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フェラーリ時代に染みついた“マッスルメモリー”に悩むサインツ「テストの再現が今週末の目標」/F1第4戦木曜会見
2025年4月11日
2025年F1第4戦バーレーンGPのFIAドライバー会見第一部には、開幕以来絶好調のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)と、対照的に苦しいレースが続くカルロス・サインツ(ウイリアムズ)、ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)が出席した。
Q:カルロス、ウイリアムズに移籍以来、まだ最高のカルロスを見ていない印象です。問題点は何だったのでしょう。
サインツ:「開幕からわずか3戦で僕の最高のパフォーマンスを期待するのは、あまりにF1の難しさを理解していない発言だと思う。初めてのチームのマシンスピードに完全に慣れ、最後の0.5秒、0.2秒をどこから絞り出すか、全然簡単なことじゃないんだ」
「この3戦を振り返ると、オーストラリアと鈴鹿では速さはあった。予選を通してアレックス(アレクサンダー・アルボン)とほぼ同タイム、もしくはコンマ1秒台を維持できたからね。でも中国では様々な理由で調子が悪かった。今後はいっそうミスを減らし、スピードを向上させていくだけだよ」

冬のテストでのサインツは、今週末と同じバーレーンで最速タイムを叩き出している。
Q:すでにテストしたサーキットに戻ってくるのは、あなたにとってどれくらい有益ですか?
サインツ:「とても有益だよ。テストではこのマシンにとても満足していたしね。バランスは完璧だったし、かなり自然に運転できていた。あれこれ考えなくても、乗った瞬間から速かったんだ。あの時の再現が今週末の目標だ」
とはいえフェラーリであれほど速かったサインツが、なぜウイリアムズのマシンに手こずっているのだろう。
Q:重要なのは、フェラーリ時代の癖を捨て去るということでしょうか? 具体的には何を?
サインツ:「記者会見で説明するには、少し専門的すぎるよ」
Q:ざっくりとお願いします。
サインツ:「あまり細部には立ち入りたくないけど、 フェラーリにはかなり特殊なバランスがあってね。3、4年かけて開発を進めた結果、特定のブレーキング、特定のターン、特定の場所でブレーキを離す方向性が生まれたんだ。3年間、そのやり方ですべてをこなしていると、筋肉がそれを記憶してしまう。『マッスルメモリー』というやつだね」
「そうすると別のクルマに乗り換えたとき、マッスルメモリーの罠に陥ってしまう。特に1000分の1秒を争う予選ではね。その意味でも、最初の3レースで速さを追求するのはほぼ不可能だ。だからこそオーストラリアと鈴鹿で、アレックスと互角に戦えたのは自信になったよ」

ドゥーハンには日本GPのFP1について質問が飛んだ。
Q:先週の鈴鹿では、あなた自身もルーキーであるにもかかわらず、他のルーキーのためにFP1を外されました。鈴鹿という非常に難易度の高いコースで、十分な練習時間が必要だったにもかかわらず、FP1に参加できないと知らされたことに驚きましたか? それを知らされたのは、いつだったのでしょう?
ドゥーハン:「(知らされたのは)シーズンが始まる前、冬のテストよりもずっと前だった。ただFP1のドライバー選定については様々な理由があるし、自分の力ではどうにもならないとわかっていた。我慢して前進し、成り行きに任せるしかなかったね」
FP2での大クラッシュについてドゥーハンは、「シミュレーターではDRSを開けて、全開で行けた」と説明している。ひょっとするとFP1で平川亮が予想以上の速さを見せたことが、ドゥーハンに限界を越えさせてしまったのかもしれない。

