ハースのエステバン・オコンは、自身の担当レースエンジニアであるローラ・ミューラーとの初期の仕事関係について熱心に語り、彼女のことをF1の舞台裏にいる「非常に印象的」な人物だと評した。

　ミューラーは、パフォーマンスエンジニアとしての以前の役職から昇進し、F1で初のフルタイムの女性レースエンジニアとなってすぐに頭角を現した。2025年シーズンに向けてアルピーヌからハースに移籍した28歳のオコンは、献身と決意が共通の価値観である新たな環境に身を置くことになった。F1の『Beyond the Grid』ポッドキャストに出演したオコンは、ミューラーと築いてきた仕事上の原動力や彼女の献身が、ふたりの協力関係の方向性を決定づけた経緯について語った。

■たゆまぬ職業倫理

「ローラと一緒に仕事ができるのは素晴らしいことだ」とオコンは語った。

「彼女は本当に優れたエンジニアだ。彼女はさまざまなカテゴリーで豊富な経験を積んできた」

「彼女はDTMの経験があり、僕もDTMをやっていたから、そこに共通点がある。でも彼女はさまざまなカテゴリーで活躍しており、その経歴はとても印象的だ」

　オコンは、ミューラーの献身は通常の義務をはるかに超えていることを強調し、日本GPでの厳しいレースウイーク中に見られた、彼女の職業倫理の際立った瞬間について話した。

「彼女と一緒に仕事するのは素晴らしい。彼女が仕事に費やした時間の長さは非常に印象的だ。彼女は時間を気にしないんだ」とオコンは振り返った。

「鈴鹿では難しいレースだったことを覚えている。僕たちが望んでいたパフォーマンスではなかったから、ミーティングや報告会を続けていた。おそらく彼女は1日中、立ち上がってサンドイッチや飲み物を取ろうともしなかった」

「彼女は『エステバン、もう夜の7時半か8時だから、何か食べるね』と言ったんだ。僕が『まだ食事をしていなかったの？』と聞くと、彼女は『食べていないわ』と言った。彼女は仕事に全力を尽くしていたから、食事をしたくなかったんだ」

■ハースの第一印象は「大きな家族」

　ルノー／アルピーヌでの5年間を経てハースに移籍したことは、オコンにとって新たな章の始まりとなったが、彼は新しいチームにすぐに馴染み、温かく迎えられた。

「チームの第一印象は、大きな家族だ。このチームは本当に僕を歓迎してくれて、すぐにくつろげるようになった」

「僕にとっては、本当に新たなスタートだ。僕はみんなととてもうまく溶け込んでいると感じているし、誰もが成果を出すことに貪欲で意欲的だと感じている」

　オコンは、キャリアの初期の頃に所属したフォースインディアと比較し、この環境はより洗練され効率的な構造になっていると語った。

「彼らは、自分たちがやっていることすべてに誇りを持っている。それは素晴らしいことだ。なぜなら、自分の仕事に誇りが持てないなら、それをやる意味はないからだ。このようなチームの一員になれて、今年さらに進歩できると思うと、本当に素晴らしい気分だ」

「雰囲気としては、まるで家族のような感じで、フォースインディア時代とよく似ているが、狭苦しい感じはしない。このチームは、達成していることから見ると、大きなチームのように感じる。何かが必要なときには、これまで経験したよりも早く手に入る」

「（チーム代表の小松）礼雄は改善できる点について多くのことを語ってくれたが、これまでの仕事の質が非常に印象的だったので、自分たちが小規模だとは感じない」

「全員が、僕に対してできる限りの対応をしてくれているので、人が足りないとは感じない」

　オコンとミューラーの原動力は、ハースの将来に向けて有望な基盤となるだけでなく、意欲、献身、相互尊重の上に築かれたチームの文化を反映しているようにも見える。