バーレーンでの3日間のプレシーズンテストを終えたフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、アストンマーティンの2025型マシン『AMR25』は2024年型マシンより明らかに改良されていると断言。いくつかの理由でテストプログラムが中断されたにもかかわらず、2度の世界チャンピオンであるアロンソは新車のパフォーマンスに自信を示し、データの相関性とチーム全体の進歩の重要性を強調した。
43歳のアロンソはあらゆることを経験しており、プレシーズンは予告編であって、完全な映画本編ではないことを認識している。アロンソはオーストラリアで本当の戦いが始まるまでは持ち札を秘密にしておくつもりではいるものの、自身が感じたことに勇気づけられている。
バーレーンでの経験を総括するよう求められたアロンソは、取り繕うようなことは言わず、「短いよ!」と冗談めかして語った。
「通常のプログラムとしてもすでに非常に短い。世界選手権が始まる前に1日半しか取れないないのだから、その点でこのスポーツはとてもにユニークだ」
「だが、僕達にとっては今回はさらに短かった。初日はテレメトリー側でいくつか問題があった。2日目は午前中に雨が降った。3日目は通常通りのプログラムだったが、3日間の午前中を合わせるとラップ数が足りなかったかもしれない。でも誰にとっても同じことだ。雨は全員に降るからね」
「オーストラリアに行くのが楽しみだ」
テスト3日目の比較的混乱した状況のなかで、アロンソは注目を集めた。ストロールが体調不良によりテストを欠席したため、アロンソは午前のセッションでAMR25に乗り込み、午後もふたたびストロールが欠席を決めたためアロンソは34周を走行した。82周を走り抜いて十分に成果を出したアロンソは、マシンの骨格となる部分について楽観的だ。チーム代表のアンディ・コーウェルの使命は予測可能性にあったが、アロンソはある程度そのように考えている。
「コメントするのは難しい」と、アロンソは回答を求められると言葉を濁した。
「違いを本当に知るには、あるマシンから別のマシンに乗り換える必要があると思う。でも、このマシンは24年型に比べれば確実に進歩している」
アロンソを興奮させているものは何だろうか? それは数字だ。数字は嘘をつかない。
「マシンはより速く、マシンと僕たちが持っているすべてのデータはよく相関している。それに、すべての速度とコーナーでダウンフォースが増大しているのがわかる」
それは単なる直感ではない。AMR25は目に見える成果を示している。それはアロンソがコクピットで感じ、チャート上で確認できる飛躍的な進歩だ。
アロンソは慎重に、誇大な表現を和らげながら「明らかに、他のドライバーたちと比べて相対的に伸びている。誰もが向上してはいるだろうが、オーストラリアで結果がわかるだろう」と述べた。本当のテストは開幕戦オーストラリアGPであり、バーレーンの砂漠ではない。それでもこの相関関係は、特に変化の冬を経たアストンマーティンにとって貴重なものだ。
「僕たちにとっては、物事を整え、ファクトリー内の全員が完璧に同期し、初めて僕たちが所有する風洞とトラックサイドの相関関係を確立することは非常に重要だ」
「2026年のルールが間近に迫っており、チームの残りのメンバーが全力を尽くす準備ができていることを確認する必要がある」
単に2025年だけのことではなく、長期にわたって使用できるマシンを構築することが重要であり、彼はそのことに全力を注いでいる。
F1グリッドの序列に関して、アロンソは冷静な態度をとっている。
「テストを見ていないから、あまりよくわからない」
「昼食後、僕はホテルに戻ってそこでリラックスし、夜は会議に出席した。だから自分たちのチームとテストプログラムについてはすべて把握している」
彼は、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)がテスト2日目にトップタイムを出したといううわさを耳にしたが、それ以外はまったく超然としていた。
「サインツが(2日目に)1番手だったことは知っているが、今日(3日目)ですら誰が1番手や2番手なのか知らない。上位4チームは、特に年初は優位に立つだろうと思うが、僕たちが彼らにどんどん近づくことができるよう願っている」
アロンソの焦点は、現在はメルボルンのアルバートパークにぴたりと当てられている。
「いつものように楽しみにしているよ。僕たちは多くのプロモーションデー、メディアデー、ビデオ、インタビュー、スポンサーイベントを行ってきた。そしてレースをしたいと思っている。(僕はそれを)楽しみにしているよ」
アロンソにとって、バーレーンは予告編動画に過ぎない。AMR25はステップアップしたように感じられるし、データもそれを裏付けている。今こそ誇大広告を捨ててコースに出る時だ。アロンソは、アストンマーティンの新しいできたてのマシンが、他の大物たちと肩を並べられるかどうか確かめる準備ができている。
(autosport web / Translation : AKARAG)