最近、頭角をあらわしたアメリカ人ドライバーのライアン・ハンター−レイは、F1入りの意志があることを宣言した。可能ならば、来季にもF1に行きたいという。
この前の週末、ミルウォーキー・マイルで行われたチャンプカー・レースで、記録ずくめの優勝を飾ったハンター−レイが、ぜひF1に行きたいと語った。F1が自分のドライビングスタイルに合っていると思うし、チャンプカーのロードコースでの経験があるため、オーバルのみのIRLからF1を目指すドライバーよりも有利だ、というのが彼の考えだ。
「チャンプカーの素晴らしいところは、どちらにでも曲がれるところだよ!」と、ハンター−レイは笑った。「確かに僕はまだ、オーバルで一度勝っただけだけれど、僕にとっては、レースっていうのはあれがすべてじゃないんだ。僕は、いろいろなレイアウトのサーキットにチャレンジするのが好きなんだよ。オー・ルージュや130Rのようなコーナーには不思議な魅力があって、それはオーバルでは体験できないものだ」
「僕はチャンプカーで素晴らしい時を過ごしているし、2004年のチャンピオンを獲ることに目標を定めている。でも、子どものときにカートを始めて以来、F1は常に変わらず僕の夢なんだ。僕は、何事においても最高の結果を出そうと努力してきたけれど、F1は、世界のレースのうち最高レベルのものだ。F1はモータースポーツの頂点であり、それこそ僕の目指すものなんだ」
「それに、F1は僕に合っている。僕のドライビングスタイルに合っているんだ。とても高速のテクニカルなサーキット――限界ギリギリまで攻めて、レースの間じゅうミスなく走り切らなくてはならないようなサーキットが、個人的には一番満足感を得られるんだ」
近年、タウンゼント・ベルやフィル・ギーブラー、デレック・ヒルといった、ほかのアメリカ人ドライバーがしているように、F3000で1年間過ごすことは考えないのかと聞かれて、ハンター−レイは、現在のヘルデス・コンペティションから直接F1に移籍できないという理由はない、と答えた。マイケル・アンドレッティのようなスーパースターたちでも、同じことを試みて失敗しているのだが。
「F3000がF1の一番いい訓練になる、というのは聞いたことがある。F1のコースをみんな経験できるから、ってね。でも、ジャック・ビルヌーブを見てごらん――彼はOKだったじゃないか!」と、ハンター−レイは主張した。「セバスチャン・ブーデや、ブルーノ・ジュンケイラ、ジャスティン・ウイルソンといった、F3000チャンピオンたちがここでレースをしているんだから、チャンプカーがF1以外では最高レベルのレースだということが分かると思う」
「どうしてマイケルがうまく行かなかったのかはよく分からないが、彼はレースとレースの間にアメリカに戻っていたから、スケジュールが厳しかったはずだ。僕はF1に生活のすべてを捧げるよ。ヨーロッパに引っ越して、全身全霊を捧げて、自分に可能だと分かっている結果を出すために努力する。110%自分を捧げないなら、F1に行く意味がないと思う」
「F1にアメリカ人ドライバーが参戦すれば、F1は真にグローバルなものになるだろう。アメリカ人ドライバーは、ほかのどんなメディアよりも効果的に、アメリカ人にF1を知ってもらうことができるだろう。そうすれば、F1のスポンサーシップについても新しい道が開けるはずだ。同国人がレースに出ていれば、アメリカのファンに応援する理由ができるだけでなく、商業面でも莫大な効果が得られる。世界中のアメリカ企業だけでなく、合衆国でビジネスをしているグローバルな企業にとってもね」
ハンター−レイがその目的を果たすために、唯一障害となるのは、シートが足りないということのようだ。数少ない空席に、比較的未知の存在を座らせようという者はいないかもしれない。だが、ウイリアムズが、NASCARのエース、ジェフ・ゴードンの起用を考えるつもりがあるとすれば、ハンター−レイにも不可能なことはないだろう。