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【F1第6戦決勝の要点】ドライバー間に要らぬ確執を生むフェラーリの判断の遅さ

2025年5月5日

 マシンも決断も遅い。それが今週末のフェラーリだった。


 チームのタイトルパートナーであるHPとのパートナーシップ1周年を祝うスペシャルカラーリングで2025年F1第6戦マイアミGPに挑んだフェラーリ。ただ、スプリントこそルイス・ハミルトンが3位に入ったが、予選はシャルル・ルクレールが8番手。ハミルトンに至っては12番手で、フェラーリ移籍以来初のQ2敗退を喫した。


 しかもマクラーレン、レッドブル、メルセデスに負けただけでなく、6、7番グリッドを占めたウイリアムズの2台にもかなわなかった。

 迎えた決勝レースは、中盤までは悪くなかった。スタートから8番手を守るルクレールは、前を行く2台のウイリアムズの1秒前後につけていた。その間にハードタイヤスタートのハミルトンは徐々に順位を上げて行き、中盤31周目には入賞圏内の9番手、ルクレールの後ろまでたどり着いた。そして34周目、ふたりはカルロス・サインツ(ウイリアムズ)を相次いでかわすことに成功した。


 ルクレールの約6秒前方には、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に抜かれて6番手に後退したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)いた。ペースはルクレールの方がコンマ数秒速いものの、一気に差を詰めることができない。一方、ミディアムタイヤに履き替えたばかりのハミルトンは、ルクレールの1秒以内に迫っていた。


ハミルトン「後ろにいても、タイヤが熱くなるだけなんだけど」


 遠回しの表現ながら、ハミルトンは順位の入れ替えを要求した。しかしチームから指示は来ない。


ハミルトン「レース中、僕はずっとこの位置なのかい?」


担当エンジニアのリカルド・アダミ「すぐ連絡する」


 1秒を争う状況にもかかわらず、返答を先延ばしにするフェラーリに対し、ハミルトンもさすがにキレた。


ハミルトン「何を待ってるんだ。お茶飲んでる場合じゃないだろ」


 そうして38周目、チームはようやくハミルトンを先行させた。しかしハミルトンの履くミディアムタイヤは、すでにピーク性能を過ぎていた。アントネッリとの差を詰められないばかりか、譲られたルクレールを引き離すこともできない。そしてルクレールの背後には、サインツが迫っていた。


 たまらず「もっと速いペースで走ってほしい」と要求するルクレール。しかしこう着状態はその後も続いた。


ルクレール「(ハミルトンは)アントネッリに近づいてるの?」


担当エンジニアのブライアン・ボッツィ「ああ。でもゆっくりだ。君がクリーンエアだったら、どれくらいで走れる?」


ルクレール「わかるわけないだろ。とにかくタイヤがオーバーヒートしてる」


 担当エンジニアの答えは、呆れるほどに緊張感と当事者意識に欠けていた。チームはこの状態をさらに10周近く続け、再びルクレールが前に出たのはチェッカー5周前の52周目だった。こうなると今度は、ハミルトンに不満が溜まる。


アダミ「サインツは1.4秒後方だ」


ハミルトン「彼にも譲った方がいいかい?」


 今のフェラーリは、ハミルトン、ルクレールという超一流ドライバーを揃えながら、ふたりの良さをまったく活かせていない。まずはマシン戦闘力を改善することが急務だろう。


 一方で今回のようなレース中のドタバタは、彼らの関係にもヒビを入れかねない。フレデリック・バスールが代表に就任してからチーム運営は改善されつつあると思っていたが、やはりフェラーリは“フェラーリ”なのだろうか。

2025年F1第6戦マイアミGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
2025年F1第6戦マイアミGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2025年F1第6戦マイアミGP フレデリック・バスール(フェラーリ・チーム代表)


(Text:Kunio Shibata)


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4位スクーデリア・フェラーリHP94
5位ウイリアムズ・レーシング37
6位マネーグラム・ハースF1チーム20
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