでミディアムタイヤを使い果たしたため、新品は1セットもない。


クリス・クローニン(→アロンソ):最後のチェックだ。2分半後にスタートする。君の周りは全員がミディアム装着だ。ハードは5台。そのなかで一番前にいるのは(ルイス・)ハミルトンで12番手だ。


 スタート直後のタンブレロ。ポールシッター、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)のブレーキングは、レース後に本人も認めたように明らかに早すぎた。スタートダッシュを決めてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)をかわし、ピアストリの真後ろにつけていたジョージ・ラッセル(メルセデス)は、追突寸前だった


1周目
ラッセル:ピアストリ、何してるんだ!


 ラッセルはなんとか3番手にとどまったが、ピアストリはフェルスタッペンに首位を奪われた。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP スタート直後、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はポールポジションのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を抜いてトップに立った

 ラッセルの背後からは、ペースに勝るランド・ノリス(マクラーレン)が猛追してきた。防戦一方のラッセルは「これではタイヤが持たない」と、すっかり弱気だ。


10周目
ラッセル:これだけプッシュし続けたら、ターゲットラップまでたどり着けるかどうかわからないよ。
マーカス・ダドリー:ジョージ、後ろはかなり詰まっている。ターゲットラップまで行くことが重要だ。


11周目
ウィル・ジョゼフ(→ノリス):ラッセルはリヤタイヤのタレを訴えている。プッシュし続けるんだ。

ランド・ノリス(マクラーレン)&ジョージ・ラッセル(メルセデス)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP ポジションを争うランド・ノリス(マクラーレン)とジョージ・ラッセル(メルセデス)

 この直後にノリスに抜かれて4番手に後退したラッセルは、12周目にピットに向かった。この短いスティントだと、2ストップ必至だ。


ダドリー(→ラッセル):ピット出口で(シャルル・)ルクレールを抜けるぞ。


 しかしわずかに及ばず。11番手スタートだったシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、早めの10周目にピットインしたことで、ラッセルをアンダーカットすることに成功した。


ジョゼフ(→ノリス):ランド、ルクレールは僕たちもアンダーカットしている。このままステイアウトしよう。


 この時点で3番手ノリスと15番手ルクレールのタイム差は26秒を切っていた。ピットロスは26秒強なので、ここでノリスがピットインしたらルクレールに先行されてしまう。それを防ぐべく、ジョゼフはステイアウトを指示した。


 一方、2番手のピアストリは1ストップ戦略に不安を抱えていた。


12周目
ピアストリ:プランAはかなり大胆な戦略だと思う。


 プランAは1回ストップ作戦なのだろう。チームは2回ストップへの切り替えを決断して、13周目にピットイン。ピアストリは12番手まで後退した。前を行く角田裕毅(レッドブル)との差は4秒以上あったが、みるみる迫っていった。


18周目
リチャード・ウッド(→角田):後ろはピアストリだ。1秒5。マックスはピアストリとレースしているから、抑えるんだ。


 しかしペース差の違いは歴然としており、あっという間に抜かれて行った。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が角田裕毅(レッドブル)をオーバーテイク

21周目
ガエタン・イエゴ:アレックス(アレクサンダー・アルボン)は21秒8だ
カルロス・サインツ:21秒8で走れば、1ストップでいけるよね。


 サインツは早めの11周目にピットイン。チームメイトのアルボンはこの時点でまだスタートタイヤで走り続けており、両者が作戦を分けた形だ。


23周目
ラッセル:リヤのトラックロッドが壊れているか、なんかそんな感じだ。
ダドリー:チェックしているが、データ上は特に見えない。


 結局トラブルはなかったようで、ラッセルは特にペースも落ちることなく走り続けた。


27周目
アルボン:おおい、バカなことはやめよう。
ジェームズ・アーウィン:大丈夫だ。いい仕事をしている。(アイザック・)ハジャーとアロンソを引き離してる。


 3番手を快走するアルボン。しかしそろそろタイヤを換えたいという訴えだったのだろう。しかしペースは落ちていない、もうちょっと頑張れと返された。

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)

 29周目、19番手を走っていたエステバン・オコン(ハース)がコース脇にマシンを止めた。


ローラ・ミュラー(→オコン):問題が出た。クルマを止めて。


 これでバーチャルセーフティカー(VSC)が導入された。


30周目
ルクレール:信じられないよ。いつも肝心な時に、止まるクルマが出てくる。僕たち、どうする?
ブライアン・ボッツィ:ボックスだ。ポジションは4つ失う。
ルクレール:XXXX
ボッツィ:フラップ(調整)必要か?
ルクレール:どうでもいい。……マイナス2だ。


 ハードタイヤに履き替えて19周しか走っていなかっただけに、ルクレールはタイミングの悪さを呪った。それはアロンソも同様だった。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)&オリバー・ベアマン(ハース)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGP ピットレーンで並走するシャルル・ルクレール(フェラーリ)とオリバー・ベアマン(ハース)

アロンソ:僕らのレースは終わりだ。なんて不運なんだ。今年は何もかも上手くいかないね。


 この時点でアロンソは14番手まで順位を落としていた。ハードタイヤに履き替えて、まだ17周しか走っていない。ここでピットインすれば、入賞の可能性はない。一か八か、ステイアウトする決断を下した。これでいったん8番手まで順位を戻したが、アロンソはあくまで悲観的だった。


 31周目、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)が12番手の角田をかわそうとした際に、2台は軽く接触した。


サインツ:こいつ、またぶつかってきた。バーレーンと同じだ。
イエゴ:タイヤの内圧は問題ない。そのまま走り続けて、5秒前のラッセルを追うんだ。

 第4戦バーレーンGPでの接触事故では、サインツはサイドポッドに穴を開けられ、リタイアを余儀無くされた。「また、こいつか」という思いだったのだろう。


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F1第7戦無線レビュー(2)に続く



(Text : Kunio Shibata)


レース

5/23(金) フリー走行1回目 20:30〜21:30
フリー走行2回目 24:00〜25:00
5/24(土) フリー走行3回目 19:30〜20:30
予選 23:00〜
5/25(日) 決勝 22:00〜


ドライバーズランキング

※エミリア・ロマーニャGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ146
2位ランド・ノリス133
3位マックス・フェルスタッペン124
4位ジョージ・ラッセル99
5位シャルル・ルクレール61
6位ルイス・ハミルトン53
7位アンドレア・キミ・アントネッリ48
8位アレクサンダー・アルボン40
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール14

チームランキング

※エミリア・ロマーニャGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム279
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム147
3位オラクル・レッドブル・レーシング131
4位スクーデリア・フェラーリHP114
5位ウイリアムズ・レーシング51
6位マネーグラム・ハースF1チーム20
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム14
8位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム10
9位BWTアルピーヌF1チーム7
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー6

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
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第9戦スペインGP 6/1
第10戦カナダGP 6/15
第11戦オーストリアGP 6/29
第12戦イギリスGP 7/6
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