2004年F1世界選手権のちょうど中間地点にあたる第9戦アメリカGPが、先週末終了した。ここで、ルノーF1チームのシャシー担当ボブ・ベル、エンジン担当ロブ・ホワイトの2人のテクニカルディレクターに前半戦を振り返ってもらおう。
Q:アメリカGPを終え、ルノーはコンストラクターズタイトル争いで2位にいます。これは驚きですか?
ボブ・ベル(以下BB):そうだね。今シーズンは3位を狙っていたが、シーズン序盤の段階でもうひとつ上のポジションにいけそうだと気付いた。今は2位にいる気分がどんなものかもう分かっているし、このままのポジションをキープしたいが、BARホンダとのポイント差を広げることが重要だね。可能だとは思うが、もっと必死に頑張らなくてはならないだろう。成功につながる開発プログラムは整っているよ。
ロブ・ホワイト(以下RW):2位を争っていられるのは、チーム全体がやってきた仕事の証しだ。もちろん、もっとうまくやれたレースもいくつかあったし、もっとライバルたちとのマージンを広げたいね。ルノーとBARは、シーズンの終盤まで接近戦を繰り広げそうだね。当然、ウイリアムズとマクラーレンがポイントを奪っていくことも計算から外せないので、この闘いは最終戦までもつれこむだろう。RS24エンジンについては、ビリー(ルノーのエンジン開発の拠点)は正しいアプローチをしたね。我々はメルボルン以降の進歩をうれしく思っているし、1レース1エンジン制度も恐れるほどではなかった、と言える。
Q:モントリオールでは例外的に2台がリタイアしましたが、今年のルノーは信頼性が強みだといえますね。これが成功するひとつの鍵と言えますか?
BB:信頼性は長所のほんのひとつにすぎないが、シーズンが終わるまでこれは維持しなくてはならないね。2台が完走したときにはいつもポイントを獲得しているし、表彰台を争うポジションで走っている。エンジンチームは、信頼性をより重視していると思う。しかし、シャシー側からすると、確実にマシンがチェッカーフラッグを受けられるように設計しても、リタイアには至らないがうまく機能しないという部分もありえるんだ。それこそがシャシーの性質というものだ。これはエンジンには当てはまらないし、シャシーチームがより早くパフォーマンスアップを求める要因となっている。
RW:パーフェクトな信頼性を得ようといつも奮闘している。エンジンをデザインした時にも、そのことを考慮したよ。デザインの段階で確実性のないものを洗い出しては解決し、承認やテストの段階で、かなり厳格であろうとした。なによりも、これは規律の問題だ。信頼性への影響を正確に研究することで、パフォーマンスが上がってくるんだ。
Q:さらに今年はエンジン構造を変更したにもかかわらず、数カ月たった今、すべてうまくいっているようですね。
RW:シャシーとエンジンデザインが切り離せないことを、ここでも証明しているのさ。世界一のエンジンを自分たちでデザインすることには、何の意味もない。つまり、最終的にマシン全体がコンペティティブでなくてはならないんだ。ビリーとエンストン(ルノーのシャシー開発の拠点)は非常に密接に働いていて、それがシーズン前半の結果となって現れている。今シーズンのチームパフォーマンスの中で、もっとも満足している面だ。
BB:エンジン構造を変更することは、非常に勇気のいる決断だったが、誰もが素晴らしい仕事をしてくれたね。ビリーは目的を達成し、エンジンは週末を持ちこたえ、かつシャシーとうまく調和している。今年72度に変更するとアナウンスした時点で、パドックにいる大勢の人間は、我々がやれるとは思わなかったがね。
Q:あなた方はマシンにまださらに引き出せるポテンシャルがあるとおっしゃいましたが、進展のほどはいかがですか?
BB:昨年のR23と比べると、今年のマシンはドライバーにとってドライバビリティーが良くないようなんだ。はっきりとした進化は見られても、まだ完全に問題が解決されていないので、開発プログラムは進行中だ。どうしてドライバーが100%の力を出し切れないのか、将来のためにも理解しなくてはならない。だからといって、パフォーマンスを上げるためのプログラムを妥協したりはしないよ。ハンガリーGPには、Bスペックとは呼ばないが、シャシーを大幅にアップデートする予定だ。それ以外にも、マイナーチェンジをいくつか施すよ。たとえばフランスGPではサスペンションを改良して臨むことになるだろう。イタリアGPにはローダウンフォースのパッケージを準備している。
RW:エンジン側でも開発スケジュールが組まれている。現在からブラジルまで、大なり小なり、発展があるだろう。例えば、シリンダーヘッドはシーズン終了までにモディファイする。RS24のポテンシャルを最高点まで引き上げることを目指していくよ。