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F1コラム:ヒュルケンベルグとともにF1で戦うアウディ。将来的にはドイツ人起用と育成は優先事項でない理由

2025年1月29日

 アウディは、ザウバーを買収し、2026年からワークスチームとしてF1に参戦することを決め、準備を進めている。2025年からは、ドライバーラインアップを一新、ベテランドライバー、ニコ・ヒュルケンベルグと、期待のルーキー、ガブリエル・ボルトレートのペアで戦う。ドイツのメーカー、アウディは、自国出身のヒュルケンベルグをいち早く確保したが、今後もドイツ人ドライバーを起用することにこだわり続ける意向があるのか、他の要素を優先していくのか、F1ジャーナリストのマチアス・ブルナーが、アウディのF1プロジェクトをドライバー戦略の面から考察した。


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 アウディが2026年に公式にF1参戦を果たす時、1台のマシンにはドイツ人ドライバー、ニコ・ヒュルケンベルグが乗ることが決まっている。ヒュルケンベルグと契約をしたのは、元ザウバーのボスで、今はプロジェクトから外れたアンドレアス・ザイドルだった。当時ザイドルは、次のように説明した。


「ニコは非常に強い個性を持っている。彼の技術的および人的貢献は、ザウバーとアウディが成長するうえで不可欠だ」


 ザイドルが去った後、アウディF1の指揮をとることになったマッティア・ビノットも、ヒュルケンベルグへの称賛を惜しまない。


「我々はニコを非常に高く評価している。2024年にハースで彼がどれだけの貢献をしたかは、誰の目にも明らかだった」

ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)
2024年F1アブダビテスト ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)


 しかしながらヒュルケンベルグは現在37歳であり、長期にわたってアウディをリードしていくことになるとはいいがたい。それではアウディは、ドイツ出身の他の若いドライバーから後継者を選ぶ計画を立てているのだろうか。

■アウディのターゲットはドイツ国内にとどまらない

 ドイツ人ドライバーという視点で見ると、アウディ/ザウバーは現在25歳のミック・シューマッハーと契約することが可能だった。しかしビノットとアウディCEOのゲルノート・ドルナーは、2025年に向けて、シューマッハー獲得に動かなかった。シューマッハーはフェラーリ・ドライバー・アカデミーの出身だったため、ビノットはフェラーリ時代から彼をよく知っていた。そして、メルセデスがシューマッハーをリザーブドライバーからフルタイムのレースドライバーに昇格させることを全く考えていないことも認識していた。


 しかしビノットとドルナーは、結局、2025年に向けて、ブラジル出身20歳のガブリエル・ボルトレートを選んだ。現在20歳のボルトレートは、2023年にFIA F3で、2024年にはFIA F2で、2年連続でタイトルを獲得した。これまで同様のことを成し遂げたのがシャルル・ルクレール、ジョージ・ラッセル、オスカー・ピアストリであることを考えれば、ボルトレートには将来のグランプリウイナーとしてのポテンシャルがありそうだ。

ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)とマッティア・ビノットCOO
2024年F1アブダビテスト ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)とマッティア・ビノットCOO


 ボルトレートはマクラーレンの育成プログラム出身だ。アウディは自身の若手育成スクール運営に力を入れることを考えるだろうか。現在のアウディの状況を見ると、彼らには他に優先すべきことがあるように思われる。F1プロジェクトにかかるコストに関して、今、大きなプレッシャーがかけられている。フォルクスワーゲン・グループの困難な状況を考えると、ジュニアドライバープログラムに投資することは適切な行動には思われない。


 また、アウディがF1に参入する理由は、技術的な専門知識を証明し、より多くの市販車を販売することだ。その目標はドイツ市場にとどまるわけではないため、アウディには必ずしもドイツ人ドライバーが必要というわけではない。

■ドイツ出身の新人起用の動きは当面なし

 現在、ドイツの若手ドライバーで注目されているひとりは、FIA F2のオリバー・ゲーテだが、彼はレッドブルのジュニアドライバーだ。FIA F3にはティム・トラムニッツが参戦する見通しだが、彼もレッドブル傘下だ。F4やカートのドライバーたちからスターが出るかどうかは、現時点では分からない。


 今後の2年、あるいは3年、ヒュルケンベルグがラインアップのドイツ枠を担った後、アウディが他のドイツ人ドライバーを起用する可能性はある。ただ、繰り返しになるが、今のビノットとドルナーには、それより他に集中すべき仕事がある。


 もうひとつのドイツのメーカー、メルセデスは、ドイツ出身のパスカル・ウェーレインやミック・シューマッハーを傘下に収めながら、レースドライバーに昇格させなかった。国際的に活動する自動車メーカーがF1に参戦する目的を考えると、自国のドライバーを走らせることには、さほど大きな重要性はないということだろう。

アウディF1ショーカー
アウディF1ショーカー(イメージ)



(Mathias Brunner)


レース

4/18(金) フリー走行1回目 結果 / レポート
フリー走行2回目 結果 / レポート
4/19(土) フリー走行3回目 22:30〜23:30
予選 26:00〜
4/20(日) 決勝 26:00〜


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9位エステバン・オコン14
10位ランス・ストロール10

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3位オラクル・レッドブル・レーシング71
4位スクーデリア・フェラーリHP57
5位マネーグラム・ハースF1チーム20
6位ウイリアムズ・レーシング19
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8位ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズF1チーム7
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10位ステークF1チーム・キック・ザウバー6

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