フェラーリのファーストドライバー、ミハエル・シューマッハーが雨の17日、パドックでアメリカを中心とするメディアからインタビューを受けた。上空は嵐を呼ぶ雲が広がっていたものの、ミハエルは終始おだやかな調子でインタビューに答えていた。
「去年のアメリカGPの雰囲気は特別なものだった。今年のイベントも楽しみにしている。昨年、僕は悲嘆に暮れてこの地にやってきて、期待以上の手応えと共にインディアナポリスを後にしたことを覚えている。昨年は素晴らしいショーを見せることができた。ファンも僕たちを大いに歓迎してくれた」
アメリカGPが再開されて5年が経つが、6月に開催されるのは今年が初めて。いつもは9月に開催されていたため、今年のイベントは気温・湿度ともにかなり高くなると予想される。
「今年に入り、このような暑さの中でレースをしたことがない。今度の週末はちょっと涼しくなるそうだけれど、レースでは天気が鍵になるだろう」
アメリカのメディアは、ミハエルがリラックスしていることに好感を持ち、その理由についてアメリカの風土のなす業だと考えていたが、その考えは単なる思い込みに過ぎなかったようだ。「僕はいつもリラックスしているよ」とミハエル。「ヨーロッパにいるときも同じようにリラックスしている」。とはいえ、ミハエルは、北米では自分の名前があまり知られていないために気楽な気分でいられることも認めた。
ミハエルはこの日、インタビューに対しててきぱきと応答し、今年の好調の理由を尋ねられると次のように答えた。「決勝で他のドライバーより上手くコースを周回できているだけさ。理由はどうあれ、とにかく今年はとても素晴らしいシーズンを過ごしている」
イギリスのメディアは、ミハエルが、彼を含む2人のフェラーリのドライバーにとって目下一番のライバルであるジェンソン・バトンについてどう考えているのか、興味深々だった。「彼は初優勝を心待ちにしている。その日は現実に訪れると思っている。もっとも、レースも他のスポーツと同じく、優勝の時期なんて予測できないけれどね。でも、彼はとてもモチベーションの高いドライバーだ」
3戦後のイギリスGPからは、再び予選システムが変更される。予選終了後に決勝用の給油が可能となるため、各マシンは以前のように“空タンク”による真剣勝負を行うことになるだろう。ブリヂストンタイヤはライバルのミシュランタイヤに比べ、1ラップのパフォーマンス面でいささか劣ることがあるが、ミハエルは予選の再変更について何の懸念もない。
「全く心配していない。これまでの全8レースについて考えてみると、予選で劣勢を強いられたのはわずか2つのイベントしかなかった。他のイベントでは僕たちが圧倒的な強さを見せていた。従って、予選の再変更については全く心配していない。いずれにせよ、予選でタイヤがベストコンディションでなければ、ブリヂストンは決勝で最高のタイヤを準備してくれてきた」
シーズンも後半に突入し、ライバルたちはフェラーリのマシン開発もそろそろ行き着くところまでいったと考えたいところだが、ミハエルによれば、マシンはこの先も進化し続けると言う。
ミハエルは、「今年の残りも、マシンが引き続き進化し続けていくことに自信を持っている。フェラーリの強さの理由は、シーズンを通じてマシンを向上させていく能力にある」とインタビューを締めくくった。