2025年シーズンのF1開幕を前に、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治代表取締役社長がメディアの取材に応じ、ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チームからF1に参戦する角田裕毅と、F1参戦を目指す岩佐歩夢について彼らへの期待やサポートについて語った。
角田は今年、F1で5年目のシーズンを迎える。先日バーレーンで3日間にわたって行われたプレシーズンテストを総合14番手で終えたが、テスト終了後には「今回のテストで最も重要な点は、有益なデータを集めたこと」とコメント。開幕に向けて進歩を遂げた、と実りあるテストになったようだ。
ホンダのドライバー育成プログラムであるHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)出身で、現在はホンダとスポンサー契約を締結している角田について、渡辺社長は、角田が2025年はレーシングブルズのドライバーを務めつつオラクル・レッドブル・レーシングのリザーブドライバーという立場であることを明言。2024年シーズン終了後には、レッドブルへの昇格をめぐって様々な報道がなされたが、渡辺社長は角田の将来について次のようにコメントした。
「5年目でF1での経験も十分に積んだドライバーですし、彼が一番いいチョイスができればいいと思います」
「(2025年は)非常に大事なシーズンだと思っていますし、おそらく来年(2026年)のシートはすごく早いタイミングでフィックスしていくので、うまくタイミングとチャンスを掴んで次のステップにいってほしいです。それができると信じています」
「でもまずは、今シーズン、とにかく最高の成績を出してほしいなという気持ちです」
渡辺社長は今年の好成績を期待しているものの、2026年のシートを確保するには、角田が早めに成績を残して自身の評価を高めることが、シート争いを有利に進めるために必要になるだろう。
一方岩佐についても、2025年はレーシングブルズのリザーブドライバーであることが渡辺社長から明かされた。2024年、岩佐はシミュレーター作業を通じてチームをサポートしており、2025年も同様に全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦しつつレーシングブルズの戦いを支えることになる。
「彼も今年が勝負の年で、彼としてもレッドブルグループのチームに昇格したいという夢と希望があるので、そこに向かってチャレンジしてほしいなと思っています」
「シミュレータードライバーとして、チームからの評価が非常に高いので、そこはひとつクリアできています。実践の走行の評価がさらに高まっていかないと(F1チームの)ドライバーになれないので、そこが彼が今年どこまでできるかというところです」
渡辺社長は会見のなかで、角田や岩佐も在籍したHRS(ホンダ・レーシング・スクール鈴鹿)の狙いはひとつであり、それは『F1ドライバーを輩出すること』だと主張した。ドライバーを無駄なくF1に到達させることを考えると、渡辺社長はドライバーがヨーロッパで経験を積むことが重要だと考えており、今後はヨーロッパでのレースに出場できるよう提携先を探したり、チームとの関係性を築いていく方向性であるという。
また、ホンダは現在レッドブルと共同でドライバーを育成しているが、2026年から提携を始めるアストンマーティンとはまだ準備が整っていないとのこと。ワークス体制で提携するなかで、アストンマーティンとどこまで現在のような形に近づくことができるのかということについては、今後議論していくことになるということだ。
(autosport web)