対照的に絶好調のアントネッリは開幕以来4位、6位、6位と3戦連続上位入賞。そして日本GPでは史上最年少リードラップ、ファステストラップ記録を更新した。
Q:先週の鈴鹿では、これまで以上にジョージ(・ラッセル)に接近できましたね。素晴らしいレースペース、タイヤマネジメントでした。今週末のバーレーンはまったく違うコンディションですが、見通しは?
アントネッリ:「全然違うものになるだろうね。鈴鹿は路面温度が低く、セクター1の路面も新しかった。おかげでセクター1は、レース中ずっと全開で走れたし、それほどタイヤマネジメントをする必要はなかった。本当に楽しかった。でもバーレーンは元々タイヤに厳しいし、舗装も古い。何よりテストの時より、相当暑くなるはずだ。タイヤが肝になることは間違いないね」

今週に予想される暑さ絡みで、第二部出席のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、エステバン・オコン(ハース)、ランス・ストロール(アストンマーティン)に共通の質問が出た。冷却ベストに関するものだったが、全員が否定的な答えだった。
Q:今週末の気温は30度超が予想されます。FIA(国際自動車連盟)は現在、ドライバー用冷却ベストシステムを開発中ですが、十分に実戦で使用できるレベルでしょうか。
ピアストリ:「まだ微調整が必要だね。実用化されたら、僕らにとって大きなプラスになるのは間違いない。でもまだ使用できる状態とは言えない。まだかなり重くて、そのハンデが大きいんだ。日曜はナイトレースなので、おそらく着なくてもいいんじゃないかな」
オコン:「オスカーと同意見だね。数年前のカタールで発生した問題を解決するための、とてもいい取り組みだと思う。でも残念ながら今は使えない。かさばるし、重いから、コーナーリング中に邪魔になりそうだ。僕らも協力して、改良に取り組むつもりだけどね」
ストロール:「改善の余地があるのが事実だね。でも本当に暑いレースでは必要不可欠なものだし、改善を見守りたい」

最後にもうひとつ、アントネッリのコメントを。
Q:キミ・ライコネンに会ったことはありますか? 今後、彼にアドバイスを求める気持ちはありますか?
アントネッリ:「すごく小さい時に会ったよ。確か2018年だったと思う。モンツァでね。なぜアイスマンと呼ばれるているのか、よくわかったよ。すごく興奮して彼のところに行ったのに、全然反応がなかったんだ(笑)。本当にクールな人なんだと思う。でもいつか、ぜひちゃんと話をしてみたい。レースに関するアドバイスをもらえたら嬉しいね」
ちなみにフランスの『オートエブド』誌の単独インタビューでアントネッリは、「キミという名前は家族の友人が、何か短いのでいいのはないかということで提案してくれたんだ」と、キミ・ライコネンとは無関係だと語っている。
(Text : Kunio Shibata)
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4/11(金) | フリー走行1回目 | 結果 / レポート |
フリー走行2回目 | 結果 / レポート | |
4/12(土) | フリー走行3回目 | 結果 / レポート |
予選 | 結果 / レポート | |
4/13(日) | 決勝 | 24:00〜 |


1位 | ランド・ノリス | 62 |
2位 | マックス・フェルスタッペン | 61 |
3位 | オスカー・ピアストリ | 49 |
4位 | ジョージ・ラッセル | 45 |
5位 | アンドレア・キミ・アントネッリ | 30 |
6位 | シャルル・ルクレール | 20 |
7位 | アレクサンダー・アルボン | 18 |
8位 | ルイス・ハミルトン | 15 |
9位 | エステバン・オコン | 10 |
10位 | ランス・ストロール | 10 |

1位 | マクラーレン・フォーミュラ1チーム | 111 |
2位 | メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チーム | 75 |
3位 | オラクル・レッドブル・レーシング | 61 |
4位 | スクーデリア・フェラーリHP | 35 |
5位 | ウイリアムズ・レーシング | 19 |
6位 | マネーグラム・ハースF1チーム | 15 |
7位 | アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム | 10 |
8位 | ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム | 7 |
9位 | ステークF1チーム・キック・ザウバー | 6 |
10位 | BWTアルピーヌF1チーム | 0 |

