F速

  • 会員登録
  • ログイン

マイアミに登場した新キャデラックF1チーム(2)2026年デビューに向けた進捗状況と独自の課題

2025年5月14日

 ベテランモータースポーツジャーナリスト、ピーター・ナイガード氏が、F1で起こるさまざまな出来事、サーキットで目にしたエピソード等について、幅広い知見を反映させて記す連載コラム。今回は、2026年からF1に参戦する予定のキャデラックF1チームがマイアミGPでローンチイベントを実施したことを受け、ドライバー候補のうわさや、開発の進捗状況についてまとめた(全2回)。

────────────────


 新たなキャデラックF1チームが、2026年のグリッドでどの位置に来るのか、非常に興味深い。


 現在参戦する10チームは、2026年型マシンの開発を今年になってようやく開始することができ、現行シーズンを戦いながら新型車に取り組まねばならないという制約に苦しんでいる。一方で、キャデラックは2026年モデルの風洞実験をすでに昨年から開始しており、それがアドバンテージとなっている。


 しかしながら、彼らには過去のシーズンからのデータがなく、それは大きな足かせとなる。多くの既存F1チームの経験豊富なエンジニアたちがキャデラックに加わっているが、当然ながら彼らは以前の雇用主の元で得たデータを持ち込むことは許されていない。しかしもちろん、彼らの頭脳をリセットすることはできないため、他チームから経験あるエンジニアを雇用することでキャデラックが得る知見は、極めて大きな助けとなるであろう。

キャデラックF1マシンのイメージ
キャデラック/GMのF1マシンのイメージ

 キャデラックF1チームは、現在、複数のファクトリーのもとで、参戦準備を行っている。ヨーロッパの拠点はイギリスのシルバーストンに置き、アメリカ・インディアナ州には新しく大規模な本部が建設され、エンジンおよびシミュレーター部門はノースカロライナ州に所在している。


 キャデラックは2029年になるまでは自社製エンジンを使わず、それまではフェラーリのカスタマーチームとして活動する。チームのインフラは多くの面でロジスティクス的に悪夢のような構造ではあるが、それは同時にハースF1チームの構造をも想起させるものである。


 キャデラックは現在、ケルンにあるトヨタの風洞施設で作業を行っている。この施設は最近までマクラーレンが使用していたが、マクラーレンは、イギリスに自社の新しい近代的な風洞施設を開設した。キャデラックはすでに最初のシャシーを受領。このシャシーは主に、新しいF1マシンすべてが通過しなければならない多数のクラッシュテストを実施するために使用される。

キャデラックF1
キャデラックF1マシンのイメージ

 かつては、新チームは制限なしにテストを行うことが可能だった。たとえば、2001年にはトヨタは、2002年の公式デビューに先立ち、世界中のF1サーキットで大規模なテストプログラムを実施した。この徹底した準備は、ミカ・サロがトヨタにとって初のF1レース、2002年オーストラリアGPで見事に6位フィニッシュを果たした要因のひとつといえる。


 しかし、現在の規定の下では、新しい2026年型F1マシンは、2026年1月末にスペインのバルセロナ・カタルニア・サーキットで予定されている初回のウィンターテストまで、走らせることが許可されていない。


 キャデラックはここ数カ月間、他チームからエンジニアやメカニックを積極的に引き抜いてきたが、彼らはまだレース週末という実戦環境下で共に作業を行ったことがない。そのため、キャデラックは、ドライバー、エンジニア、メカニック間の協力に焦点を当て、何らかのシングルシーターマシンによるプライベートテストを行うため、投資を行う計画を立てている。


 キャデラック――それは「アメリカン・ドリーム」になるのか? それとも「ナイトメア」になってしまうのか? それを明らかにするのは時間である。そして、その時間は刻々と過ぎつつある。

キャデラックF1チーム
キャデラックF1チームのロゴ


(Text : Peter Nygaard)


レース

5/3(土) フリー走行 結果 / レポート
スプリント予選 結果 / レポート
5/4(日) スプリント 結果 / レポート
予選 結果 / レポート
5/5(月) 決勝 結果 / レポート


ドライバーズランキング

※マイアミGP終了時点
1位オスカー・ピアストリ131
2位ランド・ノリス115
3位マックス・フェルスタッペン99
4位ジョージ・ラッセル93
5位シャルル・ルクレール53
6位アンドレア・キミ・アントネッリ48
7位ルイス・ハミルトン41
8位アレクサンダー・アルボン30
9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール14

チームランキング

※マイアミGP終了時点
1位マクラーレン・フォーミュラ1チーム246
2位メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム141
3位オラクル・レッドブル・レーシング105
4位スクーデリア・フェラーリHP94
5位ウイリアムズ・レーシング37
6位マネーグラム・ハースF1チーム20
7位アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム14
8位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム8
9位BWTアルピーヌF1チーム7
10位ステークF1チーム・キック・ザウバー6

レースカレンダー

2025年F1カレンダー
第6戦マイアミGP 5/4
第7戦エミリア・ロマーニャGP 5/18
第8戦モナコGP 5/25
第9戦スペインGP 6/1
第10戦カナダGP 6/15
  • 最新刊
  • F速

    F速 2025年5月号 Vol.3 日本GP号