「タイヤがトーストしている」深刻なオーバーヒートに見舞われたラッセル【F1第5戦無線レビュー(1)】
2025年4月25日
2025年F1第5戦サウジアラビアGP。ポールポジション獲得を「予想外」と語るほど喜んだマックス・フェルスタッペンだったが、スタートでは2番手のオスカー・ピアストリとのバトルの末にペナルティを科された。さらにその後ろでは角田裕毅とピエール・ガスリーが接触し、レースは波乱のスタートとなった。サウジアラビアGP前半を無線とともに振り返る。
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去年より1段階ずつ柔らかいコンパウンド、予想より高い路面温度。タイヤマネージメントの巧拙が、勝敗を大きく左右することはほぼ間違いないように思われた。
ルイス・ハミルトン(フェラーリ)がグリッドに向かう周回で、パワーユニットの不具合を訴えた。
ハミルトン:ターン22の立ち上がりでパワーを失った。
リカルド・アダミ:チェックしてみる。
アダミ:チャージモードにしていたんだと思うよ。
フェラーリ移籍以来、苦戦が続くハミルトン。この週末も予選でチームメイトのシャルル・ルクレールにコンマ5秒以上の大差をつけられ、かなりナーバスになっているようだった。
スタート直後のターン1でオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に並びかけ、フェルスタッペンはコーナーをショートカットして辛くも首位をキープした。
1周目
フェルスタッペン:押し出された。(スペースを残して)コーナリングしなかった。
ピアストリ:彼は順位を戻さないと。
トム・スタラード:見ていたよ。
ピアストリ:(フェルスタッペンは)僕がいることなんてお構いなしにコーナリングしてきた。
スタラード:レースコントロールにはすでに伝えた。審議中だ。

直後には、角田裕毅(レッドブル)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)が接触。ガスリーはその場でリタイアとなった。
ガスリー:角田だ。
カレル・ルース:了解。身体は大丈夫か?
ガスリー:ああ。問題ない。
角田:ダメージを受けた。
リチャード・ウッド:戻ってこい。1速に入れるんだ。
角田:リヤにダメージがあるから、チェックしてくれ。(接触を)避けるためのスペースはなかった。
これで5年連続のセーフティカーが導入される。何とかピットに戻った角田だったが、レースを続行できなかった。
角田:リヤをチェックしてくれ。
ウッド:スイッチオフ、スイッチを切るんだ。
フェルスタッペンはレース再開後、5秒ペナルティを科されてしまう。
5周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ:ターン1のインシデントで、5秒ペナルティだ。気にするな。
フェルスタッペン:そりゃあ、XXX、素晴らしい!
ランビアーゼ:ノーコメントだ。
フェルスタッペン:気にしないよ。
汚い言葉を使ってさらなるペナルティを科されることを、ランビアーゼはたしなめた。
スタラード(→ピアストリ):フェルスタッペンに5秒ペナルティで、君が実質首位だ。(背後のジョージ・)ラッセルとのギャップを築こう。
前日の予選でクラッシュを喫し、10番手スタートのランド・ノリス(マクラーレン)だったが、オーバーテイクを重ねて順位を上げつつあった。
6周目
ウィル・ジョゼフ(→ノリス):ハミルトンは1秒9前方だ。

8周目
ランビアーゼ:1周目のターン2でコースオフしたのをトラックリミット違反に数えられている。
フェルスタッペン:レース前のブリーフィングでそれはないって言っていたのに。
まだレース序盤だが、タイヤは確実にオーバーヒートしつつあった。
10周目
ジェームズ・アーウィン:フロントタイヤがオーバーヒートするから、前のクルマに近づきすぎるな。
アレックス・アルボン:後ろからクルマが迫っているのが見えないのか?
アーウィン:やりやすい方法でやってくれ。
去年より路面温度が高く、トレイン状態ではタイヤが加熱してしまう、それを危惧した担当エンジニアだったが、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は背後のアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)に抜かれないか、そちらの方が気がかりだった。

ジョゼフ:ペースはどう? タイヤはどう?
ノリス:(タイヤは)すごく熱くなってる。クリーンエアだったら、全然違うだろうね。
そう言いながらもハミルトンを抜いて6番手に。しかしハミルトンも即座に抜き返した。最終コーナーでノリスが再び前に出るが、メインストレートで抜き返される展開。しかし3度目にはノリスはメインストレートまで抜くのを我慢し、抜き去って行った。
ハミルトン:滑り出している。リヤが回ってくれない。
アダミ:オーバーヒートしているね。
12周目
フェルナンド・アロンソ:DRSが作動しているのに、どうしてこんなに遅いんだ。
10番手ハジャーの1秒以内に迫りながら、ジリジリと引き離されていくアロンソ。アストンマーティンの不振は深刻だ。

多くのマシンがタイヤのオーバーヒートに苦しんでいたが、メルセデスマシンはなかでも深刻なようだった、
18周目
ジョージ・ラッセル:タイヤがトーストだよ。
23周目
ラッセル:プランBを考えてくれ。このタイヤがどうなるか。
予選一発ではかなりの速さを見せるメルセデスだが、今季のW16は明らかにタイヤに厳しいマシンのようだ。
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F1第5戦無線レビュー(2)に続く
(Text : Kunio Shibata)
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1位 | オスカー・ピアストリ | 99 |
2位 | ランド・ノリス | 89 |
3位 | マックス・フェルスタッペン | 87 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 73 |
5位 | シャルル・ルクレール | 47 |
6位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 38 |
7位 | ルイス・ハミルトン | 31 |
8位 | アレクサンダー・アルボン | 20 |
9位 | エステバン・オコン | 14 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 188 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 111 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 89 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 78 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 25 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 20 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 8 |
9位 | BWTアルピーヌF1チーム | 6 |
10位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |

