カルロス・サインツがGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事に任命されたのは、座ったまま最低限のことをするためではない。ウイリアムズのドライバーであるサインツは、スポーツ界でもっと責任を担うべき時だと決断したのだ。彼の最初の議題のひとつは、現在の傾向を逆転させ、チーム、FIA、F1により多くのプライベートテストを許可するよう働きかけることだ。
バーレーンで行われたプレシーズンテストの最後の公式記者会見で、オリバー・ベアマン(ハース)、アイザック・ハジャル(レーシングブルズ)、ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)の4人の新人ドライバーと並んで座っていたサインツは、彼らが実質新型マシンでわずか12時間のテストを行っただけで、シーズン最初のグランプリに臨むことになることに同情していると認めた。
「もちろん僕はルーキーではないが、1日半のテストでこの立場に置かれ、フラストレーションがたまっていると思う。ルーキーについては想像できないが、これらのドライバーたちにとって、シーズン開幕がどれだけ難しいものになるか僕は理解している。テストが不足していることに対する彼らの不満を、僕は完全に理解している」
「シミュレーターや、シミュレーターに行くためにモナコやどこかからイギリスまで飛行機で向かうドライバーに無限のお金を費やしているチームがたくさんある。そうしたお金をすべて8日間のテストに投資することもできるのに、なぜ3日間のテストしかできないのか僕は理解できない。僕はそれほど多くのものを求めているわけではない」
サインツは、各チームが現在のマシンを希望するコースでテストできるようにすべきだとまで提案し、「8日間か10日間で、すべてのチームがテスト会場を選ぶことができるといいね」と述べた。
「合同テストはいいことだし、これは継続すべきだと思う。でも僕の提案は、予算上限に日数を設定することだ。そしてシミュレーターの使用日数も予算上限に設定し、各チームがどこにお金を使いたいのかを確認することだ。シミュレーターなのか、10日間のテストなのか、そうすることはルーキーにとってメリットがあるだろう。誰もが恩恵を受けることができると思う。シミュレーターは素晴らしいものだが、一部のエンジニアや人々が信じているほど優れているわけではないからね。だから、僕は彼らのためにシミュレーターよりも常にテストを選ぶよ」
しかし、それだけではない。サインツは、ファンは承認されることを切望するだろうが、全チームに却下される可能性が高い提案まで語った。
「テレビをおもしろくするために、テストでは各チームが使用している燃料量を常に明らかにするべきだ。それがわからないなら、なぜテレビで見るのだろう? そのことを記載して、どのエンジンモードになっているかも伝えるべきだ」とサインツは語り、さらに今後の展開をほのめかしながら、次のように締めくくった。
「メディアやファンにとってこのスポーツをより理解しやすくし、ドライバーにとってもより意味のあるものにできるアイデアがたくさんある。シミュレーター作業が多すぎてドライビングが足りないというのは、僕にとってよいことではないからね!」
(GrandPrix.com/Translation: AKARAG)